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2023年09月02日15:51

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岡田昌子の独壇場・・・岡山芸術劇場こけら落とし公演「メデア」

終わってみれば、タイトルに尽きる。

岡山 岡山芸術創造劇場 ハレノワ 大劇場
NISSAY OPERA 2023(こけら落とし公演) オペラ『メデア』
園田隆一郎指揮 岡山フィルハーモニック管弦楽団
合唱 C.ヴィレッジシンガーズ
ルイージ・ケルビーニ:オペラ『メデア』

演出:栗山民也 
メデア:岡田昌子
ジャゾーネ:清水徹太郎
グラウチェ:小川栞奈
ネリス:中島郁子
クレオンテ:デニス・ビシュニャ
第一の侍女:相原里美、第二の侍女:金澤桃子、衛兵隊長:山田大智


岡山在住のお友達、ひろのみんさんに教えてもらった公演。新しい劇場のこけら落としに立ち会えるというまたとない機会でもあり、休みをとって岡山まで出かけることにした次第。

岡山駅から市電で近くまで行って歩くのだが、え?こんなところに劇場があるんかいな、というくらい寂れた商店街を抜けていく。人通りのほとんどないシャッターばかりの薄暗い通りから左に曲がると、突然どどーんと近代的な建物が出現。このギャップには正直めまいがしそうになりました。

セレモニーが終わって開場となり、中に入って自分の席(3階最前列)にすわると、1700席あまりという結構なキャパの割に、すごく舞台と客席が近いことに驚く。感覚としては、びわ湖ホールの中ホールでオペラを観る感覚に近い。

で実際にピットに入ったオケが音を鳴らすと、これがびっくりするくらいデッド。ここまで響かないホール、初めてかもと思ったのだが、思い直せば「ホール」というのが間違いであって、「演劇場」というべきなんでしょう。実際、「大劇場」という名称ですからね。逆に、舞台上の歌手の歌唱は非常に明晰に聞こえるし、舞台が近いので、三階席であっても顔の表情までちゃんと見ることが出来ます。

これは、明らかに演劇のための空間ですね。きっとセリフを喋っても、キチンと聞き取れるんだろうなあ、と思いました。でも、オペラにはちょっとしんどいかも、というのが第1印象。

で、実際の演奏ですが、こんなデッドな空間の中、慣れないピットに押し込まれ、普段とは全く違う配置で演奏させられたオーケストラはなかなかに辛そうで、序曲などアンサンブルがばらばらになってしまう局面も。かなり冷や冷やものではありました。

そんなもので、ぐすたふくん、早々に期待することを諦め、半身状態。オペラ自体も1幕の最初からしばらくは、モーツァルトのB級オペラを観てるみたいで結構退屈。正直長旅の疲れもあって、ふっと意識が遠のきかけたところも無きにしも非ず。ところがところが・・・・メデアが登場してからは一変。そこから、3幕の最後に向かって怒涛の盛り上がりを見せ、その圧巻の演出とともに唸らされる仕上がり。いやあ、堪能しました。

ストーリー自体、自分を裏切って他の女に走った旦那に復讐するために、母親が自分と旦那の間に生まれた二人の子供を殺害するという、まるで20世紀オペラのような陰惨なもの。それをさすがは日生劇場プロデュース、絶妙の照明と舞台演出で魅せます。これがまずもって素晴らしい。

そして、なによりかにより、メデア役の岡田さんの圧倒的存在感。三幕など、ほとんどの時間舞台には岡田さん一人。その間、ずっと歌いっぱなしで満場の観客をくぎ付けにするのだから、圧巻としか言いようがない。いやあ、いいもの見させていただきましたねえ。

歌手陣はどの人をとっても一級品。清水さんのシャゾーネも絶好調だったが、代役で登場のピシュナさん演じるクレオンテの渋さも特筆すべきかも。また、小川さん演じるグラウチェの清廉なソプラノが、メデアの鬼気迫るソプラノとの間でみせる対比も絶妙なものがありました。

終わってみれば、オーケストラも細かなところが気にならないくらいの熱のこもった演奏を聞かせ、中々でありました。さすが、園田隆一郎でありますな。感服です。

終演後、ひろのみんさんと待ち合わせ、お互い興奮気味に感想を語り合ったこともいい思い出。やっぱり、来て良かったなあ。こけら落とし成功、おめでとうございます。岡山のみなさんに、心からお祝いを。


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