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2023年04月28日21:16
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動画アリ！ZARD坂井泉水ゆかりの地,横浜みなとみらい〜Good bye My Loneliness〜(前編） 都筑区つつじ園 ウズベギスタンの歴史 ウクライナホロドモール 2023年第1回2月12日 第2回4月23日
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＜2023年 2月12日（日）4月23日（日）横浜みなとみらいライド＞
ZARDの歌詞をテーマにした旅の舞台は、横浜市の都筑区、中区と西区に跨るみなとみらい地域である。ツツジとフジが見頃を迎えた4月23日を中心に、冬場の2月12日の訪問地を紹介する。取り上げる歌詞は、1991年2月10日にリリースされた1stシングル「Good bye My Loneliness」、都会的で明るいミディアムバラードは、海沿いに花々が咲く横浜市にふさわしい曲である。ミュージックビデオ自体、横浜市の大黒埠頭付近で行われたという。ZARDの軌跡を振り返りながら旅をする。
写真＝Good bye my lonelinessのＭＶの一場面
目次
・第1章 都筑区 個人宅の豪華なつつじ園 Good bye My LonelinessのＡメロの歌詞
・第2章 みなとみらい地区 ユーラシア文化館 ウズベギスタンの現代史 �，�ら��
前回みなとみらい関連日記
2022年12月24日付 https:/
第1章 都筑区 個人宅の豪華なつつじ園 Good bye My LonelinessのＡメロの歌詞
最高気温が夏日を記録した21日から一転して、22日と23日は冷え込んだ。23日の最高気温は18度にとどまり、朝は冷え込みを感じた。
数日前の暖かさにより、一気に花開いたつつじは、現在中咲きから遅咲きへと変わろうとしている。
横浜市都筑区佐江戸町で庭園を管理する個人宅をうかがった。二階建ての住宅の北側は道路、反対に南側の斜面は、びっしりとツツジが生えることにより、迷路のように入り組んでいた。庭園を管理する牧野さんによると、連日の温かさにより、この10年で最も開花タイミングが揃ったという。盛り上がったツツジ庭園の迷路を抜けると、小高い丘の上にある畑にたどり着いた。高低差は15ｍ以上、斜面を覆い尽くすツツジによって、母屋は隠されてしまった。一組の高齢夫婦が、桑を使って、土を耕していた。正面には、外壁が明るい黄緑に染まった一軒家が目を引く。道路を挟み、両脇にに咲いているツツジと合わさると、メルヘンの世界に出てくるお嬢さんのお住まいのように気品がある。
田んぼの合間の小さな林からウグイスの鳴き声が響いた。傾斜のある庭園の北側は、道路を挟み、マンションが並ぶ、対照的に、南側は畑の中に、西洋風の建物が立つ。近代的な世界から、昭和の面影を残す別世界へ移って来たような錯覚に陥る。
ZARDの1ｓｔシングル「Good bye My Loneliness」の歌詞では、新しい世界を捜し求める主人公を描いている。
冒頭の歌詞：「心の奥をあなたにのぞかれそう、瞳をそらしても気付かれそうで」
好きな人に告白して、返事を待つ主人公は、そわそわとしていた。
続く歌詞：「煙る都会のRain drops 揺らいでいたの また独りになるのが怖くて」
雨が降った後のように霞みがちな都会を一端後にし、一人田舎へと向う。人ごみから離れると、確かに気を使わなくてすむ。佐江戸町の田園地帯も、ゆったりと時が流れている。仕事の合間にリラックスできるとはいえ、夜は灯りが乏しく、静寂に包まれる。
再び牧野さん宅の迷路のようなつつじ園を下った。東方向の入り口から反れて、西へ向うと、紅葉の木がそびえる小さな空間に行き当たった。少し斜面から下り、中腰になって遠めから見つめる。陽の光を受けて、葉っぱが一段と映える。暗いトンネルの中から抜け出て、温かさに包まれた。
サビの歌詞：Good bye my loneliness あなたの胸に そっと Tanderness 飛び込みたいの だから今は そばにいて欲しいの 抱きしめて夢が消える前に」
いつまでも相手から返事がなく、心の迷路に迷い込んだ主人公、つかの間の幻を見て、眠りに落ちていく。
Ａメロの歌詞より
写真＝個人宅の母屋の前からつつじ山を見上げる
牧野さんのご主人や奥さんにも、お礼の言葉を述べて、みなとみらいを目指して、出発した。
第2章 みなとみらい地区 ユーラシア文化館 ウズベギスタンの現代史
西区と中区に跨る海沿いのみなとみらい地区へ入ると、公共施設巡りを行う。2月12日に訪れたユーラシア文化館では、中央アジアの文化が紹介されていた。今回は91年に旧ソ連から独立したウズベギスタンの文化に焦点を当てる。
・ユーラシア文化館 http://
２階の展示室
ウズベギスタンは、2021年時点で人口3491万人の内陸国である。シルクロードの要衝の地、古くから東西の文化が混ざり、唐（現在の中国）から香辛料が、西欧から毛織物が入ってきた。91年に独立した国の存在を広くアピールしたのは、1994年に開催された広島アジア総合競技大会である。当時年齢制限のないフル代表での参加が認められた男子サッカー競技において、ウズベギスタン代表は、予選リーグ初戦に、同年のアメリカＷカップでベスト16入りを果たしたサウジアラビアに4対１で圧勝した。準決勝の韓国戦には、一方的にペースを握られながら、少ないチャンスを物にし、1対0の最小スコアで辛勝する。決勝戦で中国を4対2で破り、大会初出場ながら金メダルを獲得した。
