キングチュヌー。

gnu というのは奇妙な語である。

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英語では、

　　wildebeest
　　ˈウィるダビースト

が正式な呼び方である。

アフリカーンス語（オランダ語）の

　　wildebees　野牛

に、イギリス人が beast を混交させてしまった。

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gnu の発音は、

　　nju:　英国 RP
　　nu:　米国 GA

である。

ただし、英国では、ジョークで使われた［ɡəˈn(j)u:］ガニュー、ガヌーという発音の方が優勢になりつつあるという。

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語頭の gn- は、英語で一般的な古典ギリシャ語 γν- 由来の外来語とは意味が違う。

アフリカ大陸 南西部で話されているコイコイ人やサン人のコイサン語族で、語頭にクリック音を伴う、

　　!nu
　　ǂnu

が起源である。

いずれも「黒い」という意味である。

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クリック音の本物を聞く機会はなかなかない。

昔、｢ブッシュマン｣ という映画で有名になった、

　　ニカウさん

がチュパッチュパッ、我々の目前でやっていた。

今では、差別語であると「コイサンマン」と改題された。

しかし、改題したところで、我々は彼らに関心がない。

ブッシュマンの土地に空からコーラの空きビンが降ってくるアレだ。

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イッテＱで、イモトがナミビアのサン人の部落に滞在したことがある。

日テレは、このとき、奇しくも言語教材のように、村のリーダー、クンタさんにクリック音のサンプルをやってもらい、テレビで放送した。

　　! は舌を歯茎の裏につけて舌打ち
　　ǂ は舌全面を口蓋につけて舌打ち

これに nu をくっつける。

sky で、k のまえに s を付けるがごとくに、なにごともなく !nu, ǂnu と発音するんだな。

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これらの言語の古い正字法で t'gnu と書いたのが g の出所らしい。