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2023年09月06日21:59

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関東大震災企画4 1891年岐阜県で起こった濃尾地震 北海道胆振東部地震から5年 来るべき南海トラフ地震への備え 消火活動、建物の免震構造 私自身の岐阜県樽見線の旅

米国の企業家イーロン・マスク氏が、ツィッター社を買収し、一時は大きな話題になった。呼び名もXに改められたものの、ネット上では「X(旧ツィッター)」と記載される例も多かった。買収主のイーロン・マスク氏は、「X/Twitter」と呼び、旧名称を使ったことに、ネット上では違和感を訴える声が相次いだ。名称に関しては、いまだにTwitterを使う声も多い。呼び方の混乱はしばらく続く。

イーロン・マスク氏の「X/Twitter」呼びが話題 「お前が始めた物語だぞ」などツッコミ相次ぐ
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=32&from=diary&id=7552244

  <関東大震災企画4 北海道胆振東部地震から5年 1891年の岐阜県で起こった濃尾地震、南海トラフについて 建物の耐震化、消火活動について>

 見本写真 左側  樽見線糸貫駅より 2015年11月21日(土)

 見本写真 真ん中 樽見線水鳥駅付近の根尾谷断層 2015年11月21日

 見本写真 右側  樽見線水鳥駅付近の地震体験館の資料 2015年11月21日

目次
・第1章 北海道胆振東部地震から5年
・第2章 活断層による日本最大規模の地震、岐阜県濃尾地震、根尾谷断層出現
・第3章 来るべき南海トラフ地震への備え

 企画1 サンアンドレアス断層 前編 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985683291&owner_id=32437106
     サンアンドレアス断層  後編 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985689183&owner_id=32437106&org_id=1985683291

 企画2 ネス湖の形成 前編 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985765579&owner_id=32437106
     ネス湖の形成  後編 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985773740&owner_id=32437106

 企画3 神奈川県伊勢原市、秦野市の被害状況 朝鮮人差別,寺田寅彦 ZARD坂井泉水が育った丹沢山麓秦野市を中心に旅する もう少しあと少しリリース30周年
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985829702&owner_id=32437106


 関東大震災から100年を経過し、改めて防災・減災対策が問われている。関東大震災を引き起こした相模トラフを震源域とする地震は、200年周期で発生しているとみられている。突如襲ってくる災害に備え、我々には出来ることがある。過去に起こった地震の被害状況から、対策について検証していく。

      第1章 北海道胆振東部地震から5年

 9月6日には、北海道の胆振(いぶり)東部地震から5年を迎えた。地震の規模を示すマグニチュードは6,7、最大震度は厚真町で記録した7だった。厚真町の37人を含め、北海道内で44人の命が失われた。発生時刻の午前3時7分に、土砂災害が起こった厚真町の職員が、暗闇の中で、犠牲者37人分の用意した蝋燭に明かりを点し、黙祷した。

詳細 写真掲載元 胆振地震について 岩田地検建設株式会社 https://www.iwatachizaki.jp/photo/index_detail.php?id=198
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2023年7月31日時点の住民基本台帳の記録によると、厚真町の人口は4334人、人口密度は1平方キロメートルあたり10,7人である。

 2023年9月6日、午前10時から厚真町では、約260人の遺族が参列し、追悼式典が開かれた。宮坂尚市朗町長は式辞で「私たちは全力で生き、愛する人たちを守り抜くため、いつ発生するかわからない災害に備え、多くの支援を賜った使命として命を守る防災・減災対策を牽引(けんいん)する」と力強く宣言した。

 胆振地震で明るみに出たのは、震災後の大規模停電、夜に真っ暗闇になる「ブラックアウト現象」だった。北海道電力が管轄する道内全域で、最大約295万戸が停電した。寸断された電力網の9割まで回復には、丸2日近い約45時間を要した。

 以下ウェザーニュース 写真掲載元 2023年9月6日5時5分より
「北海道胆振東部地震から5年 震度7地震で日本初の“ブラックアウト”」
https://weathernews.jp/s/topics/202309/010195/
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人口が希薄な町を襲った災害について、北海道外で暮らす人々は忘れがちになる。大きなインフラの被害は、厚真ダムにある。土砂に埋め立てられ、使用できなくなった。2024年には、復旧工事が終わり、地域の住民に水を供給する目処が立っている。

 森林造成計画は、道半ばだった。読売新聞オンライン9月4日付け記事に詳しく書いている。「北海道胆振東部地震5年、森林再生6%どまり…土砂災害や漁場への影響懸念」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230904-OYT1T50080/
 
