娘が「有名な映画を観てない」といつも言うので、帰省のたびに有名どころなDVDを棚から取り出している。
この作品は映画マニア必携の田中純一郎先生・著「日本映画発達史�掘廚良住罎砲發覆辰討い襪�ら、確実に有名・・・のはずｗｗ
〇『カルメン故郷に帰る』（1951／木下恵介）−−邦画初の総天然色映画。86分。
観た人は少ないと思うが、これやたら「頭の弱い女が」・・・と煽るんだよね。
キネ旬など当時の解説によると、〈頭の弱い女がストリップを芸術だと思いこみ意気揚々と郷里に凱旋して騒動を巻き起こす話〉で、いまのデジタルリマスター版の予告にも「頭が弱い女」の煽り文句がしっかり付いている。
村人たちは美人のストリップを楽しませてもらったにもかかわらず、ラストでは小馬鹿にして笑っている表情だ。本来なら「ありがとうございました」と拝んでもいい立場なのに。
なんぼコメディだからと言われても、私の初見では女性蔑視が鼻について大変不愉快な作品だった。
しかし娘がいま観ると、全然そんな印象は受けなかったようだ。
「楽しいことが何もない村が活気づいてよかったね。地元のうっとうしい盲目の作曲家もオルガン貰ってよかったね」というあっけらかんとした感想だった。
それよりも、「屋外で日差しが当たってるシーンなのに横から人物にガンガンにライトを当ててるこのぺったりした映像は何？」と。そんなところが気になったようだ。
「原っぱで素っ裸で踊っとるぞ！」と村人が父親に報せに来るシーンも、屋内でなくわざわざ家の外で撮っている。当時はそれほどフィルムの感度が低かった。
娘の感想は映像に関する「？」ばかりだったが、けっこう楽しめたようだ。
映画は時代によって感想が変わる。世代によっても見方が変わる。
公開当時は敗戦で身も心もボロボロになった男たちに比べ、女たちは解放されたエネルギーにあふれていたのだろう。恥を知らない女のエネルギーに圧倒され、それを蔑視しないと「自称・頭のいい男たち」は自分を保てなかったのだろう。
ヒロインの高峰秀子は可愛いというには美人すぎて才気あふれすぎて、今も昔も「頭の弱いストリッパー」には全く見えない。
でも下着姿で踊って歌ってくれるのでファンは必見ｗｗ
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