一躍アジアの強豪国になると期待されながら、2022年までＷカップの出場暦はない。年代別では、2015年にニュージーランドで行われたU-20ワールドカップで、ベスト8に入っている。直近では、2023年3月1日から18日まで自国で開催されたU-20アジアカップにて、決勝戦でイラクを1対0で破り、初優勝を果たした。若手が着実に育っていることにより、年齢制限のないFIFAワールドカップの初出場が期待されている。
写真＝U-20アジアカップ2023で優勝したウズベギスタンのメンバー 掲載元FIFA.com https:/
国内の主要産業の一つは、観光である。古都サマルカンドは、青を基調にしたモザイクタイルやモスクなどの建築群が世界遺産に登録された。古都を築いたのは14世紀に帝国を築いたティムール（1370年から1405年）だった。民族衣装としてドッピという帽子を被る。
写真＝展示室からドッピ
砂漠の内陸国は、綿栽培が盛んで、金やウラン、天然ガスが埋蔵する。一次産業を主体とする同国は、付加価値をつけての販売促進が課題となっている。2020年はコロナ禍でも経済成長は＋1,6%を付けていた。2021年は＋7,4％まで上昇する。コロナ前の2019年は＋5％台、国の躍進には、政治体制の転換にある。
（１）独立時、ルーブル圏から離脱
ウズベギスタンは1991年8月31日に、旧ソビエト連邦から独立を宣言した。同国は、ウズベク・ソビエト社会主義共和国時代の1990年3月24日に、初の大統領選挙を行い、共産党から出馬した1938年1月30日産まれのイスラム・カリモフ氏が国家指導者になった。独立後の91年12月にも大統領選挙戦に出馬し、再選した。自身が属する共産党は、ウズベギスタン人民民主党に改称する。独立後第1回大統領選挙戦での勝利後、共産主義体制から資本主義体制へゆるやかに移行する「漸進主義」を掲げ、経済的混乱を最小限に抑えた。
写真＝カリモフ大統領 2016年4月26日モスクワにて （2016年4月26日撮影、資料写真）。(c)AFP/MAXIM SHEMETOV
独自の経済体制は他国から「ウズベクモデル」と呼ばれた。旧ソ連の国々からなるCIS(独立国家共同体)の加盟国は、急激な資本主義への移行により、物資調達に苦労を要していた。共通の通貨「ルーブル」を導入したＣＩＳの国々は、インフレーションにより、国民の生活を圧迫した。急激な民営化により、安い値段でオリガルヒと呼ばれる財閥によって、国営企業が買い占められたのである。これまで生活必需品は、ソ連政府によって価格統制されていた。資本主義の移行により、物の売り買いに関する規制はなくなった。足りないものは、必然的に高くなる。ロシア国内において1992年のインフレ率2500％、翌93年、94年、95年まで三桁が続く。93年から順に900％、300％、200％を記録していた。
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https:/
初年度の4桁にのぼるインフレを抑えるべく、93年７月に、CISを主導するロシアが、新ルーブルを発行すると、カザフスタン、ベラルーシ、ウズベギスタン、アルメニア、タジギスタンが追随した。6カ国によって、新ルーブル通貨圏創設協定が調印される。同じ通貨を使用する国は、金融政策や税制についても足並みをそろえる。ロシアの経済圏に、5カ国が加わることにより、エネルギーの調達が容易になる。一方負の面では、悪化するロシアの財政状況に引っ張られ、通貨の信用を得られず、貿易収支で赤字になりやすい。新ルーブル圏から、カザフスタン、ウズベギスタン、アルメニアが離脱し、それぞれ独自の通貨を発行した。
詳細 コトバンク 新ルーブル圏 https:/
1993年11月15日にウズベギスタンは新通貨「スム」を発行し、ルーブルと交換した。単位は、1、3、5、10、25、50、100、200、500、1000、5000 および 10,000 である。1994年7月1日に新スムが発行され、１新スム＝1000旧スムのレートで交換された。スムの下に、100分の１単位の小銭相当のティンが導入されたものの、急激なインフレーションにより、流通していない。2017年の段階で100スム以上の紙幣のみ認められている。
詳細 写真掲載元 通貨「スム」ウィキペディア https:/
写真 掲載元 世界経済のネタ帳 ウズベギスタンのインフレ率の推移 2023年4月12日 https:/
物不足によるインフレの原点を遡ると、旧ソヴィエト時代の政策にある。 1928年から193３年のスターリン体制の第一次五ヵ年計画に代表されるように、ソ連では鉄鋼業、科学製造業など重工業が中心だった。対照的に繊維や木製品、食料品を含め、軽工業の優先順位は低く、国民に必要な量だけ生産していた。
（2）ソ連時代の農業について
最も農業に関しては、コルホーズと呼ばれる集団農地化した。実際ソ連時代から農業は軽視せず、計画的に生産してきたとはいえ、作業能率が悪く、労働者一人辺りの収穫量は少なかった。
以下 世界史の窓コルホーズより
農民が生産手段をプールし収穫を分配する協同組合組織が基本となる。
次の三種。
・コンムーナ（コミューン）……一切の道具および家畜は成員の共有。共同家屋に住む。
・トズ……農民は小さな土地・家畜・道具を所有して共同作業を営む一種の生産協同組合。
・アルテリ……コンムーナとトズの中間。土地・農具を共同所有し共同作業による生産。農民は自分の家畜と小さな菜園を所有する。菜園でとれた作物は自家用にしあるいは市場へ売る。
コルホーズの最も一般的形態は、全集団農場の96％に達するアルテリであった。アルテリは、国家の意向に背けない。国家の出先機関のＭＴＣ（機械・トラクター・ステーション）が個々の農家ではなく、アルテリと契約し、農業機械を提供する。収穫物を国家に引き渡し、次にＭＴＣに支払う。最後に残ったものを個々の世帯が分配した。
