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2023年10月28日23:53

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29日はハンターズムーン、過去に文明に危害を及ぼした天体衝突事件 原子力発電のメカニズム、セシウム137について NASAの小惑星回避プログラム 他新幹線にそっくりな緑石 

 日常の思いついた出来事を写真つきで投稿できるX(旧ツィッター)で、新幹線にそっくりな緑石写真が、話題になっている。
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=241&from=diary&id=7615166

 確かに前の部分は、先頭車両のように、曲線的に窪み、黄色の反射板がついていた。後続のブロックがまっすぐ伸びている様子から、車両同士が連結しているように見える。撮影する角度によって、異なる印象に仕上げることができる。シャッターを押すことは誰でも出来るとはいえ、人々をあっと驚かせるには、工夫が必要である。写真の醍醐味を感じる一枚だった。

  <29日はハンターズムーン 過去に文明に被害を及ぼした天体衝突事件>

  10月28日(土)

 ハロウィン前の週末、日本各地で開催される祭を祝うかのように、29日(日)には満月を迎える。ネイティブアメリカンは、ひとつきごとに、満月の名前を付けていた。10月は、冬を前に狩りが忙しくなることから、「ハンターズムーン」という。電気がなかった時代、日が暮れると、夜空は真っ暗になった。夜の道に迷うと、空に浮かぶ満月の明かりによって、救われることがあった。狩猟採集生活から、農耕牧畜による、定住を初め、村から都市へと発展する中、月は変わらずにやさしい光を投げかけてくれた。

 29日の午前中は、日本列島の広い範囲で部分月食も起こる。国立天文台によると、月の欠け始め(食の始まり)は午前4時34分頃、月が最も欠ける食の最大は5時14分頃、部分食が終わるのは5時53分頃になる。最大食分は0.12(月の直径の12%が隠される)、わずかに月に影が出来る程度だった。それでも今年の秋では、最大の天体ショーといえる。2023年は例年になく、夏は暑かったものの、降雨量が少ない。晴天率の高さから、天体観測には理想的だった。いつの時代も人々は夜空にロマンを抱いている。

写真 掲載元 明け方に小さな部分月食https://turupura.com/gessyoku/kako/20231029/menu.html
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 目次
・第1章 火球目撃情報、2023年5月10日に沖縄県、10月27日には関東上空で
・第2章 地球に衝突する危険性が高い小惑星「2023DW」
・第3章 有史以来の天体衝突事件 1908年のツングースカの大爆発、2013年のチェリャビンスクの隕石衝突事件
・第4章 彗星の空中爆発による農耕時代の幕開け

  第1章 火球目撃情報、2023年5月10日に沖縄県、10月27日には関東上空で

 5月10日午後8時35分頃、沖縄県の県庁所在地那覇市を中心に、夜空を横切る火球が確認された。那覇市に滞在していた公共放送NHKの職員は、目撃時の様子をリアルに語った「西から東に向けて、1分くらいかけてゆっくりと移動する様子が見えました。最初は花火かなと思いましたが、音は聞こえず、一直線に動いていくので驚きました」

SNSでも、スマホの動画機能で撮影されたとみられる映像が、早速投稿されている。

 写真=沖縄本島で撮影された火球 掲載元 TBS NEWS DIG 2023年5月10日(水)21時31分 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/479426
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火の玉の正体は、大気中で燃え尽きた彗星、もしくは落下した人工衛星の可能性がある。2022年8月18日の夜には、関東地方で、2020年11月29日未明にも、西日本を中心に広い範囲で「火球」の写真が撮影された。

2023年5月10日午後8時35分に、沖縄本島の上空を横切った火球について、神奈川県平塚市博物館に勤務する天文担当学芸員・藤井大地さんは、中国が打ち上げた人工衛星打ち上げロケットの残骸と分析している。中国は、2022年11月に人工衛星運搬用のロケット『長征3号B』の打ち上げには成功していた。

詳細 NHK NEWS https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20230510/5090023102.html

