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2024年03月07日20:42

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瀬々敬久、渾身の大作「ラーゲリより愛を込めて」。変態ピンクなのに何故か愛おしい才人・城定秀夫の「キモハラ課長 ムラムラおっびろげ」。

 3月1日(金)に昨年の令和5年3月公開の日本映画「美しい彼 special edit version」を観る。

「美しい彼 special edit version」(酒井麻衣)
BLテレビドラマ全6話の再編集総集版である。その後日談の劇場版をすでに観ており、そこでも丁寧な創りで一見さんお断りでなく前日談が要約して挿入されていたので、印象はあまり変わらない。男と男でも愛し合う者の心理の綾と機微は変わることなく、そこがキメ細かく描かれているのには感嘆したが、それ以上に(私の偏見は認めるのにやぶさかではないが)この題材で全く生理的不快感が希薄である種の美しさすら感じさせたことは、女流監督の為した技だろうか。(こういう言い方も私のセクハラ的偏見かもしれない)。とにかくテレビドラマとは思えない映像の豊かさがあり、2時間12分を飽きさせなかったあたり、酒井麻衣は映画界の期待の新星と言えよう。(まあまあ)

 3月2日(土)に2021年6月公開の外国映画「モクソリ」を観る。

「モクソリ」(チェ・サンフン)
「13日の金曜日」を始めとしたハイスクールムービーを芯に、JホラーならぬKホラーの一篇。特に目新しいものはないが、相変わらず様々な要素を巧みに絡み合わせた韓流の堅調を示した。まず6人の高校生達のキャラの色分けが鮮やかで、舞台となる廃墟の遊園地と、死者との窓が開かれる鬼門との結びつきの着想と共に、怪奇ムードがタップリのヴィジュアルが悪くなく、親の受験戦争の叱咤の犠牲になった形の、ヒロインの親友とのトラウマとなった別れで締めたのも味があった。これがデビュー作のチェ・サンフン監督、韓流はまた新たな戦力を充実させた。(よかった)

 3月3日(日)に一昨年2022年1月公開の外国映画「ゴッドスレイヤー 神殺しの剣」を観る。

「ゴッドスレイヤー 神殺しの剣」(ルー・ヤン)
小説世界が現実世界に影響を与えてしまう作家がいて、彼の描くのはヒロイックファンタジー。二つの世界が併行して描かれ、現実世界の方も大IT企業の世界で、こちらもかなり荒唐無稽だから、二重に楽しめる仕掛けで2時間越えでもヴィジュアルの豊かさで退屈はさせない。でも、ストーリーは私にはヒネり過ぎに見え、創り手がノっている程にはノれなかった。(まあまあ)

 3月4日(月)にピンク映画「獣たちの性宴 イクときいっしょ」を観る。

「獣たちの性宴 イクときいっしょ」(今岡信治)
世紀末の倦怠感に溢れきった1995年公開の国映作品。これまてにも繰り返し述べてきたが、私の趣味に全く合わないピンクのゲージュツ映画。ここでは、そういう評価もあるということで、PGの作品紹介の抜粋を記しておこう。「閉塞的な空気感が漂っていた時代。(中略)断末魔の叫びが聞こえるような(中略)“性春映画”の秀作!」(あまりよくなかった)

 同日4日(月)に一昨年の令和4年8月公開の日本映画「映画 おしりたんてい スフーレ島のひみつ」を観る。

「映画 おしりたんてい スフーレ島のひみつ」(座古明史)
私が闘病生活に入った令和3(2021)年以降の公開の自宅観賞を中心として、映画感想は全て記すという本日記の主旨に則り、「おしりたんてい」も取り上げる。この日は、令和2年公開の前作を含め、ピンク1本に「おしりたんてい」2本と凄い3本立と相成った。完全幼児向けで、大人ならすぐ判るクイズを散りばめているのが特長のようだが、口元が肛門の位置でありおならが必殺技というあたり、下ネタが好きな子供には受けるのだろうが、私には良い趣味とは思えなかった。(あまりよくなかった)