対して、もう一つのソ連社会主義に農業形態であるソフホーズは、私的管理を認められていない。国に雇われた労働者とみなされる。維持管理費は全て国が負担し、農機具も与えられる。農民はいわゆる雇用者、ノルマを課せられたうえに、国から給与を支給される。
1933年から1937年にわたる第2次五カ年計画において、消費財生産など軽工業部門の育成に重きを置いたものの、ドイツとイタリアを中心に台頭したファシズム政権をにらみ、軍事力を強化する方向に変えた。結局軽工業の開発は、道半ばで終えた。
第二次五カ年計画の終わりの1937年、全農家戸数の93％、播種面積にして99％が集団化された。国家権力でもって、市民の意向を聞き入れず、強引に推し進めたのである。ソ連を構成するウクライナ社会主義共和国内では、集約化に対する激しい抵抗運動が起きた。私有権を主張した農民は、日本語で握骨を意味する「クラーク」と呼ばれた。一度握った土地を、頑なまでに手放さない様子から、その名がつけられた。クラークと呼ばれた農民は、国家反逆罪により、逮捕・投獄される。1931年から1932年、無理なノルマを課せられたウクライナの農民は、政府が命令した数値の収穫物を下回ったことにより、懲罰を受けた。強制収用所に送られ、満足に食べ物を与えられず、餓死した。一説によると、犠牲者は400万から500万人にのぼる。ソ連共産党は、ウクライナの農民から徴収した穀物を輸出することにより、外貨を獲得し、軍事産業に回した。
ウクライナ農民の大量餓死について、国際的には、特定民族を弾圧した「ジェノサイド」と認定されている。一連の悲劇を、飢饉を意味する「ホロド」と、疫病や苦死を表す「モール」を合わせて、「ホロドモール」と呼ばれている。
詳細 ＥＬＥＭＩＮＳＴ https:/
写真＝首都キーウにあるホロドモールによる犠牲者追悼日 2022年11月26日撮影 掲載元 （ＥＰＡ時事）
国が一括に土地を管理するコルホーズとソフホーズは、農民を犠牲の上で成り立っていた。重工業従事者は、安定的に食料を確保した。
コルホーズ・ソフホーズは戦後、集約化が進められて生産力の向上を目座す。規模の経済によると、農地は集団化が望ましい。1人1人が小さな土地を耕すよりも、集約化することにより、機械を使って、一気に刈り取ることができる。
1978年のソ連の小麦生産量（１億２０８０万トン）は世界の２７％を占めた。アメリカやインド、オーストラリアをはるかに上回る。人口規模によって、農業が支えられていた。1人当たりの生産性に関すると、資本主義国よりも明らかに低かった。1人辺りで割った収穫量はアメリカの5分の1にとどまっていた。政府はコルホーズの集約化と統合を進め、その規模は１９４０年の平均８１戸から８７年には４６１人（共同経営作業従事者数）へと拡大した。もう一つ資本主義的な発想へと転換し、農民の生産意欲を高めるため、月給制を導入した。果物、野菜、食肉などでの住宅附属の個人経営に依存するようになった。＜木村英亮『増補版ソ連の歴史』1991 山川出版社 p.196＞
コルホーズは、政府の補助金によって支えられていた。つまり、費用対効果に見合わず、赤字財政だったのである。生産性の効率の悪さにより、赤字が続き、結果ソ連の財政を圧迫した。
第二次世界大戦後、コルホーズの経営方針は紆余曲折の末、ついに資本主義に習い、労働力を向上させるべく、月給製導入まで踏み切った。より先進的な化学肥料や機械を導入するアメリカとオーストラリアと比べると、旧態依然とした農法には、生産効率は改善しなかったのである。
根本的に制度を変えたのは、1985年の最後の指導者ゴルバチョフ氏だった。1986年にペレストロイカ（改革）を推し進める中、88年に国会にて共同組合法が採択された。新しい「コルホーズ模範定款」が制定された。簡単に要約すると、農業の多様な所有・経営形態、土地私有の権利を一定程度容認する。
1990年2月に、ソ連最高会議は「新土地法」を採択する。土地に関しては、より柔軟に対応し、第3条に「土地は当該地域に居住する人民の財産である」と明記した。つまり、国有化されている土地において、農民の私的経営を認めたのである。画期的な改革では、1990年末、ソ連内のロシア社会主義共和国の議会において「土地改革法」「農民経営法」が可決され、私的土地所有に基づく個人農業経営を正式に許可したのである。他の社会主義的企業と対等の扱いをうけられるようになった。＜木村英亮『増補版ソ連の歴史』1991 山川出版社 p.219-220＞
１９９１年にソ連の解体により、旧ソ連邦での経済の民営化が急速に進められた。ロシア共和国においても多くの国営企業が株式会社に転換し、従業員集団なども株を獲得し、貧富の差が生じた。農業においてもコルホーズ、ソフホーズの多くはそのまま有限会社、合資会社などとして登録された。コルホーズとスフホーズの体質を残す農民経営は、１９９４年時点で総収穫量の5,7％にとどまっている。＜木村英亮『同上書』 p.239-240＞
自由で開かれた資本主義へと転換した旧ソ連の国々は、ＣＩＳの形骸化により、それぞれ経済や軍事面でも異なる道を歩もうとしている。
（３）初代カリモフ大統領の政策
振り返ると、綿花産業を中心とした軽工業が盛んだったウズベギスタンは、必要な物資を確保したことにより、インフレの影響は、ルーブル通貨圏内の国々の中で最小限にとどまった。生活に必要な農産物を政府は積極的に保護する。貿易抑制策により、必要な物資を確保したとはいえ、漸進主義の欠点が露呈した。
