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2023年06月02日22:40

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【ちょっとだけネタバレ】映画『怪物』

 
6月2日、初日昼回を高の原で鑑賞。観客50人。さすがの人気。


カーラジオで「線状降水帯が…」「避難警報が…」というニュースを聞きながら、
どしゃぶりの中、平城京跡の中を突っ切る細い道路を駆け上るルートをとった。
これが、怖かったのなんの!!

車の対向はギリギリの道幅、片側は側溝、そして曲がりくねって見通しは悪い。
とはいえ、通い慣れた道、ここから歌姫街道を抜けるのが最短ルートだし…と
迷いなくハンドルを切ったら、踏切の先は「スプラッシュマウンテン」だった!

平生は気づかなかったが、ここは路面にかなりの水が溜まる道路だったのだ。
車輪の両側に立ち上がる水飛沫は、軽々と屋根の高さを越えた。両側に水の壁。
水溜りを避けるスペースはない。車の電装がやられるのでは…。恐怖に怯えた。
せいぜい徐行しても、前の車や対向車が派手に上げる水飛沫は防げなかった。

ほうほうの体で平城京跡を抜け、その後は驚くことなく高の原にたどり着いた。
しかし、気象警報バリバリ発令中の平日なのに、イオン駐車場はなぜか激混み。
私も他人様のことを言えた立場ではないが、みんな、どれだけお気楽やねん…。

でも、わざわざ「集中豪雨の中を」観に来て良かった。そう思う作品だった。
晴れの日に観に来るより、クライマックスの臨場感をいっそう楽しめたから。


公式 https://gaga.ne.jp/kaibutsu-movie/



レビューで「ネタバレなしで観た方が良い」と勧めたが、ちょっと書きたいことが。

マイミクさんが、『怪物』公開に合わせてシェアしてくれた記事がある。


■TBS NEWS DIG
「テレビはオワコン」…それでももがく放送記者5年目の葛藤と
是枝監督のメッセージ・連載�◆峙錣覆い海箸砲気譴討い訖佑燭舛妨�を」 より


(TVの報道制作会社出身の是枝監督は、TVドラマを毎シーズン1作は通して見る)

今期(2022年10月期)見ているのは「silent」(フジ系)。面白いですね。

「silent」は作っているスタッフが、坂元裕二という、僕が今のテレビでは本当に尊敬している脚本家のチームで、プロデューサーが「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(2016年・フジテレビ系)を作った人で、音楽家もそうなんですよ。

 脚本家は、連ドラ初担当の新人(=生方美久さん)なんですけれど、実は「分福」(=是枝氏が自身の作品スタッフらと2014年に立ち上げた制作者集団)の採用試験を受けに来ていて…。“なんで落としたんだろうか?”と思っているんですけれど(笑)。元々、制作の志向が強い方だったんですけれども、「分福」に入らなかった後、地元の高崎に戻って、そこも知っているんですけれど、映画館でアルバイトをしながら脚本を書いて、フジテレビの「ヤングシナリオ大賞」に、何度か応募を繰り返した中で大賞を取って。それを読んだプロデューサーが抜擢して、今回の連ドラの脚本を書いているんです。

 第1話を見て、これは絶対、坂元裕二が好きだと思ったんですよ。いろんな形で坂元さんの脚本をベースにして、というと言い過ぎかもしれないけども、単純にセリフの掛け合いのリズムだけではなくて、登場人物を“どちらも選べない状況みたいなもの”に置いて、登場人物の感情に圧をかけ続けながら、視聴者の見るモチベーションを維持していくみたいな。根底にあるテクニックみたいなものも、ちゃんと踏まえているんですよね。だから、そういうものを見ると、結構感動します。

 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/512313?display=1


この記事を読んで、私はとても納得した。
坂元作品の特徴は「視聴者の見るモチベーションを維持するため、登場人物を“どちらも選べない状況みたいなもの”に置き、各人物の感情に圧をかけ続け」名台詞を吐かせる。
かなり技巧的というか、洗練された意地悪というか、ひねくれた印象を受ける。

その“どちらも選べない状況みたいなもの”に置くため、「そんなのありえねーよ!」と、思わず画面にツッコミたくなる話がよく出てくる。これが私をモヤモヤさせる。

「silent」が坂元作品のテクニックをよく研究して取り入れていると読んで、ああ、だから私は「silent」がイマイチ好きになれなかったんだ!と、腑に落ちた。
坂元作品も、「silent」も、優れた作品であることは認める。だけど、気持ち悪い。
わざとらしさ、不自然さ、無理矢理な設定が気になって、物語に没入できまない。

例えば、「silent」の湊斗のスパダリぶりに熱狂する女性がたくさんいたが、私はむしろ
意味不明で不気味だと感じていた。紬がコンポタしか飲まないと分かっているのに、なぜ最初から出さない?買っているのに。なぜコーヒーかココアを選ばせようとする?あざとい。そんなの「女の腐ったの」がやるテクニックだ。食わせ者め…と、私は思った。