 古くから人々は、夜空にロマンを抱いていた。宇宙進出を見据えて、各国が人工衛星を打ち上げる中、地球に残骸が落下する頻度が高くなった。大気圏で燃え尽きることにより、「火球」として観測される。

 2023年に入ってからも、東北地方で目撃されていた。2月28日午後8時前に宮城県仙台市泉区仙台空港の上空を捕らえた映像にて、光る物体が北西方向に走っていく様子が撮影された。国立天文台の岩手県水沢観測所の所長を務める本間希樹教授は、映像を見て、「火球だとおもいます」と答えた。その理由を次のように説明した。「特に今、火球が増えるあるいは流れ星が増えるというシーズンではないので、隕石みたいなものが落ちてくると、明るい流れ星=火球になりますので、たまたま続けて起きたというのが実情だと思います」

 写真=仙台空港のカメラがとらえた火球 掲載元 以下のサイト
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 火球について危険性はないと説く。彼は人々に安心感を与えるように、丁寧に話した。「基本的には心配ないですね。これくらいの火球ですと、元の隕石も全部燃え尽きて地上に落ちてきませんし、地球上に何か危険があるということはないですね」

 詳細 宮城県で目撃された火球 khb5 2023年3月1日付け https://www.khb-tv.co.jp/news/14851131

  10月27日(金)午後10時台、関東地方の夜空に、眩いばかりの閃光が目撃された。X(旧ツィッター)では、一部始終を記録された映像が投稿されている。目撃者は「宝石が落ちたような美しさ」と語っている。神奈川県平塚市の平塚博物館によると、「火球」の可能性が高いという。日本上空でもしばしば小惑星の大気圏突入による、火球が目撃されている。隕石は大抵、地球の大気圧によって、粉々に砕け散ってしまう。中には、大気圏を通過し、衝突痕を残す。今回は、隕石衝突をテーマとして扱う。NASA(アメリカ航空宇宙局)とESA(欧州宇宙局)が中心となる天体衝突回避プロジェクト、2003年5月10日に沖縄県で目撃が相次いだ火球についてである。過去有史以来2度起こった謎の天体衝突事件についても紹介する。

 

  第2章 地球に衝突する危険性が高い小惑星「2023DW」

科学技術の発展に伴い、天文学において、次々と長年の謎が解き明かされた。研究者達は、「遠方宇宙の観測」、「太陽系外惑星探し」、火星を地球化する「テラフォーミング」などそれぞれ、専門分野に分かれ、新発見に挑む。我々に身近な研究といえば、月面探査の他にも、危険な小惑星の追跡調査がある。NASA(アメリカ航空宇宙局)やESA(ヨーロッパ宇宙機関)を中心に、全天180度観測できる望遠鏡を駆使して、小惑星や彗星の動きを注視している。ESAは、日本時間2023年3月9日付けで、地球に接近する可能性のある一つの小惑星の存在を公表した。名称は「2023DW」、直径は約50m、軌道計算から、地球に衝突する確立は625分の1とはじき出した。小惑星の動きは予測が難しく、継続的に観測を行う。観測データーを積み上げるたびに、軌道を計算して、衝突するか否か、判断できる。

