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2023年02月27日17:35

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ブルンジのバナナ運搬人

アフリカ大陸の中央にブルンジという小さな国がある。

YouTubeでブルンジのドキュメンタリー動画を観たのだが、これがとてもよかった。

内容は、高原の農場でバナナを買い、都市の市場に運ぶ運搬屋の話。

彼らは自動車を買うお金がないので中国製の安い自転車でバナナを運ぶ。

彼らはバナナの房を何段にも重ね、自転車が隠れるほどくくりつける。

1回の重量が250kgというからすごい。

ブルンジは高原の国。彼らはその下り坂を時速70kmもだして下っていく。

これだけバナナを乗せると、ブレーキをかければ即転倒。タイヤも破裂するらしい。

下りが終わるまで自転車は止められない。

彼らは、そうやってバナナを運んで日銭を稼いでいる。

大変危険な仕事だが、自転車1台あればでき、家族を養うことができる。


彼らがバナナを搬入するのは、商店もあればバナナ酒製造工場もある。

バナナ運搬人は、道沿いの商店にバナナを売り、バナナ酒製造工場にバナナを売り、最後に首都の市場にバナナを納める。

バナナの単価は農場から離れれば離れるほど高くなり、首都の市場が一番高い値段で買い取ってくれる。


バナナ酒製造工場は、森の中にあり、設備はとても原始的だ。

そこで従業員が座り、バナナ運搬人から買ったバナナの皮をみんなでむく。

むいたバナナを木桶に入れ、ビールのポップに相当する草を混ぜ、数人がかりで潰してかき混ぜる。

そうすると、バナナの汁が出てくるので、それを木桶の下にあるそそぎ口から、布でこしてポリタンクに集める。

その汁を壺に移し、酵母菌などを入れ、あばら屋に置いておく。

そうするとビールができる。

アルコール度数は測ったことがないので分からないそうだが、かなり強いらしい。


バナナ運搬人はバナナを市場に納めた後、自転車の不具合があれば修理工場に行く。

そこで自転車の不具合を直し、今度は、アブラヤシの実を自転車にくくりつけ、タンガニーカ湖沿いの平坦な道をタンザニア国境にある油製造工場に運ぶ。

こちらは平坦な道で先ほどより危険は少ないが、荷物は同じく重い。

下り坂が使えないので全て人力。かなりの苦行だ。


国境沿いの油製造工場も、森の中にある原始的な設備の工場だ。

そこでは従業員がアブラヤシの実を房から落とし、それを集めてドラム缶に投入し、油搾機を入れて油を搾る。

出てきた油を布でこしてポリタンクに集める。


運搬人の道すがら、いろいろな仕事の人たちが密接につながっており、経済がよく分かる。

そしてそこで働く人たちの状況も興味深い。

バナナ製造工場にしても、油製造工場にしても、土地は、ただの道沿いの森、設備はどこでも手に入る日常品。

それが多くの利益を生み出し、オーナーを裕福にする。

しかし、従業員は決められた少額の賃金しかもらえず、また賃金をもらっても、日々の生活のうさ晴らしのため、余ったお金は酒やタバコなどの嗜好品に費やしてしまう。


バナナ運搬人は、工場の従業員と同じ労働者だが、工場の従業員より稼げる。

バナナ運搬人は、自動車を手に入れれば、危険はより少なく、稼ぎはより多くなることを知っている。

工場の従業員の賃金は決まっているが、バナナ運搬人は運べば運ぶだけ稼げる。

そこで、勇気あるバナナ運搬人は、自分が運べる最大量のバナナを運ぼうとする。

しかし運ぶバナナの量を増やせば、それだけ危険も増す。


“できるだけ多く運ぶこと。だが事故に遭わないこと”

彼らの仕事はリスクとリターンが分かりやすい。


余裕の量を運んでいても、それで稼げる金額では自動車購入費が貯められない。

そこで彼らは命の危険をおかし、とんでもない姿になるまで自転車にバナナをくくりつける。

もしくは、バナナを運んだ後、アブラヤシの実を油製造工場に運ぶことでお金を稼ぐ。

バナナの運搬量を増やすのが嫌なら、その分、多くの労働をしなければお金は貯まらない。


ブルンジで走っている車の多くはトラックだ。

彼らは外国でボロボロになったトラックを中古で買って乗っているのだが、“中央梱包(株)”など、漢字の表示がそのまま残っている。


工場の従業員ではお金は貯まらない。

自営業者は、リスクを負うか、多く働かなければ、お金は貯まらない。

多くの人は、お金を貯める道を捨て、今の快楽に走る。

そこで余剰のお金を酒やタバコなどに使ってしまう。

しかし、一部の自営業者は、リスクを負う(バナナの大量運搬)か、仕事量を増やす(アブラヤシの運搬)かして、お金を貯める。


貯めたお金で中古車を買い、それで商売を始める。

ある程度お金が貯まったら、身近な物(少ない資本)でできる産業を起こし、人を雇って、工場のオーナーとなる。

オーナーになれば余裕が生まれるので、お金以外のことにも手を出し、人生を楽しむ。


ブルンジ人は信用がないので借金ができない。

だから無借金経営であり、経済の仕組みがすっきりしている。


これがナイジェリアなどの資源国だと、すでにある富(資源)をいかに奪うかの話になってしまい、犯罪ばかりになってしまう。

ブルンジには資源がない。しかし、良好な気候と肥沃な大地に恵まれているため、働くことでお金を得ようという意識が強い。

アフリカであってもアジア的なのだ。

ブルンジ経済は資本主義社会を理解するにはちょうどよい。


この動画 “World's Most Dangerous Roads | Burundi The Racing Cyclists”
https://www.youtube.com/watch?v=C_gQiOoUwfk&t=2s

英語の動画で字幕表示も英語字幕です。
ただ、英語が分からない人でもある程度は映像で分かる番組です。

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