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2024年04月16日14:42

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速報!「オッペンハイマー」

 賛否両論あるようですが、私は断固として賛です。わからないとこいっぱいあったけど、賛。

 4月8日、新宿から池袋に移動してTOHOシネマズ池袋。奥さんには時々「TOHOシネマズの子になっちゃいな!」と言われます。公開から少し経ったせいかIMAXではなくBESTIA だったせいか、超満員とはいかず、それでもかなり入ってました。

 非常に意味のある映画とは思いましたが、なにしろわからない。ネタバレとかそういう次元の映画ではないので、これから観に行くんだったら予習して行ったほうがいいと思います。ネットで情報収集するもよし、図書館に行くもよし、もう観た人の意見や感想を読んだり聞いたりしても、観賞の妨げにはならないと思います。

 まずキリアン・マーフィー(カカシ男!)演ずるところのオッペンハイマーが映って「1.核分裂」のテロップ。間をおかずにロバート・ダウニー・Jrのストローズに「2.核融合」のテロップ。章立てでもなかろうに、これがまずわからない。
これは「二つの物語がそれぞれの視点から描かれますよ」という宣言というか前提を示したんですね。私も後で知って納得した。
 さらにこれがカラーとモノクロで交互に描かれる。時制も錯綜する。ここがわからんという意見もあるが、私は大丈夫でした。

 わからないのは登場人物。セリフのある役だけで50人以上いるらしい。それが大なり小なり意味のある役。さらにキャラを作っているわけではないので基本的に見分けがつかない。極端に「これ誰だっけ」状態です。

 しかし、ストーリー自体はわかりにくいものではないし、3時間という長尺も編集のテンポがいいせいでダレはしませんでした。むしろ気持ちいいくらいの展開。
#3時間で危惧したのがトイレですが、大丈夫でした。私の観る限り中座したのは一人だけ。

 「広島長崎を描いていない」という批判の声が大きいようですが、私はそうは思いませんでした。間接的表現でちゃんと触れている。むしろ直接的ではないことで「オッペンハイマーにとってどうだったか」という優れた描写になっていたと思います。

 箇条書きにすると、
・科学者はなにしろ開発発明が第一義であって、出来上がったものの使われ方については(たとえ容易に想像ができるとしても)基本的に関与しない。
・とはいえ「ナチスに先んじなくてはならない」「戦争終結に必要」という絶対命題があって、それに沿うのが前提。というよりそれを理由として罪悪感に目をつぶっている。
#戦争終結云々についてはトルーマンに「私が決定した」とはっきり言わせているのが秀逸。史実かもしれませんが。で、このトルーマンを演じているのがあの人とは気づかなかった(他にも「この人出てんの?」というのが少なからずあった。ラミ・マレックとかケネス・ブラナーとかデイン・デハーンとか)

 そして、私としてはそれら以上に強烈だったのが、当時のアメリカの反共意識ですね。思想というか運動というか。こんなだったのか。
 なにしろ共産主義については反発するというより恐怖している。完全には読み取れなかったのですが、当時のアメリカの共産主義者はソ連の手先になろうとしたのではないし、暴力革命を起こそうとしていたのではない。
 しかし恐れる。ゴキブリのように忌み嫌う。見つけ出したら殲滅しようとする(この当時の恐怖心にいまだに囚われているのが、統一教会や日本会議に代表される「反共」ですね。滑稽なくらいです)。

 ただ、映画としての構成でちょっと首を傾げたのが、一応のクライマックスに続く長めの終盤です。このテンポにはちょっと、でした。
 つまりはそれまでの蓄積の結果としての原爆実験の成功。沸き立つスタッフの歓喜の中、オッペンハイマーが見る地獄の幻影。これ、映画的にはとりあえずエンディングという印象だったんですが、その後「核融合」たる策謀編に続くわけだ。
 大人って汚い。

 で、十分嫌な気分にしてもらったところで、ラストのラストです。最後のセリフを聞いて「あっ」と呟き、怒涛のように感動しました。
 「市民ケーン」の「ローズバッド」を引き合いにした人もいます。そうだよねえ。

 本筋とは外れますが、感心したところ。終盤のエミリー・ブラントの年の取り方です。老けメイクではなく、自然と年相応の要望になっていて、絶妙のメイクでした。

 もう2〜3回観たほうがいいと思うけど、正直しんどい。
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