 写真左=小惑星2023DW イメージ図/NASAより 掲載元 CNN,co.jp 2023年3月10日付け 
 写真右=光学航法用カメラ「DRACO」が衝突の2分半前から1秒前までにとらえたディモルフォス(左上画像の右下はディディモス)。ディモルフォスまでの距離は左上920km、右上63km、左下12km以内、右下6km以内(提供:NASA/Johns Hopkins APL)https://www.cnn.co.jp/fringe/35201127.html
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 既に世界各国の研究機関では、過去にも文明への影響を及ぼした小惑星の衝突を回避するべく、あらゆる方法を考案している。その一環としてNASAは、世界初の惑星防衛システムを実証するべく、小惑星に衝突する探査機、インパクターの開発に勤しんだ。インパクタを小惑星に押し当てて、軌道を変えるのである。2021年11月23日に、カリフォルニア州から探査機「DART」をスペースXのファルコン9ロケットに搭載し、ロサンゼルス北方のバンデンバーグ宇宙軍基地から発射した。ターゲットは、地球から1100万キロに位置する小惑星ディディモス(直径780m)の回りを周る衛星ディモルフォス(直径160m)である。探査機DARTに指令を送り、ディモルフォスに衝突して、軌道を変えられるか、実験する。日本時間2022年9月27日に、NASAは、直径780mのディディモスに、探査機DARTが衝突したと発表した。NASAの協力を受けて、ミッションを主導するジョンズ・ホプキンス大学の応用物理学研究所(APL)が、詳細を明らかにした。唯一の観測装置として搭載されていた光学カメラ「DRACO」で捉えた小惑星の映像を、DART探査機は衝突の瞬間まで地球へ送り続けた。NASAのライブカメラを通して、世界へ発信されている。NASAによると、秒速6.1kmで飛行していたDART探査機の衝突によって、ディモルフォスの公転周期は約10分短くなったと、推定している。

 今回の意図的な小惑星の衝突実験は「キネティックインパクト」という。小惑星ディディモスとその衛星ディモルフォスは、軌道を変えても、地球へ衝突する恐れはなかった。NASAに続き、ESAは2024年にインパクター「HERA(ヘラ)」を打ち上げ、ディディモスとディモルフォスを観測する。2027年に二つの天体に到着し、軌道や時点周期、天体の構成物質などを、半年に渡る調査で明らかにする。

写真=HERAのイメージ図/NASAより 掲載元 ROOT NATION https://root-nation.com/ja/ua/news-ua/it-news-ua/ua-hera-mission-dart-asteroid-impact/
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 第3章 有史以来の天体衝突事件  1908年のツングースカの大爆発、2013年のチェリャビンスクの隕石衝突事件

有史以来天体衝突による被害は確認されている。1908年のこと、当時のロシア帝国のシベリア、エニセイ川支流ツングースカ川の上空で謎の空中爆発が起こっていた。後に帝政が倒れ、新しいソヴィエト政府の下、派遣された調査員に対して、爆心地から1300km離れたイルクーツクの住民が、一部始終を語っていた。

 写真左=爆心地付近のなぎ倒された木々 版元 Getty Images
写真右=謎の空中爆発の犯人とみられる火球 版元NHK 掲載元 https://www.j-cast.com/tv/2016/10/18280939.html
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何気なく日常生活を送っていると、窓から明るい光が差し込み、後から突風が吹いて、ガラスが割れたという。爆発地点を見ると、周囲2100平方キロメートルにわたる範囲の樹木が、8000万本もなぎ倒されていた。焦げた木片から放射性同位元素のセシウム137が検出された。セシウム137とは、原子力発電所などで、ウラン235の核分裂によって生成される。原子番号92のウランは、天然存在比に関して、99、284%の確立で、238が占める。ウラン238は、中性子を一つくっつけると、ウラン239になる。ウラン239は、すぐに電子と反電子ニュートリノを放出するベータ崩壊を起こす。一端はネプツニウム239に変わる。半減期はわずか2,355日、続いてプルトニウム239になる。

 さてセシウム137の娘核種ウラン235は、半減期7億4000万年、中性子を吸収することにより、不安定化し、イットリウム95とヨウ素139になる。原子力発電所は、核反応をコントロールするべく、ホウ素、カドミウム、ハフニウムなどでできた制御棒を備える。核反応により、失った質量数1個分は、原子力において、発電のエネルギーとして放出されていく。

 核分裂反応をすることによる、セシウム137は、半減期30,1年、バリウム137に変わる。

写真左 掲載元 環境省 原子炉内の生成物 https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h28kisoshiryo/h28kiso-02-02-03.html
写真右  掲載元 環境省 原子核の安定・不安定性
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h30kisoshiryo/h30kiso-01-02-02.html
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 セシウム137は、水溶性があり、体内に吸収されることにより、内部被爆を起こす。

