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2023年10月20日00:00

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水路を活用した運送,好アイデアを活かせるか

 これが旅客と貨物とを問わず,もの凄く良いアイデアなのは間違いありません。果たして事業として成立させることは可能なのでしょうか。

 東京のような大都会で生活していると,現状の交通インフラを超えた移動・輸送需要があることを痛感させられます。ラッシュ時には電車は身動きが取れないほど混雑しますし,昼間の首都高速道路でもトラックやセミトレーラーなどを含む大量の車両によって殆ど常に渋滞が発生しています。コロナ禍とそれに伴う在宅勤務などの拡大で通勤ラッシュなどは随分と緩和されたと指摘されていますが,仕事柄あちこちに出掛ける僕に言わせれば「まだまだ凄まじいものがある」というのが偽らざる感想です。無論,新規鉄道路線の建設や郊外を迂回するバイパス道路なども整備されつつあることで事態は改善の方向に向かってはいるのでしょうが。

 そのような中「実は鉄道でも道路でもない輸送路がガラ空きなんだけどなぁ(。・_・。)。oO」ということを僕は以前から思っておりました。このように申し上げると,皆様には何のことだかお判りになるでしょうか。具体的には水路のことです。鉄道が超満員で道路が大渋滞の時であっても,河川を大量の船が行き来しているというのを僕は今までに見たことがありません。東京都は海に面しているし,都内には幾つもの河川や運河が存在するのですが。「水運を活用することは出来ないものなのか」ということを今までにも何度か感じたことがありました。都内や近隣の通勤通学といった旅客輸送に限らず,たとえば利根川・江戸川・渡良瀬川・鬼怒川などを活用することで北関東と東京との間の物資輸送なども出来そうなのですが。
今回,まさに旅客輸送でそれを実現しようという取組が行われるようです。2023(令和5)年の10月25日から日本橋と豊洲の間に通勤用の船便を就航させることになったというニュースです。運航は火・水・木の週3回,運行時間は夕方から夜に掛けてで帰宅の需要を見込んでいるようですね。運賃は片道500円ということです。運航を行うのは観光汽船興業と三井不動産で,運行経費の一部は東京都の補助によって賄われるということです。

 先述のとおり,これは非常に良いアイデアです。現状においては水路は人を運ぶのにも貨物を運ぶのにも殆ど活用されていないのですから。もし河川や運河や海を旅客・貨物の輸送に活用出来れば,それは鉄道や道路の負荷を下げることにも繋がるでしょう。しかしこれは「本当にそのようなことが可能であるならば」です。そもそも江戸時代には旅客も物流も船が積極的に活用されていました。神田川や小名木川などというのは,もともとは輸送路として整備された河川(運河)です。これは現在でいう東京都内に限った話ではなく,利根川や江戸川もまた人や物を運ぶ輸送路として積極的に活用されていました。明治維新後に鉄道や道路が整備されてからも暫くの間は同様で,むしろ大量輸送の可能な蒸気船の導入で明治以降のほうが水運は活発であったとも言われています。しかし現在では輸送手段として水路を使うことは殆ど無くなった。鉄道や道路に比べて時間が掛かったりコストを要したりするからでしょう。またそれに合わせて運河が埋め立てられたり河川の浚渫が行われなくなったりと,現状では水運を復活させようにも困難な状況になってしまっています。仮に再び水運を行うとなれば河川港の整備のみならず河川の浚渫や,場合によっては運河の再開削なども必要になってくるかもしれません。そのようなことをして費用対効果に見合うのかは大きな疑問と言うべきでしょう。

 果たして水運が現在においても現実的な交通手段として活用出来るものなのか否か。こちらの日本橋〜豊洲間の通勤目的の船便の成否に注目してみたいところです。



「乗り換えなし」の船通勤、25日開始 日本橋と豊洲20分で結ぶ
https://www.asahi.com/articles/ASRB66FV1RB6OXIE02B.html
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