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2023年04月30日21:14

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「カヴァレリア・ルスティカーナ」を聴く

「カヴァレリア・ルスティカーナ」というオペラを
いままでちゃんと聴いてこなかった。
不倫の果ての殺し合いという、ドロドロの不倫劇にうんざりしたのと
この曲についてトスカニーニが「つまらない作品」といったことなど、
理由はいろいろある。
あと、このオペラの中で間奏曲が飛び抜けて有名なのも
よくわからなかった。

しかし、今年に入って、このオペラを集中的に聴いてみると、
絶望的な苦しさ、寂しさの中で、救いを求める祈りに満ちた
素晴らしい傑作だと思った。

YouTubeで、セラフィン指揮、デルモナコ、シミオナートらによる
名盤が対訳付きで聴くことができるが
セラフィンの、旋律をよく歌わせた、情感のこもった指揮ぶりが
すばらしく、テンポを動かしながら、音楽の流れが自然なのは
名人芸といっていいと思う。

「マスカーニ 《カヴァレリア・ルスティカーナ》全曲 
シミオナート / セラフィン指揮」
https://www.youtube.com/watch?v=JyHg_2wL2hg

アリアや重唱では、特に、
「Inneggiamo,Il Signor non e morto」
「No,no,Turiddu」
の2曲に感動した。

「Inneggiamo,Il Signor non e morto」
(讃歌を歌いましょう。主は、死んではおられません)
(27:00〜)
主をたたえる歌だが、宗教曲の静謐さの中で、
青春の甘酸っぱさを感じさせるような生々しさが
妙に印象に残る。

「No,no,Turiddu」(いいえ、いいえ、トゥリッドゥ)
(45:25〜)
こちらはイタリアオペラの王道といえる、2重唱だが
深いメロディとハーモニーが聴く者の心を捉えて
離さない。
音楽がサントゥッツァとトゥリッドゥの、2人の感情を
完璧に捉えているのも、見事という他ない。

他にも、「ママも知るとおり」「乾杯の歌」など
結局、全曲すばらしいということになってしまう。

いままで、イタリアオペラをいろいろ聴いてきたが
自分にぴったりなのは、この
「カヴァレリア・ルスティカーナ」ということに
なるのではないか、と思った。

ヴェルディやプッチーニのオペラのような
偉大な傑作ではないかもしれないが
聴き手に寄り添うような親密さは
独自の魅力に満ちている。

このオペラの知名度って、どれくらいなんだろう?
イタリアオペラ好きのあいだでは高いのだろうが
知らない人も多いだろうし、特に
間奏曲しか知らないという人も大いに違いない。

オペラ好きのみならず、歌が好きな人には
ぜひ聞いてみることを薦めたい。

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