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2024年04月09日00:01

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「四月になれば彼女は」感想

 これは、映画原作/プロデューサー/監督と幅広く活躍する川村元気の同題小説を佐藤健主演で映画化したラブストーリー。
 監督は、米津玄師、藤井風、宇多田ヒカルなどのミュージックビデオを手掛けてきた山田智和で、本作が初の長編映画となる。

 四月。婚約者・坂本弥生と結婚の準備を進める精神科医の藤代俊に、かつての恋人・伊与田春から突然の手紙が届く。ボリビアのウユニ塩湖からの手紙には、十年前の初恋の記憶が記されていた。その後も世界各地から届く春の手紙――そんなある日、弥生が“愛を終わらせない方法、それは何でしょう”という謎掛けを残して突然、姿を消す……春はなぜ手紙を書いてきたのか? 弥生はどこへ消えたのか? ふたつの謎は、やがて繋がっていき……

 これはダメだ。恋愛映画でありながら、エモーショナルな感情が沸き起こる事はなく、登場人物がそれらしい言葉を並べるだけ……そこには、物語を形作る強さも、説得力も感じられない。
 映画としても、せっかくの豪華な配役も、ミスキャストとしか思えず、劇中の10年と言う時間を表現出来ず、主演の佐藤健、そして、春役の森七菜共に10年前と現在がまるで同じ印象だったりするのも勘弁して欲しい所ではあるが、本作の最大の問題はやはり物語だろう。
 大体、「この世から猫が消えたなら」、「億男」と川村元気の生み出す物語には説得力がなく、心動かされた事がない――確かに、川村元気は、プロデューサーとしては、「君の名は。」ですれ違いの作家である新海誠に出会いを描かせてヒットに結び付けると言う剛腕ぶりを発揮しており、そこは凄いとは思うものの、物語のクリエイターとしては疑問を感じずにはいられないのだ。本作の、倦怠期のカップルが、男の恋人の死をきっかけによりを戻す、と言う物語は、陳腐な上に、難病と死を感動のネタにする、と言うのもどうかと思う。

 山田智和監督は、初めての長編映画、そして海外ロケでありながら、スケールの大きな映像をものにし、劇場の大スクリーンで見せるそれは見事であるし、才能を感じるカットを随所で見る事が出来るのだが、この物語ではどうしようもない。
 川村元気原作、と言う時点で嫌な予感はあったのだが、これはその予感を確認するだけに終わった映画だった。
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