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2023年06月26日23:17

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6月25日 「紳士協定」「安城家の舞踏會」見る

今日は、アカデミー作品賞を取りながら、ユダヤ人差別という日本にはなじみの薄い社会問
題を扱ったために、日本では40年間ほど公開されてなかった1947年の名作を見ました。
記者のグレゴリー・ペックがユダヤ人のふりをして、周りの差別意識を知るという社会派のメッセージ
の強い映画です。
信じられないのは、戦後のニューヨークはアメリカ合衆国の中でもリベラルで、ユダヤ人の最も多い地域だったにも関わらず、差別が酷い点です。
南部とか中西部に行けば、ユダヤ人はもっと差別を受けているはずです。
アメリカには悪い差別の文化も残ってますが、こういう良心的な映画がアカデミーの作品賞という最高の栄誉を貰うぐらいにきちんと評価されて、ヒットすることが素晴らしいです。
映画はただの娯楽ではなく、社会的に重要なメッセージを発することが出来る芸術なのだ、と感じさせます。
メッセージは、差別する側が一番、悪いのだが。黙っている人、無関心の人もまた悪い、という一般人にも強く訴える内容でした。
日本では分かりにくい題材で公開が遅れましたが、今の情報が氾濫する時代には、理解できる内容です。
是非、大人の方にはお勧めしたい名作だと思いました。

続けて、47年に作られた没落する華族を扱った日本の名作を見ました。
以前から見たかったのですが、やっと見れて良かったです。
没落した華族の主人、変われない兄や姉、世の中の変化に合わせて変わろうとする主役の女性、成り上がりの元下人、利用しようとする成金など、チェーホフの「桜の園」に構造が良く似てます。
当時は、性格設定と、ドラマ展開が見事と言われて、絶賛されたのですが。
今見ると、人間描写は欠陥だらけに見えますけどね。
例えば家族の誇りを捨てられない長女の昭子は、元運転手を明らかに軽蔑していて、腕を握られたら「汚い」とまで言うのに、何で最後は好きになって追いかけるのか、理解できません。彼女の実は元運転手を軽蔑しながら好きであるという感情をそれまで描けてないです。
元運転手も、嫌われてるのなら、空気を読むはずで、結婚を申し込まないと思います。
この二人の関係は、例えば「嵐が丘」のキャサリンとヒースクリフみたいに幼い時から愛し合ってたら、辻褄が合うのですが、この映画には伏線が無いので、無理があります。
更に元運転手が札束を渡して、華族の主人の為に借金を返済する設定になってますが。
映画と言えど、乱暴すぎてて、大金の貸し借りなのに、借用書も権利書もうやむやです。
本来は大人であれば、どこかの部屋に入って、きちんと座ってやりとりする芝居です。
舞踏会の皆の前で大金を見せつけたりしても、貴族ばかりといえど、危険だと思わないのかしら。
今の目線で見ると、短い映画にするために必要なカットを撮れずに、不自然な展開に見えます。
人間ドラマとしては、そんなでも無いと思いますが。
何よりも驚くのは、華族制度が滅びた1947年に、この映画が公開されているタイミングです。
あと演技や雰囲気はリアルですね。当時、まだ華族が本当に残っていた時代なので、周りにモデルがいたのでしょうね。来客が葉巻の先っぽを口で切ったら、他人の家の中なのに、ペッて捨ててました。
チェーホフの「桜の園」と比べると人間描写は劣ると思いますが、でも戦後屈指の名作映画だと思います。
是非、没落貴族を扱った映画とかに興味が無い方にも、この映画はお勧めだと思いました。

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