mixiユーザー(id:14480841)

2023年12月03日13:56

239 view

ジョン・グリシャムのThe Exchangeを読んだ

ジョン・グリシャムのThe Exchangeを読んだ

非常に面白い、ぜひお読みください。
あの法律事務所The Firmの続編です。
ミッチ・マクディア―とアビィが復活します。
今回はアビィ・マクディア―の活躍が素敵です。素人が誘拐犯の使者と相手して活躍します。
勿論主役は「ミッチ・マクディア―です。
今回も期待は裏切りません。
前作Firmではミッチはハーバードを出て、メンフィスの法律事務所に入り、人生の出発を誤ってしまいました。
その事務所では若い5人の弁護士が退職し不審な死を遂げたのです。そしてミッチはFBIに事務所がマフイアのマネーロンダリングの舞台になっていることを密告しました。その結果、弁護士は全員逮捕され刑務所に送られたのです。ただ、ミッチはアビィとボートで海上にいたので逮捕されずにケイマンに逃げたのです。その後、消息を絶ち、密かにヨーロッパにわたりました。彼は内通者だったためFBIからも見逃されたのです。
その時、彼はFBIが見逃したマフイアの1,000万ドルを持って行ったのです。
15年の時を経て、彼はアビィとイタリアやヨーロッパを点々として静かにNYに戻っていました。
当時のマフイア、FBI、事務所の弁護士もなくなっていました。誰も忘れていたのです。

ミッチはNYでもう一度法律を学び、NYでの弁護士資格を得、世界でも屈指のスカリー弁護士事務所のスター弁護士として活躍していたのです。
その彼にスカリー法律事務所のパートナーである上司ジャックからイタリアに行く話を聞かされます。
彼は逃走中イタリアにいたこともあり、引き受けます。

イタリア最大の法律事務所でスカリーのグループのルカ・サンドローニが経営していたのです。その娘で後継者と目されるジョバンナは5年余りスカリーに所属し、ミッチとも仕事をした仲間でした。ルカは癌で余命わずかと宣告されており、ジョバンナが経営者として後継ぎの指導者にミッチを指名したのでした。

ルカの事務所では「トルコのラナク建設会社とリビア」の間に大きなトラブルが生じていました。
カダフィ大佐の肝いりで建築中だった砂漠の中のカダフィ大佐の巨大な橋、(片側4車線の8レーン)が6レーンで完成しました。8レーンなどはカダフィ大佐のイメージアップを狙ったものですが、2車線でも大きく、自動車の通行には宝の持ち腐れだったのです。
それで大佐が世界に自慢できる橋ではないと
ごねて残りの金額の支払い拒否をしたのです。その額400万ドルが長らく支払われず、遅延利息を加えると膨大な金額になり、法廷闘争になる恐れがあったのです。

そこでミッチはラナク建設のリビア対策チームをつくりトリポリに乗り込むことを決めたのです。
ミッチはジョバンナと二人で「カダフィ大佐の橋」を見るために出発することを決めたのです。
その前夜会食中にミッチはひどい腹痛に襲われ、救急病院に搬送されます。
翌日の出発は医師の忠告で無理となります。
しかしジョバンナはその日を逃せばリビアとの交渉に響くと考え、ラナクの警備兵4人とともに出発したのです。
そして砂漠にあるリビアの検問所にまでは到着したのですが、その後全く連絡が取れなくなった。
それからしばらくして、ラナクの警備兵4人の首なしの死体が橋に足を縛られたまま吊り下げられていたのです。
その上リビアの検問所の警備兵5人も額を撃たれた死体まで見つかったのです。
それでもジョバンナの行方は全く手掛かりもなく時が過ぎます。

誘拐者からは一切連絡はないのです。
スカリーは当然カダフィ大佐の誘拐ではないかと考えますが、やはり地元の反乱部族の仕業とにらみます。
何故ならリビア軍がチャドの国境近くの反乱部族を襲撃していたからです。
ジョバンナのスマホ位置情報がそのあたりだったからです。
しかしそのまま日が経過しますが、またリビア政府陸軍がチャド近くの部族を襲撃したニュースが入り、政府が何か掴んでいると思われます。
勿論ジョバンナのイタリア政府、働いていた英国政府も情報局を総動員して動きます。それでも依然消息不明が続きます。
この間のスカリーグループ内の混乱、イタリア、英国の情報部との駆け引きなどが緊迫感もありノンフィクションのようです。本当に面白く読めます。
まるで、実際の誘拐事件の闇の世界の取引を思わせます。

