今日まで世界は多くの発展を遂げることが出来たのは、「成功の歴史」だけがあったのではなく、その何倍もの「失敗の歴史」があって、今日の世界の発展があったことを知りながら、世界中に存在する「博物館」には、その数少ない「成功例」ばかりを集めた「博物館」しか存在しません。そうして、今日も世界中の「技術者たち」が延々と「失敗の歴史」を積み重ねています。
しかし、それは何も「自然科学の世界」だけに限らず、「社会科学の世界」ではもっと激しい「失敗の歴史」を繰り返してきました。そうして未だに「見果てぬ夢」を追い求めています。そこは「自然相手の数式で導ける世界」ではなく、「人間相手の欲望が支配する世界」であるために、「複数の欲望が時系列的に重なり合うという偶然が支配する世界」で、「予測が非常に難しい世界」であると考えられています。
学問というのは「仮説を立てて検証を繰り返すこと」で成り立っています。多くの「発明」は「リバースエンジニアリング」という「解体して真似をする」ことで、「失敗の歴史をたどらずに成功を手に入れる」という安易なメソッドを選びがちになりますが、その結果中国のように「知的財産権を認めようとしない国」が出てこようとします。そうして「自動車エンジン」や「半導体」などの「多大な失敗の歴史」を持つ産業では一足飛びの「成果直結の産業」が実現できないことも多々あります。
では「未来予測」についてはどうかと言えば、やはり「少数の自然科学」と「多数の社会科学」において、多くの「失敗の科学」が推測されます。「自然科学」は「社会科学」に比べて「変動要因」が少ないからです。こうした前提で一つの「社会科学」の事例を推察していくと、このようになります。「現在の中国経済はこの先どのようになるか」と言えば、「破たんさせてはいけない」という答えが返ってきます。しかし人間社会の多数は「中国経済の終焉を望むような政策」を次々と撃とうとします。そのあたりの「失敗の危険性の中身」を見てみたいと思います。
現在、アメリカは「物価高」に苦しんで、「利上げ」を繰り返しています。それをいくらかでも抑えるためには、「中国産の輸入」は不可欠です。「物価の高騰は不動産価格や株式投資も押し上げ」ていきます。すると、「需要が飽和点に達し、景気が腰折れします。ですから「物価の高騰」は大統領選挙ではマイナス要因になります。ここに世界からの「アメリカ向けの鉄鉱石、アルミ、銅や石油、天然ガスなどの資源価格」が高騰したりすればアメリカだけでなsく、中国もお手上げになります。つまり現在の電気自動車（EV）、電池、太陽光発電を補助金で政策的に安価にして、世界に集中豪雨的に安くして、「価格破壊を起こして世界市場を乗っ取る作戦」は痛み分けになります。
現在、中国では消費が止まって深刻な「不況」に陥っています。その打開策として「消費者ローン金利」を引き下げました。すると、現在致命的な痛手を受けた「住宅ローン」を抱えた消費者が「金利の低い消費者ローン」を借りて、「住宅ローン」の返済を始めました。同時に「地方政府も債務返済に充てる」ことになりました。ですから「需要喚起は後回し」になっています。こうして「市中に資金を供給した政策」は「銀行に預金返済に回す金が足りない現象」は起きており、需要は拡大せず「景気悪化」は止まりません。苦肉の策として「補助金まみれの電気自動車（EV),電池、太陽光パネルのダンピング」で稼ごうとした政策はアメリカの関税引き上げで封殺され、EUも追随したことで「八方ふさがり」になっています。
日本でもこの経験があります。オイルショックでトイレットペーパーが売り場から無くなったころ、テレビは高消費電力ながら明るい高角度(110度)偏向のブラウン管をもとの低消費電力(90度)偏向のブラウン管に戻し、安価な新製品に切り替えました。同じことが中国のスマホで起きていると言います。ノキアが1999年に発売した9210という携帯電話を「４G対応、ネットサーフィンなし、カメラ200万画素、決済アプリ対応、一部ゲームにも対応」に改造して349元(約7000円)で爆売れしているそうです。
このように、いくら米国が中国と対立しているからと言って、中国を崩壊させれば自国の経済も返り血を浴びる。生かさず殺さず、東南アジアやインドの移管進行状況になかで自国の利益になる役割を与える作戦が必要かと思います。
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