以下 記事引用文

 道によると、3町の森林の被災面積は計4293ヘクタールで、このほか崩落した土砂や樹木の堆積(たいせき)地が605ヘクタールある。このうち約3割の1350ヘクタールについて、倒木を整理し、植林や緑化で復旧を目指すが、残りは傾斜が急で作業が難しいため、自然回復に委ねる。

 道は22年度からの5年間を計画の集中対策期間と位置づけている。今年3月末時点で作業を終えたのは279ヘクタールで、被災面積全体の5・7%にとどまっている。自然回復は数十年の期間を要し、26年度末時点でも再生面積は18%程度とみている。

 写真 山肌がむき出しのままの胆振東部地震の土砂崩れ現場(8月29日、北海道厚真町で、読売チャーターヘリから)=原中直樹撮影
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 森林が崩落した傾斜地は土砂災害の危険性が高く、国は厚真川支流の4か所に砂防ダムを今年度末までに完成させる予定だ。

 崩落した木や土砂による漁場への被害を訴える声もある。鵡川(むかわ)漁協は、地震以降、厚真川の濁りが常態化し、特産のシシャモが遡上(そじょう)しなくなったと指摘する。

 同漁協の小谷地好輝組合長によると、名産のホッキ貝は、海底に土砂が10センチほど積もると呼吸できなくなり死滅するほか、海を漂う流木が漁網を破る被害も懸念されるという。

 復旧が遅れる要因の一つが民有林の多さだ。被災森林の約6割は民有林が占め、苫小牧広域森林組合の小坂利政組合長は「私道が寸断されて山に入ることが難しい上、植林しても木材として出荷できるのは何十年も先になり、復旧作業に全力を挙げるという話にならない」と、公費による私道整備の必要性を訴える。

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 河川の流木被害や土砂災害を研究している九州大工学部の矢野真一郎教授は「山は所有権などが複雑に入り組み、行政ができる範囲が限られることが多い。被災地の実情に法律が対応できていない可能性があり、必要に応じて森林法などを改正すべきではないか」と指摘する。

                           <引用終わり>

 地震により、崩壊した斜面の傷跡は、生々しく残っていた。森林の造成から始まり、建物の耐震化を含め、災害に強い街づくりに向けて、動き出している。

 
   第2章 活断層による日本最大規模の地震、岐阜県濃尾地震、根尾谷断層出現

 関連日記 濃尾地震 2020年5月29日付 岐阜県で群発地震が相次ぐ 1891年に発生した濃尾地震について 最新コロナ情報
 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1975839035&owner_id=32437106

関連日記 本巣市船木山古墳 柿の里の展示物 東京都府中市の熊野神社古墳との比較

 2018年10月30日付け 東京都と岐阜県の史跡めぐり 古墳群や天然記念物の断層
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1968970470&owner_id=32437106
 
写真=上記の日記より 岐阜県本巣市 船木山古墳277号石室 撮影日2015年11月21日(土)午前中 撮影者:私
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 地震の原因は、大きく、プレート境界と活断層のずれによるエネルギーの解放である。活断層による地震は、マグニチュード8クラスのプレート境界型に比べて、一回りエネルギーが小さく、マグニチュード7クラスが限界といわれてきた。

 エネルギーは小さいとはいえ、陸地で発生すれば、我々の暮らしを直撃する。地震学者は、隠れている活断層を明らかにするため、調査に余念はない。

 我々の目に見える形の活断層は、いくつか存在する。代表的なのは、岐阜県本巣市を中心に貫く、総延長80kmに及ぶ根尾谷断層である。本巣市の水鳥地区は、1891年10月28日、午前6時38分50秒に起こった濃尾地震によって断層崖が出現した。地震の規模を示すマグニチュードは推定8、陸側の断層のずれによる地震では、日本最大規模となった。

 断層のタイプは、大きく2つあげられる。一つは、米・カリフォルニア州南北1300kmに渡って貫くサンアンドレアス断層、1995年1月17日の阪神淡路大震災を引き起こした野島断層を含め「横ずれ」、もう一つは、上下方向に動く「縦ずれ」である。

