漢語を書き表す文字が「漢字」です。つまり、「漢族」という人がいて、その言語が「漢語」で、その漢語を表記する文字が「漢字」なのです。漢語が、日本に入ってきたのが千百年前だから、それまで既に二千年くらいの歴史があります。
中国には二千年も前から文字があったのに日本にはなかった。これは、中国の文化はすぐれている文化であり、日本の文化は劣っていた文化だと思っている人がいますが、そうではありません。
中国の文化は早く生まれた文化であり、日本の文化は遅く生まれた文化なのです。文化も個人と同じで、早く生まれるものもあり、後から生まれるものもあります。早く生まれたか後に生まれたかは、優劣とは関係がありません。
これは個人について考えてみれば誰にでもわかることです。日本の文化は、中国の文化よりずっと後に生まれた文化なので、言語も未発達であり、独自の文字を持つに至っていなかったのです。
当用漢字というのは、これからの日本人の、生活や思想を文章に書く、ということだけを想定していています。過去のことは考えていないように思えます。たとえば、日本はもう軍隊を持たないのであるから、これからの日本人に軍曹や曹長などの「曹」の字はもはや不要である、と削除しました。
しかし実際には、戦後の日本人が、戦争中、自分が兵士であったときの体験を書く、あるいは、戦争中の日本社会や軍隊について書く、ということがあるのです。その際には「軍曹」という漢字が必要なのですが、そういうことは考慮にいれていないのです。
この字が教科書や新聞に掲載されることはないのです。もし当用漢字枠を守る新聞等に文章を書くとすれば「軍そう」などと書くほかないわけなのです。このように、日本人が過去を振り返る、という事態を考えていないのです。
終戦後の日本の、過去はすべて間違っていたのだからきれいに忘れて、未来だけを見て新しくやり直そう、ということが、当用漢字にも色濃く反映しているのです。
格差という漢字はこう書くさ。
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