 以下 セシウム137 危険性より引用https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0137

 福島第一原発事故の後安楽死させた牛の調査によれば、 臓器中の放射性セシウム濃度は血液中の放射性セシウムに比例し、骨格筋で最も高く血中の約21.3倍であった。母牛と胎児・子牛の組の比較では臓器によらず胎児の放射性セシウム濃度は母牛の1.2倍、子牛では1.5倍になっていた[6]。

ヒトにおける体から排泄されることによる生物学的半減期は平均70日である[7][8]。この期間は年齢により変化し[7]、若年では短く(19日から57日)、老年では長い(80日から110日)[9]。

多量のセシウム137を摂取した場合の治療薬としてプルシアンブルー(紺青、ヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III))が用いられる[10]。プルシアンブルーは水溶性のセシウムに結合して不溶化することにより、腸肝循環に入ったセシウムの再吸収を防いで排出させやすくする[11]。投与に当たっては放射能量の測定などの制限があり、予防的な投与はしないよう勧告されている[11]。また低カリウム血症や消化管の蠕動運動の不調による滞留の長期化、鉄の過剰蓄積に注意する必要がある[12]。セシウム137の摂取量が30mSv以下ではそもそも投与による利益が期待できず、300mSv以上でなければ効果が期待されない[13]。小児以下の年齢では使用例が少なく、安全性が不明である。

                                <引用終わり>

 


さて、ツングースカ大爆発に話を戻すと、衝突から40年後の1958年から本格的に調査を行った旧ソ連隕石学会の専門家は、空中爆発したのは彗星と発表した。衝突エネルギーはTNT火薬にして15メガトン、広島に落下した原爆2000個分に相当するという。幸い付近に住宅街がなく、犠牲者は一人も出なかった。地球が24時間周期で自転していることを踏まえると、彗星の飛来が4時間遅ければ、一国の首都サンクトペテルブルクの上空で空中爆発し、都市を消滅させていた。空中爆発した天体の大きさは数十メートルと見積もられている。

現代に生きる我々の記憶に残っているのは、ロシアの「チェリャビンスクの隕石衝突事件」である。現場のチェリャビンスク市の道路を走行する車のカーナビなどが、大気中を横切りながら燃え上がる「火球」をとらえていた。現地時間2013年2月15日午前9時20分のことだった。衝突地点のチェリャビンスク市は、モスクワから東へ1400km、ウラル山脈の麓にある人口100万人都市である。地元住民は、衝突直前、強烈な閃光を浴びて、前が見えなくなったという。隕石衝突現場から西へ70kmの場所にあるチェリャビンスク湖が、落下の痕跡をとどめている。衝突事件後、湖面にぽっかりと大きな穴が開き、飛び散った破片が沈みこんだ。事件直前のカーナビ映像から推測すると、隕石が湖の東から西へ通過し、街の中心部を越えたことが分かる。最後に氷原に墜落して、粉々に砕け散った。

 写真左=カーナビ映像がとらえた火球 掲載元 Astro Arts 2015年2月16日付 ロシア隕石、母天体は不明のまま https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/209_meteorite
 写真右=チェリャビンスクの落下跡の氷原 掲載元 ロシア旅行の専門店 ロシア・エックスプレスより 2013年2月18日付け
https://www.russia-ex.com/blog/item/5011.html
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天体衝突を研究する東京大学の杉田精司教授の分析によると、秒速15km以上で移動した隕石は、大気圏で空気と衝突し、接し3000度まで上昇したという。市の中心部のカーナビが捕らえた映像を見て、杉田教授は一つの結論にたどり着いた。高温になった岩石が蒸発して、ひび割れを起こし、気体となって放出されたのである。天体衝突のエネルギーは、TNT火薬440kg、広島原爆の30個分と見積もった。エネルギーから小惑星の大きさもわかる。NASAによると、直径はわずか15mから20m、重さは1万1000トンとはじき出した。天体衝突による衝撃波で、町の各地では窓ガラスが吹き飛び、4474棟の建物を損傷させた。調査によると、1491人が重軽傷を負ったが、幸いにも死者は出なかった。