その弊害は、国と企業の経営体制の違いである。国営企業を民営化するにあたり、所有法を制定し、競争意識を働かせるため、価格の自有化を認めた。民営化することにより、採算を得る必要が生じる。社会主義体制が残る同国において、政府が貿易の規制をかけ、不当な価格設定を禁止した。金融部門も混乱をきたす。ウズベキスタンでは長期に渡って、公式レートと非公式レート（所謂闇レート）が存在していた。国営企業の中には、２つのレートの価格差により、利潤を得ていた。従って、輸出が滞ることにより、外貨を獲得できなかった。二重為替の実態により、観光客も混乱する。例えば2015年時点で、1ドル2500スムで表向きに取引されていた。ウズベギスタンに入国するに際して、書類に詳しく手持ちの通貨や金額について書く必要が生じる。入国後、買い物に際して、障害が立ちはだかる。表向きに1ドル2500スムでも、町では4500スムとみなされていた。従って物の値段が想定よりも高いのである。観光に際して、もう一つの弊害は、出国時の両替だった。入管の際1ドル2500、対して出国時4500スムで1ドルに交換されるのである。入国する前に物価を調べ、計画的にお金を使う必要が生じる。
2011年の段階において、2つのレートは統一され、IMF8条国にもなった。 IMF（国際通貨基金）協定第8条は、経常取引における支払に対する制限の回避、差別的通貨措置の回避､他国保有の自国通貨残高の交換性維持を規定している。協定に従った国をＩＭＦ8条国と認定される。日本は1964年にIMF8条国に移行した。
ウズベギスタンの通貨スムの不安定さから、闇レートは消え去っていない。
金融機関においても、国営が中心である。制度改革において、人材不足から、外国の力を借りる必要が生じる。日本からは、JICA（独立行政法人 国際協力支援機構）がその役目を果たす。
JICAのホームページにて、ウズベギスタンへの援助について、次のように書かれている。https:/
参考文献 中央アジア散歩 2022年夏学期 全学自由研究ゼミナール Just another 教養高度化機構チーム 形成部門より 2011年9月2日
軍事的には、1992年5月15日に、同国の首都タシケントで、発足手続きが行われたCSTO(集団安全保障条約機構)に加わりながら、1999年4月2日に、有効期限切れに伴い、脱退した。現在ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、アルメニアの6カ国から成る。
ウズベギスタンは、発足以来近隣の国々と領土問題を含め、紛争を抱えていない。カリモフ大統領の権力掌握により、国民は言論の自由を封じられ、正しい情報を得られていないのである。
ソ連共産党時代の影響を色濃く残し、宗教を弾圧した。1998年にイスラーム過激派テロを防ぐ口実で、モスクを国家の支配下に置く法律を国会で通した。1999年2月16日、首都タシケントの誤爆事件は、抵抗組織の大統領暗殺未遂事件と断定し、国家秘密警察に、捜査を命じた。当時ウズベギスタン・イスラーム運動が展開されたのである。組織の方は、2001年の9.11同時多発テロに関与したとみられるアルカイダとの関係を強めた。組織の方は、98年にアフガニスタンのカブールで結成される。原理主義者のタヒル・ユルダシェフと、旧ソ連空挺部隊のジュマ・ナマンガニの2名だった。中央アジアを中心に、独裁的な政府打倒を目指して、戦いを続けた。表向きにイスラムテロ組織との戦いを掲げるカリモフ政権は、同じ目的のアメリカのブッシュ政権と連携を図る。2001年秋以降、アルカイダを支援するアフガニスタンのタリバン政権と対峙するアメリカ軍に暫定的に基地を提供した。アメリカ軍800人が、2005年7月27日に引き上げるまで駐留を続けた。
反米の中国やロシアとも外交関係を維持し、2001年6月15日に設立された上海協力機構（SCO）に加わり、同国首都タシケントにテロ対策本部を構える。
写真＝上海協力機構に加盟する国々を紹介 掲載元 朝日新聞DEGITAL 2018年6月10日 https:/
テロとの戦いを全面に出してアメリカと協力しながら、エネルギー確保の面からロシア、成長著しい中国とも良好な関係を築く。
ウズベギスタン・イスラーム運動は、事実上2015年にとまった。原理主義者のユルダシェフは、2001年のアメリカ軍とアフガン北部同盟との戦いで、戦死した。一方のソ連時代の空挺部隊に属したナマンガニは、2009年に南ワズィーリスターン・カニゴラムで無人航空機の攻撃を受け死亡している。任命された後継者は、アメリカ軍が駐留するアフガンでひそかに活動を続けたものの、治安維持部隊に狙撃されて、死亡している。組織自体が縮小する中、消滅のきっかけは、イスラム勢力同士の内乱にある。アフガニスタンを支配したタリバーンは、初代指導者オマル師が、2013年4月23日に、病死したことを明らかにした。アメリカでは既に消息を絶っていたことから2001年に死亡したとみている。後継の座に就いた2代目の指導者マンスール師に、ウズベギスタン・イスラーム指導者ウスマン・ガーズィが内乱を起こし、鎮圧された。指導者の死亡により、活動の形跡がなくなったのである。ウズベギスタン・イスラーム組織が、大掛かりな戦争に参加したのは、タジキスタン内戦である（1992年5月5日 - 1997年6月27日）同国のラフモン大統領率いる旧ソヴィエト共産党の面々からなる政府と、イスラム民主主義を掲げる反政府勢力との戦いだった。政府軍にはＣＳＴＯの国々がバックにつく。対して反政府軍は、イスラム教徒の支援を受けた。94年から第3代目として、2023年現在でも大統領職に付くエモマリ・ラフモン氏と反乱軍を主導したタジキスタン野党連合の指導者サイイド・アブドゥッラー・ヌーリー氏の間で和解に至った。
写真＝サイイド・アブドゥッラー・ヌーリー（左）とラフモン大統領（右） https:/
