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2023年02月19日18:11

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極上の『悲愴』をコバケンで聴いた

 2月18日(土)15時、サントリーホールで小林研一郎指揮する群馬交響楽団を聴いた。このオーケストラを聴くのはこれが初めて。結論から言うと非常に立派なオーケストラだった。

 サントリーホールで演奏するのは30年ぶりとかいうのは指揮者の小林研一郎の話。このオーケストラ誕生のいきさつは良く知られているが、プログラムには第585回定期演奏会とある。地方のオーケストラがここまで存続してこられたのは奇跡的なことだと思う。それは「おらがオーケストラを守り抜こう」という地元の強固な思いがあってのことだろう。

 演奏前に少なからず驚かされたのは、楽員が登場するやいなや巻き起こった会場を埋め尽くす聴衆の盛大な拍手だ。在京のオーケストラでも拍手は起こるが「まぁ、しっかり演奏してね」といった感じで儀礼的なもの。恐らく地元から駆け付けた群響ファンも多かったのだろう。

 指揮は小林研一郎(コバケン)、ソリストに招かれたのはヴァイオリンの神尾真由子。演奏曲目はすべてチャイコフスキーでヴァイオリン協奏曲と『悲愴』交響曲だ。

 神尾の演奏はとても良かった。オーケストラに導かれて、えぐるようにヴァイオリンが入るところから魅力たっぷり。彼女は腕が立つだけでなく音が大きい。汚い音では困るが美音で大きな音が出せるということはソリストとして欠かせない要素だ。コバケンに促されるように弾いた、アンコールのパガニーニの『24カプリース5番』での技巧の冴えは聴き応え十分。

 『悲愴』は凄かった!低音を強調し重心を低くした粘りのある弦楽器、第1楽章のベル・アップしたホルンの咆哮、終楽章での不気味さを示すゲシュトップ奏法など、ホルンの健闘ぶりが特に印象的だった。曲の終りをコントラバスがピチカートの強奏で始め、徐々に弱くしていくのも効果的だったと思う。

 「炎のコバケン」と呼ばれる、全身でオーケストラをドライヴするコバケンの指揮姿は健在だ。80歳をとうに越えているのにそのパワーには驚愕するしかない。

 最後にコバケン自身「静かな音楽で終るのに…」とか言いながら、コバケン・アンコールの定番とでもいうべき弦楽器ユニゾンの『ロンドン・デリーの歌』で終了。

 大好きなチャイコフスキーを極上の演奏で聴けた良き一日だった。

 
 

 
 

 

 

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