【武蔵野水族館】サイレンという動物

上半身がウーパールーパーで、下半身が魚、という動物がいるのはご存知ですか？
「『崩れ』のことだ、なんか合成写真でも作りやがったな」という貴方は人間不信に陥っています（断言

アメリカ南部原産、レッサーサイレンという両生類の一種です。
レッサーといういからにはグレーターもいるわけで、写真のやつは全長20cmくらいとささやかですが、後者は１ｍ前後まで伸び、いや育ち、太さは成人男子の腕くらいになります。
両生類は幼生時代はオタマジャクシのように魚みたいな格好をしており、ある程度成長すると手足が生えて変態するわけですが、変態しきらないまま成熟してしまうことを「ネオテニー」といいます。有名なウーパールーパーもサイレン同様「ネオテニー」がデフォルトな種です。ウパは環境次第で変態もしますが、サイレンはそうはならず手足の足がない状態で一生を過ごすことになります。水中生活に徹した結果、長細い形態を選択したわけですね。

実はこのサイレン、ある学者の目に留まり、もうちょっとで進化論のパイオニアになりかけたことがあります。
その学者の名は「ジョン・ハンター」。スコットランドの外科医＆標本収集家で、珍しい動物の標本を片端から集めていたところ本種が目に入り、
「一体なんだこの生き物は？」
「上半身はイモリで下半身が魚…？どうしてこうなった」
「いや待てよ、もともと魚だったのが、別の動物になりかけているところなのでは？」
残念ながらDr.ハンターは多忙すぎて、これ以上先に進みませんでした。このDr.の経歴は非常に面白いので、以下の本をオススメします。自分の体で梅毒の実験をしたりとか。


実は当館にとってこのサイレンは三代目だったりします。
・一匹目…水槽蓋の隙間から脱走して、乾燥死
・二匹目…水換えをしたら水質が合わず、衰弱死
と先代には結構ひどい目に合わせているので今度はきちんと世話してやりたいと思います。
ちなみに「サイレン」の名の由来はギリシア神話の歌うたう怪鳥だそうです。やったことはないのですが極度にストレスを与えると鳴き出すそうで。

というわけで当館のメンバーがまた増えたわけですが、理事長＝カミさん＠旅行中への言い訳をどうしたもんだか考え中な館長でした。