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2023年10月24日11:32

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近隣美術館の関連展示との比較という意味でも,興味深い展覧会です…上野の森美術館のモネ展

 とても興味深い展覧会です٩(๑˃̵ᴗ˂̵๑)۶ ° すぐ近くの美術館で関連する展示を合わせて鑑賞出来ると考えると特に。

 印象派というのは西洋美術における一大画期とされ世界中でその作品は高く評価されていますが,日本においては特に人気が高いということもしばしば指摘されています。これには幾つかの理由があり、たとえば「歴史画や宗教画が少ないので,西洋史やキリスト教・ギリシャ神話などにあまり馴染んでいない日本人にも受け入れ易い」「浮世絵などからジャポニスムの影響を強く受けているので日本人にとって親しみを覚える点が少なくない」などによるものとされておりますが,中には「印象派の盛んだったのがちょうど日本の明治期に当たり,印象派の作品を最初に観たことで日本人は『これこそが西洋絵画』と認識するようになったから」などという説もあったりします。生物学においては動物行動学者コンラート・ローレンツによる「刷り込み」という有名な理論があり,それによるとヒヨコは孵化後初めて見たものを親だと認識するのだそうですが,果たして人間もまたヒヨコと同様の認識をするものなのでしょうか。僕としては甚だ懐疑的ですが,話としては面白いと感じないでもありません。

 そんな印象派の中でもクロード・モネ(1840〜1926)は長寿に恵まれたこともあって印象派を代表する画家として世界的にも評価される存在ですが,彼が睡蓮という日本人好みのモチーフをしばしば描いたこと,また彼自身もジヴェルニーの自宅に日本風の庭園を築くほどの日本趣味の持ち主でその庭園を描いた作品も存在することなどもあって,日本では特に高い人気を誇っています。そんなモネの作品だけを集めた「モネ 連作の情景」という展覧会が2023(令和5)年10月20日から2024(令和6)年1月28日まで,東京・上野の「上野の森美術館」で開催されているというニュースです。「積みわら」「ウォータールー橋」「睡蓮」といった有名作品は勿論のこと,モネが印象派の一因になる以前の作品をも含めて幾つかの初来日作品をも展示すると聞き,これは興味深い展覧会だと感じさせられました(⁎˃ᴗ˂⁎)

 僕は実は,印象派一辺倒というわけではありません。ルネサンス絵画にもバロック絵画にも新古典主義絵画にも興味があるし,コンテンポラリーアートも大好きです。歴史画や宗教画もまた,判らないなりに面白く感じます。とはいえ当然ながら「印象派のみに拘らない」というのは「印象派に興味が無い」のとは全く違うわけで,僕もまた日本人の大多数の傾向と全く同じく印象派の作品は大好きです。特にクロード・モネはこれまでにも横浜美術館などで何度も鑑賞してきたこともあり,またその横浜美術館の展覧会で「モネによる光の描写は,マーク・ロスコやゲルハルト・リヒターといったコンテンポラリーアーティストに脈々と受け継がれている」ということを学んだこともあってモネの作品には特に興味があります。こちらの展覧会,是非お邪魔したいと強く願っているところです(*^^)v
 更に申し上げると,僕がこの「モネ 連作の情景」に興味津々なのはそれだけが理由ではありません。以前にもご紹介しましたが,実に折良くというべきか,上野の森美術館にほど近い国立西洋美術館では2023(令和5)年9月19日から2024(令和6)年2月12日まで「もうひとつの19世紀 ―ブーグロー、ミレイとアカデミーの画家たち」という展覧会が開催中ということもあり「両方を立て続けに鑑賞してやろう」という野心的な思いを感じていることもまた,こちらのモネ展に興味津々になっている理由の一つです。皆様もご存じのとおり,19世紀フランスで生まれた印象派は,当時必ずしも美術の主流というわけではありませんでした。いや,むしろ当時のフランスではアカデミック美術こそが美術の主流であり,印象派の作品は当初「未完成の作品なのではないか」「ただ印象が描かれているだけだ(「印象派」という名称はこれに由来します)」などと人々を困惑させ酷評すら受けたことは有名なお話ですね。現代ではむしろ印象派こそが当時の美術の王道とされ,逆にアカデミック美術はごく近年まで不当な低評価に甘んじ続けていたことも。果たしてそれが妥当な評価なのか,それとも単に19世紀における印象派冷遇への逆張りに過ぎぬものなのか,今の僕には判りません。そこで両者を同時に鑑賞することで自分なりに判断してみたい。僕はそのような野心を抱いているのです。

 幸いにというべきか上野の森美術館・国立西洋美術館,どちらの展示も年明けまで開催されています。いきなり行って「とても面白かったです」しか感想を抱けないのではつまらないので,少し自分なりに勉強をした上で両方の美術館を同日に訪問して印象派とアカデミック美術とを連続して鑑賞し,自分なりにどのような判定を下せるか,何だかワクワクする思いを抱いているところです(๑˃̵ᴗ˂̵)



【100%モネ。開幕】「モネ 連作の情景」上野の森美術館で来年1月28日まで 睡蓮、積みわら、ウォータールー橋など
https://artexhibition.jp/topics/news/20231019-AEJ1650556/
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