中国の自滅のために、日本が脚光を浴びて株価が高騰し、世界の眼が再び日本に集まっています。それは日本が「モノつくり進化の大国」であり、中国はそれを「進化させられなかった大国」です。なぜそうなったのか。それは「日本が持っていた歴史的なモノつくりの文化」が中国には殆どなく、「日本の庭できれいに咲いていた花」を中国に植えこんだだけだったからです。今、EVで先行して「痩せ馬の先走り」をやって大量の企業が倒産していますが、これとて「新商品の開発、市場投入の経験がない」ために、招いた結果です。私たちの経験では「長野県で作った冷蔵庫が静岡県では水が漏れる。なぜなら内陸では湿度が低いけれど、海沿いでは湿度が高い」というような事もあります。電池容量が少なく、航続距離が少なくて冬場に温度が下がり、電池性能が落ちる。その上暖房を使う。充電スタンドが足りない。なのにEVを南方の地域で開発した結果の出来事です。
日本家屋では日当たりのよい南向きに座敷があり、北向きにトイレや台所、物置などがあります。換気扇を開発したころは、団地のマンションでたくさん売ろうと考えました。その結果、多くの日本家屋から苦情をいただきました。「お隣の匂いが全部うちの座敷に流れ込むのよ」。「洗濯機の音が大きくて電話が聞こえないのよ」「エアコンの音が大きくて、お隣のおじいちゃんが死んだと言われて使えないのよ⇒エアコンはウインド型からセパレート型になりました」。今日からお話するのは、「群盲象を撫でる」のたとえにあるように、尻尾を触ればロープのようだと言い、耳を触ればうちわのようなものと言いい、鼻を触ればホースのようなものだと感じ、足を触れば柱のようなものだと思うのと同じで、皆さんのご経験から見れば、僕の話はおかしいじゃないかとお感じになられると思います。しかも少ないスペースで乏しい文力で書くのですから所詮低レベルです。お許しください。
まず、「プラスチック」のお話しから始めます。1895年日清戦争の結果、下関条約で台湾が日本に割譲されました。未開の土地を貰って何で台湾の経済を立ち上げるのかという課題が早速持ち上がりました。サトウキビやバナナなどが持ち上がる中、台湾には楠が茂っていて、そこでとれる「樟脳」がイギリスのジャーディ・マセソン商会によって輸出されていました。それに目を付けた台湾総督府は「専売」にして利益を上げることにしました。何せ、初めて日本が獲得した「植民地経営」であり、「ノウハウだらけのイギリスに迷惑をかけるわけにはいかない」と勇み立った児玉源太郎総督は、そんな「防虫剤」がなぜたくさんいるのかを調べました。すると「樟脳」は「セルロイド」の原料だと言う事が分かったのです。これが今でも「プラスチック樹脂」と呼ばれる理由です。
そう、あの筆箱や下敷き、「青い目をした人形は アメリカ生まれのセルロイド」とか「ロイドメガネに燕尾服」のあれです。それが戦後に「ナイロン」「ビニロン」などの石油素材の発達によって化学繊維が一気に普及して、帝国人造絹糸(今の帝人）や近江絹糸、東洋レイヨン(今の東レ）などが一斉に参入しました。一方戦前朝鮮で肥料を大々的に作って一大財閥を形成していた「日本窒素」は帰国後財閥解体に遭って、「新日本窒素＝肥料」と「旭化成＝繊維」と「積水化学＝化学製品」に分割されました。そのほか「扇興運輸」や「信越化学」も同じ系列です。その中で「積水化学」がいち早く始めていたのが「プラスチック製品」でした。お箸や電気コンセントやフライパンの柄など作られていましたが、電機メーカーに目を付けられました。
当時、ソニーが開発した「トランジスタラジオ」のケースが欲しかったのです。積水化学としてはセルロイドをプラスチックに置き換えることを考えていたのに、「それに音を出す穴の開いたアルミ板をカシメる長孔を開けてくれ。ダイヤルが見える窓を付けてくれ。つまみやアンテナなどを取り付ける穴をあけてくれ。ラジオを中に組み込んだらフタを閉めてくれ。後から電池の蓋を別に閉められるようにしてくれ」といったややこしい要求が付いてきました。でも受注の数がべらぼうに多いし、そんな金型の経験もありませんから、セルロイドの技術者を探して教えを乞うことになりました。セルロイドの石鹼箱の作り方から学べないかと考えた訳です。
ご存知の方にはご退屈な話ですが、お若い方には新鮮に聞こえるかもしれません。戦闘機の技術者が戦後の自動車や新幹線を作ったように、高度成長期の日本はその源にアメリカの種子があったとしても、日本の工作技術がなければこんな製品で高度成長すると言う事はアメリカさまでも考え付かないやり方で発展してきました。続きはまた明日。
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