 縦ずれをさらに2つに分けると、上盤側がずり下がる場合を「正断層」、反対にのしあがる場合を「逆断層」という。

 本巣市水鳥地区に現れた断層崖は、総延長500m、高さ6m、左ずれ3mにのぼる。

 詳細 写真掲載元まっぷる トラベルガイド https://www.mapple.net/articles/bk/22370/?pg=2

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 根尾谷断層自体は縦ずれを起こす場合、ほぼ南西側が盛り上がる。ところが、水鳥地区は、北東側が隆起し、地表に現れた。その原因は、周囲の断層との位置関係にある。根尾谷断層の東側には黒津断層が平行に走る。黒津断層の左横ずれ運動に伴う力を受けて、挟まった箇所が隆起した。断層崖は、地震の出来事を、後世の人々にしっかりと伝えた。1952(昭和27)年に国の特別天然記念物の指定を受け、濃尾地震100周年の1991(平成3)年には根尾谷地震断層観察館・体験館が建設された。断層の一部が掘削されており、地下の様子を観察することができる。

 リンク 本巣市 地震体験館公式ページ https://www.city.motosu.lg.jp/0000001399.html

 私自身は、2015年11月21日(土)JR大垣駅で東海道線から第3セクターの樽見線に乗り換え、断層の上に位置する水鳥駅へ向って旅をした。最終目的地の水鳥へ着いたのは午後4時代、それまで途中下車をしながら、公共施設を回った。

 朝方向かったのは、糸貫駅に程近い古墳と柿の館だった。偶然にも舟木山古墳272号の石室が一般公開されていた。

 リンク 古墳と柿の館 本巣市観光協会より https://www.city.motosu.lg.jp/0000000218.html

 午後からは谷汲山駅で降りて、バスに乗り、由緒あるお寺の一つ「華厳寺」を訪れた。

 リンク 華厳寺 http://www.kegonji.or.jp/

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最終目的地、水鳥駅は、周囲一体田畑が広がる。既に稲刈りが終わり、農家の姿はなかった。駅の目の前に位置する地震体験館を見学した。

 写真=断層の上を走る第三セクターの樽見線
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体験館内では、日常生活において、何の前触れもなく襲ってくる地震の脅威を感じてもらうため、シアターを用意している。シアターの入場者は、映画館用の椅子に座り、シートベルトを装着する。番組は、何気ない学校生活を送る少年少女の物語だった。授業中に、突如最大震度7を観測する地震が起きる設定の下で製作された。入場者には、事前にどのタイミングで、揺れが襲ってくるのか、知らされていない。

 映画に没頭していると、急に緊急地震速報が流れ、瞬く間に突き上げるような衝撃がくる。椅子ごと持ち上げられるような感覚に襲われると、大きな横揺れに見舞われる。

 写真=保存された断層
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 日本では、このように実際に震度6弱から最大7を体感する装置を備える公共施設が存在する。根尾谷断層を保存し、体験シアターを用意することにより、後世の人々にしっかりと伝えることができた。

         第3章 来るべき南海トラフ地震への備え

 高度なインフラ設備を持ち、人口過密な日本は、地震による人的・経済被害は大きくなる。国の根幹を揺るがす危機は、南海トラフ巨大地震である。

 以下 引用文 政府地震調査推進本部 地震に揺らがない国にする地震本部
https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_kaiko/k_nankai/

 <以下 引用文開始>

 南海トラフは、日本列島が位置する大陸のプレートの下に、海洋プレートのフィリピン海プレートが南側から年間数cm割合で沈み込んでいる場所です。この沈み込みに伴い、2つのプレートの境界にはひずみが蓄積されています。過去1400年間を見ると、南海トラフでは約100〜200年の間隔で蓄積されたひずみを解放する大地震が発生しており、近年では、昭和東南海地震(1944年)、昭和南海地震(1946年)がこれに当たります。昭和東南海地震及び昭和南海地震が起きてから70年近くが経過しており、南海トラフにおける次の大地震発生の可能性が高まってきています。過去に南海トラフで起きた大地震は多様性があります。そのため、次に発生する地震の震源域の広がりを正確に予測することは、現時点の科学的知見では困難です。地震本部では、南海トラフをこれまでのような南海・東南海領域という区分をせず、南海トラフ全体を1つの領域として考え、この領域では大局的に100〜200年で繰り返し地震が起きていると仮定して、地震発生の可能性を評価しました。

                     <引用終わり>

 二次大戦をはさみ、南海トラフの2つの領域でエネルギーは確かに解放された。危惧されるのは、静岡県東部から愛知県東部を震源域とする「東海地震」である。1854年12月23日に起きた安政東海地震では、マグニチュード8,4から8,6を観測したといわれている。その32時間後の12月24日には、安政南海地震(マグニチュード8,4から8,7)が発生していた。

 南海トラフに関しては、詳しく分かっていいない。過去の地震記録から、西から東海、東南海、南海と3つのセグメントが、互いに刺激しあいながら、活動していることが分かる。3つのセグメントのうち、2つのセグメントが動いている場合が多い。