ラフモン大統領から野党連合の指導者として、国家和平委員会の議長のポストを与えられた。2003年には治安の安定化により、委員会は解散している。サイイド・アブドゥッラー・ヌーリー氏（1947年3月15日生まれ）は、2006年8月9日、癌により、病死した。次回カリモフ政権での抑圧の歴史をみていく。
ZARDの歌詞をテーマにした旅の舞台は、横浜市の都筑区、中区と西区に跨るみなとみらい地域である。ツツジとフジが見頃を迎えた4月23日を中心に、冬場の2月12日の訪問地を紹介する。取り上げる歌詞は、1991年2月10日にリリースされた1stシングル「Good bye My Loneliness」、都会的で明るいミディアムバラードは、海沿いに花々が咲く横浜市にふさわしい曲である。ミュージックビデオ自体、横浜市の大黒埠頭付近で行われたという。ZARDの軌跡を振り返りながら旅をする。
写真＝Good bye my lonelinessのＭＶの一場面
目次
・第1章 都筑区 個人宅の豪華なつつじ園 Good bye My LonelinessのＡメロの歌詞
・第2章 みなとみらい地区 ユーラシア文化館 ウズベギスタンの現代史 �，�ら��
前回みなとみらい関連日記
2022年12月24日付 https:/
第1章 都筑区 個人宅の豪華なつつじ園 Good bye My LonelinessのＡメロの歌詞
最高気温が夏日を記録した21日から一転して、22日と23日は冷え込んだ。23日の最高気温は18度にとどまり、朝は冷え込みを感じた。
数日前の暖かさにより、一気に花開いたつつじは、現在中咲きから遅咲きへと変わろうとしている。
横浜市都筑区佐江戸町で庭園を管理する個人宅をうかがった。二階建ての住宅の北側は道路、反対に南側の斜面は、びっしりとツツジが生えることにより、迷路のように入り組んでいた。庭園を管理する牧野さんによると、連日の温かさにより、この10年で最も開花タイミングが揃ったという。盛り上がったツツジ庭園の迷路を抜けると、小高い丘の上にある畑にたどり着いた。高低差は15ｍ以上、斜面を覆い尽くすツツジによって、母屋は隠されてしまった。一組の高齢夫婦が、桑を使って、土を耕していた。正面には、外壁が明るい黄緑に染まった一軒家が目を引く。道路を挟み、両脇にに咲いているツツジと合わさると、メルヘンの世界に出てくるお嬢さんのお住まいのように気品がある。
田んぼの合間の小さな林からウグイスの鳴き声が響いた。傾斜のある庭園の北側は、道路を挟み、マンションが並ぶ、対照的に、南側は畑の中に、西洋風の建物が立つ。近代的な世界から、昭和の面影を残す別世界へ移って来たような錯覚に陥る。
ZARDの1ｓｔシングル「Good bye My Loneliness」の歌詞では、新しい世界を捜し求める主人公を描いている。
冒頭の歌詞：「心の奥をあなたにのぞかれそう、瞳をそらしても気付かれそうで」
好きな人に告白して、返事を待つ主人公は、そわそわとしていた。
続く歌詞：「煙る都会のRain drops 揺らいでいたの また独りになるのが怖くて」
雨が降った後のように霞みがちな都会を一端後にし、一人田舎へと向う。人ごみから離れると、確かに気を使わなくてすむ。佐江戸町の田園地帯も、ゆったりと時が流れている。仕事の合間にリラックスできるとはいえ、夜は灯りが乏しく、静寂に包まれる。
再び牧野さん宅の迷路のようなつつじ園を下った。東方向の入り口から反れて、西へ向うと、紅葉の木がそびえる小さな空間に行き当たった。少し斜面から下り、中腰になって遠めから見つめる。陽の光を受けて、葉っぱが一段と映える。暗いトンネルの中から抜け出て、温かさに包まれた。
サビの歌詞：Good bye my loneliness あなたの胸に そっと Tanderness 飛び込みたいの だから今は そばにいて欲しいの 抱きしめて夢が消える前に」
いつまでも相手から返事がなく、心の迷路に迷い込んだ主人公、つかの間の幻を見て、眠りに落ちていく。
Ａメロの歌詞より
写真＝個人宅の母屋の前からつつじ山を見上げる
牧野さんのご主人や奥さんにも、お礼の言葉を述べて、みなとみらいを目指して、出発した。
第2章 みなとみらい地区 ユーラシア文化館 ウズベギスタンの現代史
西区と中区に跨る海沿いのみなとみらい地区へ入ると、公共施設巡りを行う。2月12日に訪れたユーラシア文化館では、中央アジアの文化が紹介されていた。今回は91年に旧ソ連から独立したウズベギスタンの文化に焦点を当てる。
・ユーラシア文化館 http://
２階の展示室
ウズベギスタンは、2021年時点で人口3491万人の内陸国である。シルクロードの要衝の地、古くから東西の文化が混ざり、唐（現在の中国）から香辛料が、西欧から毛織物が入ってきた。91年に独立した国の存在を広くアピールしたのは、1994年に開催された広島アジア総合競技大会である。当時年齢制限のないフル代表での参加が認められた男子サッカー競技において、ウズベギスタン代表は、予選リーグ初戦に、同年のアメリカＷカップでベスト16入りを果たしたサウジアラビアに4対１で圧勝した。準決勝の韓国戦には、一方的にペースを握られながら、少ないチャンスを物にし、1対0の最小スコアで辛勝する。決勝戦で中国を4対2で破り、大会初出場ながら金メダルを獲得した。
一躍アジアの強豪国になると期待されながら、2022年までＷカップの出場暦はない。年代別では、2015年にニュージーランドで行われたU-20ワールドカップで、ベスト8に入っている。直近では、2023年3月1日から18日まで自国で開催されたU-20アジアカップにて、決勝戦でイラクを1対0で破り、初優勝を果たした。若手が着実に育っていることにより、年齢制限のないFIFAワールドカップの初出場が期待されている。
