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2023年04月07日23:51

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マスターベーションする永遠の子供 『シン・仮面ライダー』

“自慰”とは、本人の嗜好や性癖へ強く結び付き、ひとりよがりな快楽を得る意味で他者をよせつけない行為だ。本作で監督は、仮面ライダーに子供時代から抱き続けた最高のマスターベーションを行う。

まず前提から書こう。

本作の1号ライダーは庵野秀明自身だ。監督は池松壮亮に自身を仮託する。監督のカメラのレンズに映る1号ライダーは池松壮亮ではない。自分自身だ。

人間関係が下手で、ひきこもりがち、原作や特撮とは似ても似つかない監督によった主人公像。自身の理想のミューズ――非人間的だけれど性的な――綾波レイそっくりな浜辺美波の切り取り方。観劇者が口々に言う低品質なCGは、予算の都合ではない。自主映画のような映像を偏愛する嗜好の漏出だ。*1

物語はどうか?

全体をつなぐのはライダーと怪人のバトルに次ぐバトル。だがビジョン・コンセプトが皆無の殺陣に深味はゼロ。 *2 実写でやるときつさしかない超記号的な感情形成でルリ子が猛に心を寄せる。「人類補完計画」のままに、チョウオーグがめざす、すべての意識融合を猛は否定する。

彼女が閉じた僕の心を認め、一緒にいたいといってくれたから。*3

繰り返すパターン。超個人的な物語のクリシェ。自身があきらめたのは「監督 = 1号ライダー」だと早い段階で気付けたからだ。

だが、結局ふつうの人々が一番作品の正鵠を射る。その評価ははっきりと興行に結び付く。*4 人々は意識せずに気付くのだ。“自慰”する永遠の子供の監督に。


※1 以前から指摘しているよう、監督は自主映画のような映像を非常に好む。わかりやすくいえば大学の映画サークルが撮影をしたような、ライティングや加工が皆無の映像だ(いや学生作品のコンペティションをみると、現在の学生映画の映像のほうがよっぽどましだ)。本作はすべて監督が単独で指揮している。このため、この素人のような画作りに拍車がかかる。低品質なCGも確信犯だ。わざとである。現在放送している日朝ライダーのCGをかんがえれば、こんなものになるはずがない。そうして監督の趣味に付き合い、こんなものをみせられる観客はたまったもんではない。

※2 なるほど。先日放送したNHK BSのドキュメンタリーによれば「本当の殺し合い」は予定調和であってはならない。ゆえ作り込んだ殺陣を監督は否定し、冒頭5分を公開した追告のように、ショッカー隊員は血を吹き出し死ぬ。では、なぜ、この映像以後、極端なバイオレンス描写や血は一切登場をしなくなるのか? まったく当初のコンセプトがぶれていて理解できない。ハチオーグたちや、2号ライダーとの殺陣はCG全開のアニメ的演出だし、相変異バッタオーグとの戦いは、画面が暗く、まったくなにをやっているかわからない。こんなもののために俳優の殺陣を全部ボツにしたのか?

※3 全体の話の流れは、21年のエヴァ最終章と一緒だ。自閉した自身を他者が認め、手を引き、関係をつむぐ。登場人物がことなるだけだ。なんなら「シン・ウルトラマン」も、この雛形がはめこめる。人類全体の意識融合はまさしくとどめ。本当に同じ話しか作れず引き出しがせまい。

※4 最良で興収25憶。おそらく結果は「以下」で終る。ここから上映費用で半分をとられ、税金・経費で半分とられれば、おそらく制作費用とトントンだ。それ以上の問題は映画の不発で、各社のコラボ商品や、コラボ企画がうまく展開できなかったことだ。ライセンサーは版権の貸し出しで権料を得る。だがWin Winの関係にならなくてはならない。 映画本体の売り上け低迷となれば、関連商品や関連企画のために、協賛会社が仕入れた資材や業務はうまくはけず、減収となってしまう。この部分をかんがえれば、映画は大失敗だ。こんなことでは次に組んでもらえない。
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