mixiユーザー(id:1506494)

2023年10月04日19:30

39 view

ロスト・キング@kino cinemaみなとみらい

先週だったか先々週だったかの土曜日(おぉ!もはや飯はまだか状態になっている)、
王様のブランチの映画紹介コーナーでこの映画について知りました
今から11年前、新国立劇場で鵜山さん演出によりシェイクスピアのリチャード三世が
上演されたときの公演パンフレットの冒頭に「稽古中に《リチャード三世の遺骨発見
か》のニュースが飛び込んできた」と書かれていました

本映画はそのことの次第を扱った、事実に基づくヒューマンドラマです

仕事も家庭も上手くいかない一介の主婦が、ある日息子に付き添ってシェイクスピア
のリチャード三世の舞台を観る、そこで彼女の心に何かが突き刺さるのですね
シェイクスピア(彼の生きたのはリチャード三世を倒して成立したテューダー王朝時
代ですから)の手により悪逆非道とされた「正しく評価されていないリチャード三世」
に自分を重ね合わせたようです

彼女は直ちに「リチャード三世、実は善い人でした」説を唱えるリチャード三世協会
に参加します(世に言うリカーディアンであります)

詳細は省略しますが(とても一度映画を見ただけでは覚えきれない)、資料をかき集
め、孤軍奮闘してリチャード三世の遺骨が埋葬されているという場所を突き止め(一
説には川に投げ捨てられたとも言われていた)発掘作業に成功するまでの道のり

しかし、この映画もまた「事実に基づくフィクション」の印象を与えてしまいます
それは主人公である主婦フィリッパの功績を横取りするレスター大学のメンバーが、
カリカチュアライズされ、いかにもステレオタイプに描かれているせいですね
確かにフィリッパが認められるのには数年を要しているのですが(それは最後に字幕
で報告されます)、この映画を観たレスター大学関係者は(協力したのは事実ですか
ら)さぞかし居心地の悪い思いをしたであろう

またリチャード三世の幻影を登場させるところも、ドキュメンタリーよりはファンタ
ジー的要素が勝っている、どうもワタシは沙翁の描くリチャード三世像が好きなので、
リカーディアン達が逆に沙翁を嘘つき呼ばわりしているみたいで、反論は事実だけを
示せと言いたくなってしまうのですね

発掘された人骨はDNA鑑定によりリチャード三世に関わりがあることが実証されまし
たが(リチャードの姉の子孫のものとの一致が見られた)、リチャードの母(ヨーク
公夫人)はランカスター家の血筋ですから、どうなのという気がしないでもない

まぁ、諸説有りますというところではなかろうか
リチャード三世のものとされた人骨は背中に弯曲が見られ、沙翁による見た目の描写
にはあながち虚構と言えない部分もあり、この点はリカーディアンに不利となります
ともあれ、フィリッパの信念と情熱(シュリーマンに通じるところがある)には大い
に敬意を表しますけれど
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年10月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031