 21世紀に入ってから、政府は東海地震に関しては、切迫性が高く、30年以内に80%以上の確立で発生すると発表していた。2011年3月11日の東日本大震災の発生に伴い、想定外の自体に備え、3つの領域がほぼ同時に動く可能性を考えるようになった。

 写真 掲載元 エコノミストオンライン 2020年9月3日付け
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20200901/se1/00m/020/062000c
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 過去の3連動地震が起きたのは、1707年10月28日まで300年以上も遡る。南海トラフのほぼ全域が破壊され、マグニチュード9クラスの地震が起きた。当時の元号から「宝永地震」といわれる。その49日後には、富士山の大噴火が起こり、偏西風に乗り、関東地方一帯に火山灰が降り積もった。「宝永の噴火」として、古文書にしっかりと残っている。

 日本政府は、3:11後、専門家の意見を踏まえて、人的・経済被害について検証を重ねた。過去の記録から、半割れと呼ばれる3つのセグメントのうち2つのセグメントは破壊される可能性が高いとみている。高知県では、南海トラフ巨大地震による津波被害の大きさから、防災対策を強化した。とりわけ力を入れるのは、津波対策である。防災マップを作成し、避難タワーの存在を住民に教えていた。全国500基のうち、100基が高知県に存在する。自治体によって、普段からタワーとして開放している場合もあるという。高知県南西部の太平洋沿岸に位置する黒潮町は、カツオの一本釣り漁の拠点として知られる。佐賀港近くの住宅街に、国内最大級の高さ22メートルの津波避難タワーを設けた。南海トラフ地震で想定される最大18メートルの津波にも耐えられるつくりだという。

  詳細 津波避難タワーについて 朝日DEGITAL 2022年12月8日付 https://www.asahi.com/articles/ASQD801HZQD6IIPE00K.html

 2023年9月5日に南海トラフ地震の対策を検討する政府の有識者検討会が、新たに会談を開いた。

 以下 読売新聞ONLINE 南海トラフの「半割れ」、初の被害算定へ…2連動地震の2パターン想定 9月5日 19時52分
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230905-OYT1T50133/

 引用文

「南海トラフ地震の対策を検討する政府の有識者検討会は5日、想定震源域の東西どちらか半分で「半割れ」と呼ばれる地震が発生した後、時間をおいて残り半分でも地震が起きた場合の被害を初めて算定する方針を決めた。現在の想定は、トラフ全体で一度に起きた場合のもので、その見直しと合わせて今年度中に取りまとめる方針。

 南海トラフでは、昭和東南海地震(1944年)の2年後に昭和南海地震が発生したほか、安政東海地震(1854年)の32時間後に安政南海地震が起きた。内閣府は、東西どちらか半分でマグニチュード(M)8・0以上の地震が起きると、残り半分で同規模の地震が起きる確率は通常の100倍程度高まるとする。気象庁は2019年、こうした半割れを念頭に、まだ起きていないエリアの住民にも1週間の事前避難を求める「南海トラフ地震臨時情報」を導入している。

 検討会では臨時情報が被害にどう影響するかの検証が必要とし、2連動地震が数日後に起きた場合と、事前避難期間が過ぎた後に起きた場合の2パターンについて想定する。

 政府が12〜13年に公表した想定では、トラフ全体で一度に起きるM9級の巨大地震で、死者・行方不明者数は最大約32万人(19年の中間報告では約23万人と試算)とし、現在、見直しが進められている。

                    <引用終わり>

 3連動地震が起きると、東日本大震災時、首都圏の高いビルの高層階を襲った「長周期地震動」による被害が確実視される。

写真 掲載元 気象庁 長周期地震動について https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/choshuki/choshuki_eq2.html
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 都市部で林立するタワーマンションや高層のオフィスビルは、震度7の揺れにも耐えられる設計になっている。近年は、揺れを極力吸収する「免震構造」により、家財や食器棚の散乱被害も抑えられるようになった。

 1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災以降に立てられたビルは、免震構造により、助かる可能性が高い。

 免震構造ビルの建設に一役かったのは、タイヤメーカーの王手ブリヂストン社だった。建物の基礎部分に、ブリヂズトン社が開発した免震ゴムを取り付けると、揺れを極吸収しながら、鉛直方向に逃がすという。同社のホームページには次のように書かれている。

 以下 ブリヂストン社のページの一文より 写真掲載元
https://www.bridgestone.co.jp/sc/menshin-web/study/02/

 「免震ゴム」は薄いゴムと鉄板(鋼板)を交互に重ねて、しっかりと接着しています。まるで建物が浮いているように地震の揺れを受け流すのはこの構造によるものです。

以下の写真=2017年までの免震構造の建物の普及率を示したグラフ

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                               <終わり>