写真＝U-20アジアカップ2023で優勝したウズベギスタンのメンバー 掲載元FIFA.com https:/
国内の主要産業の一つは、観光である。古都サマルカンドは、青を基調にしたモザイクタイルやモスクなどの建築群が世界遺産に登録された。古都を築いたのは14世紀に帝国を築いたティムール（1370年から1405年）だった。民族衣装としてドッピという帽子を被る。
写真＝展示室からドッピ
砂漠の内陸国は、綿栽培が盛んで、金やウラン、天然ガスが埋蔵する。一次産業を主体とする同国は、付加価値をつけての販売促進が課題となっている。2020年はコロナ禍でも経済成長は＋1,6%を付けていた。2021年は＋7,4％まで上昇する。コロナ前の2019年は＋5％台、国の躍進には、政治体制の転換にある。
（１）独立時、ルーブル圏から離脱
ウズベギスタンは1991年8月31日に、旧ソビエト連邦から独立を宣言した。同国は、ウズベク・ソビエト社会主義共和国時代の1990年3月24日に、初の大統領選挙を行い、共産党から出馬した1938年1月30日産まれのイスラム・カリモフ氏が国家指導者になった。独立後の91年12月にも大統領選挙戦に出馬し、再選した。自身が属する共産党は、ウズベギスタン人民民主党に改称する。独立後第1回大統領選挙戦での勝利後、共産主義体制から資本主義体制へゆるやかに移行する「漸進主義」を掲げ、経済的混乱を最小限に抑えた。
写真＝カリモフ大統領 2016年4月26日モスクワにて （2016年4月26日撮影、資料写真）。(c)AFP/MAXIM SHEMETOV
独自の経済体制は他国から「ウズベクモデル」と呼ばれた。旧ソ連の国々からなるCIS(独立国家共同体)の加盟国は、急激な資本主義への移行により、物資調達に苦労を要していた。共通の通貨「ルーブル」を導入したＣＩＳの国々は、インフレーションにより、国民の生活を圧迫した。急激な民営化により、安い値段でオリガルヒと呼ばれる財閥によって、国営企業が買い占められたのである。これまで生活必需品は、ソ連政府によって価格統制されていた。資本主義の移行により、物の売り買いに関する規制はなくなった。足りないものは、必然的に高くなる。ロシア国内において1992年のインフレ率2500％、翌93年、94年、95年まで三桁が続く。93年から順に900％、300％、200％を記録していた。
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初年度の4桁にのぼるインフレを抑えるべく、93年７月に、CISを主導するロシアが、新ルーブルを発行すると、カザフスタン、ベラルーシ、ウズベギスタン、アルメニア、タジギスタンが追随した。6カ国によって、新ルーブル通貨圏創設協定が調印される。同じ通貨を使用する国は、金融政策や税制についても足並みをそろえる。ロシアの経済圏に、5カ国が加わることにより、エネルギーの調達が容易になる。一方負の面では、悪化するロシアの財政状況に引っ張られ、通貨の信用を得られず、貿易収支で赤字になりやすい。新ルーブル圏から、カザフスタン、ウズベギスタン、アルメニアが離脱し、それぞれ独自の通貨を発行した。
詳細 コトバンク 新ルーブル圏 https:/
1993年11月15日にウズベギスタンは新通貨「スム」を発行し、ルーブルと交換した。単位は、1、3、5、10、25、50、100、200、500、1000、5000 および 10,000 である。1994年7月1日に新スムが発行され、１新スム＝1000旧スムのレートで交換された。スムの下に、100分の１単位の小銭相当のティンが導入されたものの、急激なインフレーションにより、流通していない。2017年の段階で100スム以上の紙幣のみ認められている。
詳細 写真掲載元 通貨「スム」ウィキペディア https:/
写真 掲載元 世界経済のネタ帳 ウズベギスタンのインフレ率の推移 2023年4月12日 https:/
物不足によるインフレの原点を遡ると、旧ソヴィエト時代の政策にある。 1928年から193３年のスターリン体制の第一次五ヵ年計画に代表されるように、ソ連では鉄鋼業、科学製造業など重工業が中心だった。対照的に繊維や木製品、食料品を含め、軽工業の優先順位は低く、国民に必要な量だけ生産していた。
（2）ソ連時代の農業について
最も農業に関しては、コルホーズと呼ばれる集団農地化した。実際ソ連時代から農業は軽視せず、計画的に生産してきたとはいえ、作業能率が悪く、労働者一人辺りの収穫量は少なかった。
以下 世界史の窓コルホーズより
農民が生産手段をプールし収穫を分配する協同組合組織が基本となる。
次の三種。
・コンムーナ（コミューン）……一切の道具および家畜は成員の共有。共同家屋に住む。
・トズ……農民は小さな土地・家畜・道具を所有して共同作業を営む一種の生産協同組合。
・アルテリ……コンムーナとトズの中間。土地・農具を共同所有し共同作業による生産。農民は自分の家畜と小さな菜園を所有する。菜園でとれた作物は自家用にしあるいは市場へ売る。
コルホーズの最も一般的形態は、全集団農場の96％に達するアルテリであった。アルテリは、国家の意向に背けない。国家の出先機関のＭＴＣ（機械・トラクター・ステーション）が個々の農家ではなく、アルテリと契約し、農業機械を提供する。収穫物を国家に引き渡し、次にＭＴＣに支払う。最後に残ったものを個々の世帯が分配した。
対して、もう一つのソ連社会主義に農業形態であるソフホーズは、私的管理を認められていない。国に雇われた労働者とみなされる。維持管理費は全て国が負担し、農機具も与えられる。農民はいわゆる雇用者、ノルマを課せられたうえに、国から給与を支給される。
