10月19日(木)。
福岡市美術館で開催の『日本の巨大ロボット群像』展を観覧。
副題に「―巨大ロボットアニメ、そのデザインと映像表現―」とあるように、日本独自のジャンルである「巨大ロボットアニメ」の歴史を紐解き、荒唐無稽な存在である巨大ロボットにリアリティを与える為の設定上の創意工夫を探るもの。
入ってすぐの第1章では現実の中の巨大ロボットとしてお台場のガンダム像、神戸の鉄人などを紹介。
横浜の動くガンダム建設過程の映像もあって面白かった。
場内はほぼ撮影OK。解説文の類はどれも非常に賢明かつ的確で好感度大。
展示は歴史に則って、第2章は実写版『鉄人28号』(1960)から。
少年時代の池松壮亮が正太郎を演じた実写特撮映画『鉄人28号』(2005)からアニメ映画『白昼の残月』(2007)等、歴代の映像化『鉄人』も紹介。
第3章は70年代に入って『マジンガー』『ゲッターロボ』『鋼鉄ジーグ』等。
宮武一貴氏による巨大絵画の展示もあり。
『ゲッター』の合体変形プロセスも。
『ライディーン』『コン・バトラーV」等々。
「スタジオぬえ」とガンダムのルーツ「機動歩兵」も紹介。
第4,5章の『ガンダム』の紹介では床に設定大のガンダム、壁に設定大のビームライフルのパネル。
『ルパン』に登場の「ロボット兵ラムダ」の項ではちゃんと「発想の原点」としてフライシャー兄弟の『スーパーマン』のメカニカルモンスターも紹介。
図解も多数。壁には設定大のラムダが。翼になる腕が長い。
80年代の『ザブングル』『ボトムズ』等のリアルロボット路線。
第6章では80年代以降の大発展からロボットの内部図解について。
リアル路線の限界を経て『ガオガイガー』『ザ・ビッグオー』等、スーパーロボットへの回帰。
『機動戦艦ナデシコ』の劇中アニメ『ゲキ・ガンガー3』の紹介。
ある種の極北、今川監督の『ジャイアントロボ―地球が静止する日』。
原画、セル、設定画、抜粋映像等、展示も多種。原画は窪岡俊之さんの画。
最終章は押井守監督をはじめ各人が語る巨大ロボットについて。
ゲーム等に携わるオリー・バーダー氏(米)は日本の巨大ロボットには無意識の内に武士や侍が投影されていると語る。
展示室の最後には、ゲストキュレーターとして本展の開催に大きな役割を果たされ、記者発表直後に急逝された廣田恵介氏(ライター他)への弔意が掲示されていた。
廣田氏の文章には私も常々好感を抱き触発されるものを覚えていたので、心に沁みた。
しかし、こうして写真入りで全体を紹介していると非常に充実した展示に思えるだろうが、実際はしっかり解説文を読み、様々撮影しながら進んだにも関わらず1時間足らずで見終わってしまってやや拍子抜け。
会場の面積の関係もあるだろうが、展示がおおむね平面で引っ掛かりに乏しいことも一因かと思う。
合間にプラモデルやフィギュア等の立体造形物の展示を増やしたり、例えば設定大ガンダムのパネルの最後に設定大のコクピットでも作ってあればもっと大きさをリアルに体感出来たのではないか(予算の関係で困難かもしれないが)。
それと、音声ガイド(銀河万丈&水樹奈々)は利用すれば良かったと反省。
来年に巡回展があるそうなので、ご注意。
帰りは別方向から大濠公園を周って。
お濠が鏡面のようで綺麗だった。
参考:『美術手帖」のレポート。
https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/27762
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