 80年代終わりから90年代初めのバブル期にたった建物は、免震ゴムを取り付けていない可能性が高い。したがって、高層階程揺れの被害は大きくなる傾向がある。

 

 東日本大震災時、横浜みなとみらい地区に立つ高さ273m、地上69階のランドマークタワーは、高階階程大きな揺れに見舞われた。69階のレストランでは、地震発生後、1分30秒にわたる動画が記録されている。突き上げるような衝撃により、悲鳴が聞こえると、棚の横揺れにより、食器が次々と飛び出して、地面に落下して、割れていく。固定されていないワゴンは、まるで意思を持ったかのように、床を滑っていくのである。立っていられないほどの激しい揺れに、対応できない状態だった。
 



 詳細 ランドマークタワーの揺れ 2011年12月8日 Rocket News https://rocketnews24.com/2011/12/08/161141/

エレベーターもストップすることにより、高層階から動けない事態も想定される。
もう一つ危惧されるのは、ビル火災だ。首都直下型地震が発生した場合には、さらに都市部の被害は大きく、同時多発的に火災が起きる可能性が高い。消防隊の対応能力を越え、民間の人々の力が欠かせなくなる。

私自身が、警備関連の仕事をしている方から聞いた話をまとめた。

 被害の拡大を防ぐには、初期消火の重要性が増す。

 写真 掲載元 ALSOK 消火器の使い方と気をつけるポイントより
https://www.alsok.co.jp/person/recommend/1046/
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通常の火災と大地震での出火では119番の利用方が異なる。通常の出火の際では、第一に119番通報を行う。消防隊到着を待たずに、準備を速やかに進める。扉や窓を開放し、率先的に自衛消防活動による初期消火を行う。消防隊到着前の初期消火については、ほぼ100%近くスプリンクラー頼りになる。実際消化器系は役に立ちにくいという。

ただし、大地震が起きた場合、消防隊が不在の状態を想定しなければならない。建物の防衛計画そのものを変える。震災に伴う停電でも、もちろんスプリングラーは稼動する。ビルやマンションは、消防設備点検が義務付けられ、故障は考えにくい。消防設備点検には6ヶ月に1回の「機器点検」と1年に1回の「総合点検」がある。消防法令では、商業施設が入ったビルや分譲住宅の管理主は、点検を受けた証明書を、地域を管轄する消防署へ提出する義務をおう。証明書がなければ、消防署から管理主へと連絡がいく。

火の手が回る前に、できることはいくつかある。一酸化炭素中毒を避けるべく、窓を開けて、煙を外へ逃がす。非常用階段を通じて、一般人を避難させる。訓練を積んだビルの警備員を中心に、自衛消防隊が「消火栓」を解放する。非常時の迅速な対応には、日ごろの訓練が欠かせなかった。

 9月1日の防災の日に、ビル火災に備え、東京・丸の内では、東京消防庁と企業による合同訓練が行われた。オフィスが林立する環境から、大量の帰宅難民が発生することが予想される地域である。

 新丸ビルでの火災が発生したと想定し、東京消防庁は、地上からはしご車を使用して、ビルの窓から、一般市民を救出した。

 写真 掲載元 9月1日 午前10時52分 東京都千代田区にて 須藤菜々子撮影
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 警視庁は、数日間の停電に備えて、新たに電気自動車を使って、道路に信号を送った。

 旧丸ビルを所有していた三菱地所の前身・三菱合資会社地所部は、周辺で多くの避難者を受け入れた。東京駅前に臨時診療所を開設し避難者の救護にもあたった。

 旧三菱地所は1926年から、97年にわたり、防災訓練に参加しているという。

 詳細 読売新聞 9月1日付 https://www.yomiuri.co.jp/national/20230901-OYT1T50126/

 写真 掲載元 三菱地所 https://www.mec.co.jp/news/detail/2023/08/16_mec230816_bosai
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 関東大震災から100年、北海道胆振地震から5年、日々激甚化する災害に人々が向き合うようになった。異常気象による、大雨・洪水被害も、年々多くなる傾向にある。

 過去の記録から、マグニチュード8クラスの相模トラフを震源域とする関東大震災は、200年周期で起こっているとみられている。次の関東大震災へ近づくにつれて、地震活動が活発化する可能性も危惧された。

 日々の防災訓練の積み重ねにより、災害時には大きく役立つ。人々は、災害の危険性を認識しながら、日々の暮らしを営んでいる。
 
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