1933年から1937年にわたる第2次五カ年計画において、消費財生産など軽工業部門の育成に重きを置いたものの、ドイツとイタリアを中心に台頭したファシズム政権をにらみ、軍事力を強化する方向に変えた。結局軽工業の開発は、道半ばで終えた。
第二次五カ年計画の終わりの1937年、全農家戸数の93％、播種面積にして99％が集団化された。国家権力でもって、市民の意向を聞き入れず、強引に推し進めたのである。ソ連を構成するウクライナ社会主義共和国内では、集約化に対する激しい抵抗運動が起きた。私有権を主張した農民は、日本語で握骨を意味する「クラーク」と呼ばれた。一度握った土地を、頑なまでに手放さない様子から、その名がつけられた。クラークと呼ばれた農民は、国家反逆罪により、逮捕・投獄される。1931年から1932年、無理なノルマを課せられたウクライナの農民は、政府が命令した数値の収穫物を下回ったことにより、懲罰を受けた。強制収用所に送られ、満足に食べ物を与えられず、餓死した。一説によると、犠牲者は400万から500万人にのぼる。ソ連共産党は、ウクライナの農民から徴収した穀物を輸出することにより、外貨を獲得し、軍事産業に回した。
ウクライナ農民の大量餓死について、国際的には、特定民族を弾圧した「ジェノサイド」と認定されている。一連の悲劇を、飢饉を意味する「ホロド」と、疫病や苦死を表す「モール」を合わせて、「ホロドモール」と呼ばれている。
詳細 ＥＬＥＭＩＮＳＴ https:/
写真＝首都キーウにあるホロドモールによる犠牲者追悼日 2022年11月26日撮影 掲載元 （ＥＰＡ時事）
国が一括に土地を管理するコルホーズとソフホーズは、農民を犠牲の上で成り立っていた。重工業従事者は、安定的に食料を確保した。
コルホーズ・ソフホーズは戦後、集約化が進められて生産力の向上を目座す。規模の経済によると、農地は集団化が望ましい。1人1人が小さな土地を耕すよりも、集約化することにより、機械を使って、一気に刈り取ることができる。
1978年のソ連の小麦生産量（１億２０８０万トン）は世界の２７％を占めた。アメリカやインド、オーストラリアをはるかに上回る。人口規模によって、農業が支えられていた。1人当たりの生産性に関すると、資本主義国よりも明らかに低かった。1人辺りで割った収穫量はアメリカの5分の1にとどまっていた。政府はコルホーズの集約化と統合を進め、その規模は１９４０年の平均８１戸から８７年には４６１人（共同経営作業従事者数）へと拡大した。もう一つ資本主義的な発想へと転換し、農民の生産意欲を高めるため、月給制を導入した。果物、野菜、食肉などでの住宅附属の個人経営に依存するようになった。＜木村英亮『増補版ソ連の歴史』1991 山川出版社 p.196＞
コルホーズは、政府の補助金によって支えられていた。つまり、費用対効果に見合わず、赤字財政だったのである。生産性の効率の悪さにより、赤字が続き、結果ソ連の財政を圧迫した。
第二次世界大戦後、コルホーズの経営方針は紆余曲折の末、ついに資本主義に習い、労働力を向上させるべく、月給製導入まで踏み切った。より先進的な化学肥料や機械を導入するアメリカとオーストラリアと比べると、旧態依然とした農法には、生産効率は改善しなかったのである。
根本的に制度を変えたのは、1985年の最後の指導者ゴルバチョフ氏だった。1986年にペレストロイカ（改革）を推し進める中、88年に国会にて共同組合法が採択された。新しい「コルホーズ模範定款」が制定された。簡単に要約すると、農業の多様な所有・経営形態、土地私有の権利を一定程度容認する。
1990年2月に、ソ連最高会議は「新土地法」を採択する。土地に関しては、より柔軟に対応し、第3条に「土地は当該地域に居住する人民の財産である」と明記した。つまり、国有化されている土地において、農民の私的経営を認めたのである。画期的な改革では、1990年末、ソ連内のロシア社会主義共和国の議会において「土地改革法」「農民経営法」が可決され、私的土地所有に基づく個人農業経営を正式に許可したのである。他の社会主義的企業と対等の扱いをうけられるようになった。＜木村英亮『増補版ソ連の歴史』1991 山川出版社 p.219-220＞
１９９１年にソ連の解体により、旧ソ連邦での経済の民営化が急速に進められた。ロシア共和国においても多くの国営企業が株式会社に転換し、従業員集団なども株を獲得し、貧富の差が生じた。農業においてもコルホーズ、ソフホーズの多くはそのまま有限会社、合資会社などとして登録された。コルホーズとスフホーズの体質を残す農民経営は、１９９４年時点で総収穫量の5,7％にとどまっている。＜木村英亮『同上書』 p.239-240＞
自由で開かれた資本主義へと転換した旧ソ連の国々は、ＣＩＳの形骸化により、それぞれ経済や軍事面でも異なる道を歩もうとしている。
（３）初代カリモフ大統領の政策
振り返ると、綿花産業を中心とした軽工業が盛んだったウズベギスタンは、必要な物資を確保したことにより、インフレの影響は、ルーブル通貨圏内の国々の中で最小限にとどまった。生活に必要な農産物を政府は積極的に保護する。貿易抑制策により、必要な物資を確保したとはいえ、漸進主義の欠点が露呈した。
その弊害は、国と企業の経営体制の違いである。国営企業を民営化するにあたり、所有法を制定し、競争意識を働かせるため、価格の自有化を認めた。民営化することにより、採算を得る必要が生じる。社会主義体制が残る同国において、政府が貿易の規制をかけ、不当な価格設定を禁止した。金融部門も混乱をきたす。ウズベキスタンでは長期に渡って、公式レートと非公式レート（所謂闇レート）が存在していた。国営企業の中には、２つのレートの価格差により、利潤を得ていた。従って、輸出が滞ることにより、外貨を獲得できなかった。二重為替の実態により、観光客も混乱する。例えば2015年時点で、1ドル2500スムで表向きに取引されていた。ウズベギスタンに入国するに際して、書類に詳しく手持ちの通貨や金額について書く必要が生じる。入国後、買い物に際して、障害が立ちはだかる。表向きに1ドル2500スムでも、町では4500スムとみなされていた。従って物の値段が想定よりも高いのである。観光に際して、もう一つの弊害は、出国時の両替だった。入管の際1ドル2500、対して出国時4500スムで1ドルに交換されるのである。入国する前に物価を調べ、計画的にお金を使う必要が生じる。
