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2023年07月09日03:07

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読書/女子会

写真は順に
*奥田英朗「罪の轍」(新潮文庫)表紙
*女子会にて
*キンキの煮付け

奥田英朗「罪の轍」(新潮文庫)の読後感が重い。圧巻。
宇野寛治は礼文島で昆布漁に従事するイケメンな若者。
だが彼は子供の頃、継父に「当たり屋」をさせられ、その時の衝撃で脳に障害を持っていた…。
1963年(昭和38年)に東京都台東区で起こった吉展ちゃん誘拐殺人事件をモチーフにした小説である。
小説だが実際の事件と同じ設定を使っている。
身代金50万円、被害者の靴、警視総監がマスコミを通じて犯人に呼び掛ける、脅迫電話の録音を「犯人の声」として公開する、被害者はお寺で殺され墓地に埋められた、など。
宇野は手癖が悪く、躊躇なく空き巣に入り窃盗を繰り返すが性根は腐っていないし、莫迦なせいで子供に好かれる一面もある。
寛治は誘拐犯容疑者の筆頭だが、本当に彼の仕業なのだろうかと、宇野の潔白に一縷の望を持ってしまう…いつの間にやら宇野に好感を抱いてしまうのだ。

貧困家庭が生んだ寛治の傷害、当時の誘拐捜査の稚拙さ、警視庁と所轄で捜査の主導権を取り合う連携の悪さ、山谷労働者連合会と警察の対立、左翼系弁護士や新聞記者の活動も加わって、捜査は難航する。
東京オリンピック前年の工事続きで活気づくドヤ街の日常、ヤクザの暗躍、まだまだ珍しかった誘拐事件に日本中が巻き込まれていく巧みな描写に呑み込まれた数日だった。
叩き上げ刑事の大場と寛治の会話に胸が詰まる。

ダイビング仲間女子会を大好きなお店「しお」にて。
私はここ数年中々行けなくて久しぶりに訪問、変わらず、いちいち旨い店であった、感動。
*キンキの煮付け
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