 写真=チェリャビンスクの隕石 実物 掲載元 THE WALL STLEET JOURNAL 2013年11月7日付け https://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702304218104579182851404880892
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 人口の増加に従い、津波の危険性が高い海沿い、大雨洪水被害のリスクが高い川沿いまで、住宅地が立てられた。経済活動が盛んな都市部に、ひとたび天体が落ちると、多くの人々の命が失われる恐れが高い。地球に衝突する確立が高い小惑星や彗星を割り出せば、監視体制を整える。軌道を性格に割り出せば、人為的に探査機インパクターを衝突させる。小さな天体ほど、発見は難しいとはいえ、インパクターにより、軌道を変えやすい。科学の力を駆使して、我々人は、地球防衛システムを構築している。

詳細記事 インパクターDARTについて

・RETUES 2021年11月24日付け https://jp.reuters.com/article/space-exploration-asteroid-idJPKBN2I90IM

・ディモルフォスへの衝突について SOEAE 2022年9月27日
「DART」探査機が小惑星への衝突に成功! NASA小惑星軌道変更ミッション
https://sorae.info/space/20220927-nasa-dart.html


      第4章 彗星の空中爆発による農耕時代の幕開け

 詳細記事 朝日新聞DEGITAL 2023年10月28日付 https://www.asahi.com/articles/ASRBV3F2LRBPPLBJ002.html?iref=comtop_Tech_science_01

 隕石による被害は、我々の生活を破壊する一方、新たな進化をうながす。米英の研究チームが、このたび、天体衝突と文明の進化の因果関係を示す貴重な資料を明らかにした。調査地点は、イラク北西部からシリア、レバノンへと跨る「肥沃な三日月地帯」、いわゆるメソポタミア文明発祥の地である。米・カリフォルニア大学サンタバーバラ校が中心となる調査チームは、シリア北部の古代遺跡「アブ・フレイラ」を捜索した。ダム湖に沈んだ遺跡を掘り起し、放射性年代測定をする。

 その結果、約1万2800年前を境に、鉱物層が変化していることを突き止めた。地球の岩石にほとんど含まれない高濃度のイリジウム、プラチナなどの金属が検出されたのである。実際に世界各地の同地層からも、同じような結果が出ている。高濃度のイリジウムとプラチナをもたらしたのは、地球外部から飛来する隕石衝突説が有力視されていた。一方でクレーターが見つからない点から、隕石衝突説を否定する学説も出ている。小規模の隕石衝突の場合は、すぐに風化することにより、クレーターは残りにくい。世界全土の地層に含まれる高濃度のイリジウムとプラチナをもたらすのは、規模の大きな隕石に限る。当時は氷河期から温暖期へ移り変わる過程だった。氷床に一定程度の規模の隕石が落ちても、跡は残らないことが想像できる。実際1万2800年前のヤンガードリアス期に、温暖期から一時的氷期に逆戻りした理由は分かっていない。再び氷期に移り変わる過程により、マンモスやスミロドン、オオツノジカなど、大型哺乳類は、絶滅した。


 天体衝突を裏付ける結果も研究チームは明らかにした。地層には、隕石に多く含まれるイリジウムやプラチナ以外の鉱物も見つかった。摂氏2千度以上で溶けた石英、急激な加熱と冷却によりできたダイヤモンド微粒子、溶けた動物の骨を採掘したのである。確かに地球内部由来の火山噴火でも、同じような鉱物が見つかる。それでも、量的には火山の大爆発が起こらなければ無理がある。同時代の巨大火山噴火を示す地層は、見つかっていない。地層から検出した資料に基づき、ヤンガードリアス期に、飛来した彗星の空中爆発により、環境変動が起こったとの学説も発表した。

 写真 掲載元 Gigazine 2020年06月22日 16時17分 彗星が引き起こした核爆弾級の大爆発で古代人の集落が滅亡していたことが判明
https://gigazine.net/news/20200622-ancient-syrian-town-comet/