2011年の段階において、2つのレートは統一され、IMF8条国にもなった。 IMF（国際通貨基金）協定第8条は、経常取引における支払に対する制限の回避、差別的通貨措置の回避､他国保有の自国通貨残高の交換性維持を規定している。協定に従った国をＩＭＦ8条国と認定される。日本は1964年にIMF8条国に移行した。
ウズベギスタンの通貨スムの不安定さから、闇レートは消え去っていない。
金融機関においても、国営が中心である。制度改革において、人材不足から、外国の力を借りる必要が生じる。日本からは、JICA（独立行政法人 国際協力支援機構）がその役目を果たす。
JICAのホームページにて、ウズベギスタンへの援助について、次のように書かれている。https:/
参考文献 中央アジア散歩 2022年夏学期 全学自由研究ゼミナール Just another 教養高度化機構チーム 形成部門より 2011年9月2日
軍事的には、1992年5月15日に、同国の首都タシケントで、発足手続きが行われたCSTO(集団安全保障条約機構)に加わりながら、1999年4月2日に、有効期限切れに伴い、脱退した。現在ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、アルメニアの6カ国から成る。
ウズベギスタンは、発足以来近隣の国々と領土問題を含め、紛争を抱えていない。カリモフ大統領の権力掌握により、国民は言論の自由を封じられ、正しい情報を得られていないのである。
ソ連共産党時代の影響を色濃く残し、宗教を弾圧した。1998年にイスラーム過激派テロを防ぐ口実で、モスクを国家の支配下に置く法律を国会で通した。1999年2月16日、首都タシケントの誤爆事件は、抵抗組織の大統領暗殺未遂事件と断定し、国家秘密警察に、捜査を命じた。当時ウズベギスタン・イスラーム運動が展開されたのである。組織の方は、2001年の9.11同時多発テロに関与したとみられるアルカイダとの関係を強めた。組織の方は、98年にアフガニスタンのカブールで結成される。原理主義者のタヒル・ユルダシェフと、旧ソ連空挺部隊のジュマ・ナマンガニの2名だった。中央アジアを中心に、独裁的な政府打倒を目指して、戦いを続けた。表向きにイスラムテロ組織との戦いを掲げるカリモフ政権は、同じ目的のアメリカのブッシュ政権と連携を図る。2001年秋以降、アルカイダを支援するアフガニスタンのタリバン政権と対峙するアメリカ軍に暫定的に基地を提供した。アメリカ軍800人が、2005年7月27日に引き上げるまで駐留を続けた。
反米の中国やロシアとも外交関係を維持し、2001年6月15日に設立された上海協力機構（SCO）に加わり、同国首都タシケントにテロ対策本部を構える。
写真＝上海協力機構に加盟する国々を紹介 掲載元 朝日新聞DEGITAL 2018年6月10日 https:/
テロとの戦いを全面に出してアメリカと協力しながら、エネルギー確保の面からロシア、成長著しい中国とも良好な関係を築く。
ウズベギスタン・イスラーム運動は、事実上2015年にとまった。原理主義者のユルダシェフは、2001年のアメリカ軍とアフガン北部同盟との戦いで、戦死した。一方のソ連時代の空挺部隊に属したナマンガニは、2009年に南ワズィーリスターン・カニゴラムで無人航空機の攻撃を受け死亡している。任命された後継者は、アメリカ軍が駐留するアフガンでひそかに活動を続けたものの、治安維持部隊に狙撃されて、死亡している。組織自体が縮小する中、消滅のきっかけは、イスラム勢力同士の内乱にある。アフガニスタンを支配したタリバーンは、初代指導者オマル師が、2013年4月23日に、病死したことを明らかにした。アメリカでは既に消息を絶っていたことから2001年に死亡したとみている。後継の座に就いた2代目の指導者マンスール師に、ウズベギスタン・イスラーム指導者ウスマン・ガーズィが内乱を起こし、鎮圧された。指導者の死亡により、活動の形跡がなくなったのである。ウズベギスタン・イスラーム組織が、大掛かりな戦争に参加したのは、タジキスタン内戦である（1992年5月5日 - 1997年6月27日）同国のラフモン大統領率いる旧ソヴィエト共産党の面々からなる政府と、イスラム民主主義を掲げる反政府勢力との戦いだった。政府軍にはＣＳＴＯの国々がバックにつく。対して反政府軍は、イスラム教徒の支援を受けた。94年から第3代目として、2023年現在でも大統領職に付くエモマリ・ラフモン氏と反乱軍を主導したタジキスタン野党連合の指導者サイイド・アブドゥッラー・ヌーリー氏の間で和解に至った。
写真＝サイイド・アブドゥッラー・ヌーリー（左）とラフモン大統領（右） https:/
ラフモン大統領から野党連合の指導者として、国家和平委員会の議長のポストを与えられた。2003年には治安の安定化により、委員会は解散している。サイイド・アブドゥッラー・ヌーリー氏（1947年3月15日生まれ）は、2006年8月9日、癌により、病死した。次回カリモフ政権での抑圧の歴史をみていく。
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