だから、2022年10月期のドラマでは、複雑でスリリングで人間の汚いところも"リアルに"描いている『エルピス』の方が圧倒的に好きだった。執念で脚本を世に出した渡辺あやや、それをしっかり受け止めて演出した大根仁たちの気骨に、尊いものを感じた。
こうした作品が出る限り、日本のインフラであるテレビはまだ大丈夫だ、と思った。



閑話休題。

何が言いたかったかというと、『怪物』前半、坂元色が強いパートでは、あっちこっちに「不自然」だとツッコミたくなる部分が目につく。その「不自然」さが、観客をイラつかせるのと同時に、疑心暗鬼な心の中に「怪物」を生まれさせ、膨らませていくのだが。

後半、『藪の中』と『カメラを止めるな』をミックスしたような流れに変わってくると、繊細な優しさたっぷりの是枝ワールドを堪能できる。それまでの辛抱だ。笑

『スタンド・バイ・ミー』や『ビリー・エリオット』をちらりと思い出しながら、密やかで脆い幸せを見守り、『世界名作アニメ劇場』第1作のような明るい結末を見届けると、ラストには坂本龍一の慈愛に満ちた音楽で包まれ、癒される。


第76回カンヌ国際映画祭で、堂々の脚本賞受賞。日本らしい、巧みな脚本だった。

そして、本作をクィア・パルム賞に選んだカンヌ審査員たちの慧眼に私は敬服する。

『キャロル』『BPM ビート・パー・ミニット』『Girl/ガール』『燃ゆる女の肖像』など過去の受賞作は、要件を満たしているのが誰の目にも明白だが、『怪物』はとても微妙に表現されているので、予めそうと知って見ていないと気づかない観客も出そうだ。


今回のカンヌでは、『Perfect Days』に主演した役所広司が男優賞を受賞した。
渋谷のトイレ清掃員を演じた役所を、ヴェンダース監督は「私の笠智衆」と絶賛したそうな。こちらも公開が楽しみだ。
公開未定なので情報をクリップ。 https://eiga.com/movie/99306/
「PERFECT DAYS」予告はとても良い! https://youtu.be/HTgWYojq-z8



上で紹介した、TBS NEWS DIG 是枝監督のメッセージ・連載�◆,茲蟶討唹�用。

フォト


「万引き家族」(2018年・第71回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞)という映画を撮った時に、そんなことは考えてなかったけれども、カンヌ国際映画祭に行って授賞式で、ケイト・ブランシェット(=オーストラリア出身の女優。第71回カンヌ国際映画祭・審査委員長)が、壇上で「今回の映画祭で触れた作品はインビジブル・ピープル(目に見えない人々)を扱った映画が多かった」というまとめ方をされていて、要するに、そこに確かに居るにもかかわらず、目には見えない、居ないことにされている人たちに光を当てる映画が多かった…と。
 それは確実に映画の果たす役割であり、力だというようなことを公式の会見で、彼女は多分話したんだと思います。直接会ってもそう言われたんですけれど。“あぁそうか、自分はそういう人たちのことを描いて来たのかもしれないな”と、描くぞと思ってやったわけではないですけれど。そういう風に言われると、あぁそうかも…と思うんですよね。
 それと多分、同じことを(ツイッターに)書いているんだと思います。それが多分、番組を作る上で自分なりの指針にもなっていたんだと、これを読むとあらためて思います。

 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/512313?display=1


湊と依里(より)が、怪物当てっこゲームをするシーンで、これを思い出して欲しい。
「ナマケモノのカード」が出た時に。



https://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=1833905&id=5511923


この作品はネタバレなしで観た方が良いです。
だから、事前に情報を入れないことをお勧めします。

前半は坂元色が強くてフラストレーションが溜まったものの、
後半は是枝色に変わって本当にホッとした!笑 

だから、坂元裕二のドラマが苦手な人も、是枝監督を信じられるなら、
我慢して最後まで見届けてください。

ラストは美しい緑で良かった…と思いながら、
エンドロールで坂本音楽をしみじみ心に染み渡らせてきました。



hayamiさんの感想日記  2023年06月02日
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https://note.com/11030520na/n/n15abafb7e9c9

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https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985327381&owner_id=12923117

(随時追加予定)



【ネタバレ感想】映画『ベイビー・ブローカー』  2022年07月18日
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【映画】BPM ビート・パー・ミニット  2018年04月08日
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【映画】Girl/ガール  2019年7月12日
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【トランスジェンダー】ドキュメンタリー『リトル・ガール』 2021年12月6日
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1981033781&owner_id=1833905



■『怪物』是枝裕和監督インタビュー 子役への演出を変えた理由とは?
https://youtu.be/XErXNHYQ17s
https://cinemore.jp/jp/news-feature/3004/article_p1.html


■坂本龍一が残した言葉
https://www.asahi.com/special/sakamoto-ryuichi/


【INDEX】映画/舞台 関連日記(3)2023〜
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1984169789&owner_id=1833905


 
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