 3月5日(火)に昨年の令和5年3月公開の日本映画「映画 ドラえもん のび太と空の理想郷」を観る。

「映画 ドラえもん のび太と空の理想郷」(堂山卓見)
「ドラえもん」に日本を代表する脚本家・古沢良太が参戦したが、期待にたがわずセンスオブワンダーに溢れる「ドラえもん」らしさを散りばめた好脚本となった。具体的に記すと全てがネタバレに連なりそうなので、抽象的表現にならざるを得ないが、「ユートピアとは逆ユートピアでもある」「マインドコントロールには美味しい餌が必要」「駄目人間にはそれなりのパワーがあり個性はそれだけで貴重」「ありのままを認めての友情こそ全ての源」と、現在の世界情勢に鑑みても様々なアナロジーを思わせ、ラストを見事なタイムパラドックスでハッピーに納める後味の良さも素晴らしい。(よかった)

 同日5日(火)に昨年の令和5年8月公開の日本映画「異動辞令は音楽隊!」を観る。

「異動辞令は音楽隊!」(内田栄治)
現代に全くマッチしない強引捜査と部下へのパワハラもあり、30年の功績大の刑事が、小学生の頃に太鼓で表彰されたことがあり、これ幸いと広報部の音楽隊に移動させられてしまう。彼は音楽隊の経験を通じ人生の多様さを理解し丸くなり、パワハラ告発した部下の若者も杓子定規が全てではないことに目覚める。予定調和だが、阿部寛のキャラにピッタリで楽しく魅せた。「ミッドナイトスワン」に続いて本作も内田栄治のオリジナル脚本。原作物に頼り切っている日本映画の中で貴重な才能だ。(まあまあ)

 3月6日(水)に一昨年の令和4年12月公開の日本映画「ラーゲリより愛を込めて」を観る。

「ラーゲリより愛を込めて」(瀬々敬久)
瀬々監督作品はド暗い題材の物が多いが、何故か観賞後の後味は良い。監督とは何回かお会いして話したことがあるが、「それでも俺は生きてんだぁ〜!文句あっか!!」というポジティブな姿勢が漲っていた。本作もシベリアのラーゲリが舞台がほとんどで134分と2時間をかなり超える長尺だが、気が滅入るどころか生きる気力を沸き立たせてくれるのは、その人間性に依って来たるところがあるのだろうか。瀬々映画でもこれ程「生きろ!」との絶叫が響いたのは初めてだろう。ソ連が捕虜支配のために旧陸軍の支配構造を活用した陰険さは、すでに「人間の條件」で描かれ済だがそこもキッチリ押さえられているし、終盤の「華氏451」もかくやのエピソードはタップリ泣かせ、長編を飽きさせずグイグイ引っ張った秀作である。二宮和也・北川景子を始めとして松坂桃李・中島健人・桐谷健太といった平成・令和の俳優が昭和の戦中・戦後の人物を演じるとこれまで違和感を感じることが多かったのだが、本作では全員がその時代の顔になっていたのは、演出の素晴らしさなのだろうか。そういうズレにこっちが鳴れてしまったせいなのだろうか。(よかった。ベストテン級)

 同日6日(水)に令和3年1月公開のピンク映画「キモハラ課長 ムラムラおっびろげ」を観る。

「キモハラ課長 ムラムラおっびろげ」(城定秀夫)
キモいセクハラ課長と気持の悪いものに興奮する部下のOLの異常な愛。課長は風俗嬢に部下を演じさせて興奮し、OLは上司をオカズにオナニー、果ては盗聴器を仕掛けてそれをオカズに興奮する。お互いの想いに気付いてもOLは妄想内の課長に執着し、ラブラブには至らない。潔癖症の男と臭いフェチの女の異常性愛を描いた「汗ばむ美乳妻 夫に背いた昼下がり」に近いテイストだが、何故かこんな変態世界に男女の純粋さが浮き上がる。才人・城定秀夫の面目躍如だ。(よかった。ピンク大賞優秀作品賞候補)

 3月に入って6日(水)までに観た映画は次の13本。

「美しい彼 special edit version」
「スーパーティーチャー 熱血格闘」「モクソリ」
「劇場版 ほんとうにあった怖い話 2019 冬の特別篇」「華麗なるリベンジ」
「ゴッドスレイヤー 神殺しの剣」「獣たちの性宴 イクときいっしょ」「悪人伝」
「映画 おしりたんてい テントウムシいせきのなぞ」
「映画 おしりたんてい スフーレ島のひみつ」
「映画 ドラえもん のび太と空の理想郷」「異動辞令は音楽隊!」
「ラーゲリより愛を込めて」


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