しかし誘拐者の組織や首謀者は全く浮かんでこないのです。まるで単独の誘拐のようなのです。

そんなある日、NYの街中で、アビィは中東風のベールをした女性から声をかけられます。
ついに誘拐者からの連絡だったのです。

しかし、連絡はその女性からだけで身元、組織については全く分からないのです。
彼女から、文章とスマホを渡され、連絡を待てと言うだけなのです。
彼女はアビィを常に監視していて、彼女の息子の動き、ミッチがどこにいるか、その行動も常に監視していると言うのです。スカリーのセキュリティチームのメンバーも熟知しているのです。
彼等はリビアか」部族の誘拐なのか、中東風の女性は何者かも一切分からないのです。
そんな中でスカリーの警備陣もスマホの中身を探りながら対応を考えるのです。

しかしプロの英国、イタリアの情報局も、警備陣も誘拐者が何者か全くつかめないまま指示を待ちます。
すると、アビィの写真を送り、1,000万ドルという途方もない身代金を要求してきます。

取引は10日後、一切値引きなしという条件でした。会うのはNYのホテルです。

全く姿が見えない相手に1,000万ドルは想定外でした。一般人の誘拐は500万ドルを超えることはなく、そして犯人は組織名を名乗るのが一般的だったからです。

カダフィなら損害賠償を考え500万ドル万ドル、反乱部族でも同程度の金額だと思われたのです。
しかしスカリーは500万ドルしか出せないと言い出し、ミッチや、ジャックは身内の弁護士の人質解放に身代金を惜しむ経営陣に怒り、これが終わればスカリーを辞職する決意を固めます。
ジョバンナの父親は全財産を担保に500万ドルまでを準備します。

そしてアビィを交渉役に選んだ誘拐者は今度、男性のハッサンなる老人が現れ、アビィに連絡し、面会します。
「命を救うためには10日間、それを実行するのは1秒間」

人質交換の日は10日後に変わらないものの、何故かアビィは値引きに成功します。金額は750万ドルになり銀行口座に振り込まれた後、すぐにNYでジョバンナを引き渡すと言うのです。
アビィ一人がNYの中で面会し、ハッサンと話をして、その場でケイマンの銀行経由で、入金確認後、ジョバンナをNY市内で開放するとハッサンは姿を消すと言うのです。

ここからはもうお読みください。とにかく上手い展開と巧みな描写はグリシャム、流石ベテランです。
その入金の手続きは経験のあるミッチが行うことになります。昔彼が仕事でいたケイマンの銀行に詳しいことを知った誘拐者であることにミッチは疑問を持ちます。彼は自分の過去について語ったことは絶対になかったのです。

話は単純に終わるかに見えますが、その間の話は非常に詳しく、実際の人質交換、身代金引き渡しまで詳しくワクワクします。
小説としては非常に面白いですが、冒険活劇ではありません。でも絶対のお薦めです。
(法廷ものでもありません)
これは必ず続編が近いうちに出版されるものと思います。
多分、トム・クルーズの主演映画されるのではと思います。後編がでてFirm とのつながりがみえるのではと楽しみです。年齢的にもトムにぴったりフィット。

ミッチは、すでに犯人が近くにいて、彼の家族を狙っていたことからも、誘拐者の存在を気づいたと思います。よく読めば続編を書く予定だと匂わせています。ミッチは誰にも彼の過去の仕事を語ったことはないことにと気づきましたから。

後書き:
*カダフィ大佐の時代が舞台とは驚きました。しかしそんな誘拐事件がよく発生した時代でした。
日本では「カダフィ大佐」と記されてますが、「ムハンマル=カッザーフィー」というようです。彼は2011年10月に死亡。
*ジョンのサインも昔より雑というか、下手になった。最近限定本以外サインはめったにないのです。彼も70近くなりましたから、仕方がないか。UKサイン版を£18.99(定価£22)で購入。US版より定価も安いです。
*後書きには「読者がミッチをまた読みたいか」と呼びかけていましたから、後編を期待しましょう。多分アメリカ人の誘拐者と個人的には思いますが。
*来春にまた新作Camino Ghostが5月28日に出ます。あのCamino Islandのシリーズ3作目です。これも面白いです。私の日記でもIsland は3,000ビューを超え。絶対面白いと請け合います。
*日記を2週間前に書いたのですが、誤って消去しました。現役引退後30年くらいになると、PC操作、エクセル等も忘れてしまうのが悲しく寂しいです。


2 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年12月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31