根本宗子さんの新作お芝居、KAATキッズ・プログラム 「くるみ割り人形外伝」を観に行きました。おっさんの自分が観ても、面白かったし、楽しかった。僕以外の大人達もたくさん笑ってたし、子供達も何度も笑ってたし。僕の近くに座っていた小学生低学年くらいの女の子は、終演後「面白かった。また来たい」と言ってたし。おおよそ２００人程の客席で、僕の席から見た範囲では、親子連れは５分の１から４分の１程度。子供は幼稚園から小学生低学年が多かったように思います。男の子もいたけど、主人公が女の子だからなのか、女の子の数が多めでした。
開演前、開演直後、ぐずっていたお子さんがいたけど、劇が進むにつれて大人しくなり、終盤には、じっと舞台を見ていました。何の関係もないのに、僕は心の中で「よっしゃ！」と叫びました。子供が楽しめる事を第一の目的に作られていると思いますが、根本さんの作品らしく、今の社会の中で起きている事、注目されている事を取り上げていました。それによって起こる子供の苦悩という現実とファンタジーの調合が上手いと感じました。主人公も、それを見守る大人も、ちゃんと救って上げる構成も良かった。「それ言われたら、泣いてまうやろ！」って台詞もあったし。
より詳しい感想は、大千穐楽の後に書こうかなと思いますが、ぜび言っておきたい事は、主演の大橋凜乃ちゃんが、めっちゃ良かった。小学５年生とは思えないくらいの表現力の豊かさ。根本さんの要求によく応えた！この経験は彼女の今後の自信に凄くなると思います。
次に言っておきたい事は、歌舞伎の面白みの一つは、人間じゃないものをいかに表現するかって事もあるなあと思った事です。中村鶴松さんの動きや身に着けたもの中に、古典の歌舞伎の作品を連想しました。そういうものを表現するため、かつ歌舞伎の所作等を子供達に楽しんでもらうために、技術が卓越した鶴松さんを根本さんが起用した理由の一つかなと思いました。
最後に言いたい事は、このお芝居の核となるもの、テーマ。二代目猿翁さんが「新・三国志」を作った際に言っていた事と同じだと感じました。僕が観た演劇の中で、最も（歌舞伎を含めて）お芝居が持つ力に圧倒され、お芝居の持つ無限の可能性を感じた作品でした。この「くるみ割り人形外伝」を観た子供達の中にも、言葉にはできないけど、きっとこの作品に圧倒されたり、お芝居の無限の可能性を肌で感じた子がいると、出てくると思います。
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