フォトフォト

 既に西暦2020年の段階で同じアメリカのロチェスター工科大学の研究チームが、アブ・フレイラ遺跡にて、隕石衝突と文明の発展の因果関係を示す貴重な化石を発見していた。同地域では、人類史最古となる1万3000年前に農耕牧畜を営んでいたことがわかっていた。1万2800年前の層から、火災でも発生する木炭や微小粒子のほかに、溶融ガラスや極小サイズのダイヤモンドも見つけていた。溶融ガラスが帯びる磁気が少ないことから、自然発生する落雷による火事が起こったとの説は否定される。含水率が低い特徴が隕石衝突によって作られるテクタイトと一致していた。2020年には、ロチェスター工科大学の考古学者であるアンドリュー・ムーア教授が、火事の原因を彗星の空中爆破説を唱えていたのである。ムーア教授は、溶融ガラスが発生した状況について以下のように説明した。

「土壌に含まれる鉱物が溶融するには、最低でも1720〜2200度は必要になります」と述べました。また、共著者であるジェームス・ケネット氏は「これほどの高温下では、自動車でも1分足らずで金属の水たまりになってしまいます」

新たに2023年に調査したカリフォルニア工科大学サンタバーバラ校の研究チームのアレン・ウェスト博士(地球物理学)は、詳しく説明する。「落ちてきた破片は50〜100メートルほどの大きさだろう。空から溶けた岩が降りかかり、村人はほぼ全員死んだはずだ」。
その証拠に、人類の骨に鉱物が付着していたのである。米・サンタバーバラ校のチームは、今回の調査で、天体衝突と文明発祥の関連性も見出した。1万2800年前を境に、地球の植物相が変わっていたのである。前後700年の間に、温かく湿った気候で育つ野生のマメ科植物やベリー、梨が消えて、寒冷にも強い大麦や小麦などの穀物や豆類の割合が増えたのである。より安定的に食料を確保するべく、羊を家畜化し、小麦や大麦を栽培することにより、定住生活が出来るようになった。

 天体衝突の例は過去にもある。約3600年前の中東ヨルダンの古代都市の遺跡からは、熱風で結晶化した陶器や溶けた泥煉瓦が発見された。隕石衝突による変成作用として、木材や植物が、微細な「ダイアモノイド」と呼ばれる炭素の結晶分子になった。摂氏1590度で生成される鉄と砂が蒸発してできる「スフェルール」と呼ばれる塵のような粒子も見つかった。
 場所や時期からこの都市が、旧約聖書に記載のある、神の怒りをかって「天の火」で滅ぼされた都市「ソドム」ではないか、とうわさされた。遺跡は、死海の北東部に存在した古代都市「トール・エル・ハマム」を含む。一帯は約3000年にわたって交易で栄えたものの、紀元前1650年ごろに突如姿を消していた。以来300から600年間、不毛の地だったことがわかっている。面積はエルサレムの10倍、エリコの5倍に達する。

以下のa(画像上)が破壊される前のトール・エル・ハマムにあったと考えられる宮殿予想図で、b(画像下)が現在の姿。宮殿は52m×27mの面積で少なくとも4階建てだったとみられていますが、現在はほとんどその姿は残っていません。

 写真 掲載元 Gigazine 2021年9月22日付け https://gigazine.net/news/20210922-tall-el-hammam-sodom-gomorrah/

フォト

 天体衝突や地震、火山噴火など、災害により、我々の暮らしは一変する。一度は破壊されても、知恵を振り絞り、町を再建した過去がある。さらに災害に備え、テクノロジーを発展させた。日本では、地震や大雨・洪水により、建物が破壊される被害が起きる。生活基盤を失った教訓から、川の堤防工事を行い、増水対策に努める。建物は、地震の揺れに強い、免震構造を取り入れるなど、進化を果たしてきた。

 今なおデジタル化によって、我々の暮らしに変化が起きている。


 天体関連の日記
 2023年9月29日 中秋の名月 多摩市鶴牧東公園 天文関連 ブラックホールの回転、2023年4月に観測至上最大規模のフレアをとらえる。オーロラ現象について
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986024054&owner_id=32437106

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