残念なことは日本が「島国の無資源国のために独自文化であり、そのせいで自然を受け入れない他国文化を受け入れることを重ねて発展してきた」という認識が少ないのです。しかしそうして練り上げられて熟成した日本文化は独自の発展を告げ、今や世界に冠たる文化を築き上げ、今再び脚光を浴びようとしています。反対にその卑屈な習性から、「外国からの圧力に弱く、すぐに受け入れてしまう癖」が抜けません。
日本は鉄鉱石鉱山が少なかったため、鉄器を作るのに砂鉄を主に使いました。たたらで溶かしたものを固めるのに、叩いて固めたために「鍛造」という技術が発達しました。これに対して西洋では早くから南部鉄瓶のような『鋳物技術」が発展していました。したがって西洋では鉄の組成は研究されますが、「刀の切れ味」は謎とされてきました。日本は漢字や仏教を受け入れてきました。そこから独自に「ひらがな」「カタカナ」を作り上げ、日本語が表記できるようになり、早い時代から万葉集や古事記、日本書紀などが書かれてきました。これで、日本語の表現が格段に広がりました。仏教も日本人に合わせて、たくさんの宗派が出来あがり、多くの災害に見舞われながら、心の安らぎをもたらしました。ですから、外国語の日本語翻訳者さんはありますが、日本語の外国語訳が出来る人は極端に少ないのです。
一方、中国はと言うと、良く知られているように「紙、火薬、陶器、漢字」などの発明は有ったものの、それが偉大な経済効果をもたらしたために、「シルクロード」がありながら余所からの文化を受け入れて発展することは有りませんでした。漢字の発展は逆に中華思想を尊大にし、今でもニューヨーク（紐育）、バンコック(盤谷）マレーシア(馬来)など音感で表現するか、意味を漢字表現する「マイクロソフト(微軟)」「アメリカ（美国）」「フランス（法国）」「ドイツ（徳国）」と表現するしかありません。日本人は外来語は原語に近い「カタカナ表記」、意味がすぐに分かる「漢字表記」、言葉のニュアンスを伝える「ひらがな表記」と多彩な表記を操ります。中国が人工衛星が得意なのは、昔から「火薬の発展」が得意だったからです。
日本庭園は「自然をそのまま縮小した形に造園され、借景まで取り入れて造園するのが基本で、日本家屋も「縁側」「畳」などで夏冬の季節とともに暮らしますが、西欧はベルサイユ宮殿でも、シェーンブルン宮殿でも幾何学模様に切り刻んで、建物も石造りの完全実封型で、人間が自然を征服したことを楽しみます。着物一つとっても「和服」は「生地をそのままつなげて、その上に自然の景色や花を描きますが、西欧では生地を裁断し体に合わせてデザインします。それが悪いとか言っているわけではありません。例えば「革靴」等では圧倒的に海外生産の物がフィットします。革靴を作ってきた歴史が違います。いくら頑張ってもバイオリンは西欧で作られたものの方が音がよいとされています。
このように見てくると、例えばスポーツなどでも大陸の争いの歴史に置いていかれていた日本も、戦後80年の間にすっかり受け入れて伝承され最近は世界で大活躍する選手が目立ち始め、サッカーなども外人監督が居なくても世界で勝てるようになってきました。音楽の世界でも音楽家の二世などの中から世界で活躍する著名な若手演奏家も続々登場してきています。しかし残念なことは教育の世界がこの認識が薄いせいで、戦前の教育体制のまま権威を保とうとして、世界ランキングからどんどん遅れていっています。折角アジアで最大のノーベル賞受賞者数を誇る国として評判が高いのにもったいない話です。
麻生副総裁が日本のサブカルチャーを盛んに評価されているのに、教育が受け入れず、外国で日本のアニメで育った若者が日本語ぺらぺらで、今日本への観光客を集めているのに、その間訪日客に対応する日本側の対応が外人観光客を失望させています。日本人の若者がアニメの「聖地巡り」をしているのに、外人観光客の「聖地巡りツアー」が出来ていません。要は、受け入れることには得意でも、発信するのが苦手なのです。やがて日本のサブカルチャーも世界を舞台に描かれる時が来るでしょう。そこから「世界平和」が生まれてくるのです。今、中国の海外侵攻が盛んになるにつけ、アジアの弱小国は国の存亡が危うくなり、盛んに日本の支援を求めています。しかし日本は消極的で中古の巡視船ぐらいしか支援しません。でもそれが全部中国のモノになって孤立したときの日本を、日本人は考えているのでしょうか。
長々と日本文化が「外国文化を言受け入れて発展させてきた歴史＝最高に練り上げられ熟成した高度な文化」であり「世界からも絶賛されている国」なのに、その自覚もなく未だに「島国根性」で「引きこもり」なことが、現在の日本を貶めて危うくしている現状をご案内しましたが、アニメやゲームも日本文化が熟成した形であり、嘗てのアメリカ映画と同じ世界が歓迎している文化なのです。明日からのシリーズで「モノ作り大国」の戦後の発展をたどっていきたいと思います。きっと面白い「そんなところにルーツがあったんだ」というお話がお読みいただけて、さらに日本の発展の明日を語ってみたいと思いますのでお楽しみにして下さい。
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