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2023年08月20日03:12

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大正の私小説・映画・ランチ

写真は順に
*藤澤清造「根津権現裏」(角川文庫)表紙
*映画「老後の資金がありません!」イメージ画像
*ある日のランチ

藤澤清造「根津権現裏」(角川文庫)を読んだ。
生前、藤澤清造の歿後弟子を自称していた私小説家・西村賢太が校訂している。
「忘れられた」とか「大正の不遇文士」などという負のイメージが強い作家らしく、2000年代には久世光彦氏や坪内祐三氏らに認められた事もあったが、一般的には否定的な意見は定着したままだったようだ。
私が、坪内さんが週刊文春に連載していたコーナーで上林暁という私小説家を知り、読んだ頃かもしれないな。
私も西村賢太が自身の作中に何度も登場させるまで名前を聞いた事も無かった。
西村賢太ほど大正文学に精通しているわけもない私には「根津権現裏」という作品は、ある事件を通して、自己と深刻に向き合い、極貧であるが故に将来に不安しか見出せない、ただただ陰陰滅々とした文章だった。
さて事件というのは、岡田(安野助太郎・作家志望)という旧友が脳病院の便所で首を括って自死したこと。
西村賢太による巻末の「解説」で、安野が入院していた「赤坂の脳病院の若大将」が青山脳病院の『斎藤茂吉』であったことを知って驚いた。
藤澤が交友した者の中には、郷土(石川県七尾市)を同じくする室生犀星、徳田秋声、尾山篤二郎(金沢出身の歌人・国学者)、横川巴人の他に、北原白秋、今東光、久保田万太郎など著名な作家なども沢山いたようだ
https://ipponsugi.org/famousperson.html
西村賢太の作品を読んで感じたことのない疲弊を藤澤の作品に感じたので、今後藤澤作品を読むことはないと思うが、自分が好きな作家が愛し奉った作家の作品にどうしても触れてみたかったのだった。
なお西村の墓は、生前西村が自費で建立した藤澤の墓石と並んで七尾市の寺にある。

ネイル塗り替え、
サロンで観たのは映画「老後の資金がありません!」
監督は『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(18)の前田晢。
主演は天海祐希、夫役に松重豊、他のキャストも愉快なメンバー揃い。
スリムクラブ、ピスタチオなど芸人さんの他に、三谷幸喜が区役所の小役人で出演。
コミカルだが、家族を持つものなら身につまされる物語だ。

ある日のランチから
バゲットのゆで卵・マヨ・チーズ乗せ焼き
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