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2023年02月18日09:41

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イアン・ランキンのA Heart full of Headstonesを読んだ

イアン・ランキンの新作A Heart Full of Headstonesを読んだ。
ジョン・リーバスの久々の新作です。
非常に面白い。しかし出だしから驚くべき展開になります。
なんとジョン・リーバスが法廷で両脇を警官に挟まれ被告人席に座る場面から話が始まるのです。
法廷での検察側の証人ではなく、被告席に座る彼を見るとは驚きました。
永くエディンバラの刑事として、警察、裏の二つの世界に深くかかわり、どちらの世界からもその存在が頼りにされていた彼が被告席に座ることの重大さは計り知れないものがあります。ついに彼が一線を踏み越えたのかと思いました。
年老いたジョン・リーバスの姿をそこに見ることはフアンにも悲しいものがあります。
そこから少し前に話は戻りスタートします。

リーバスはマフイアのボス「モーリス・G・カファティ」から話がしたいと言われ、ビッグ・ガーの自宅を訪ねます。
そこで4年前に姿を消したジャック・オランが街に戻って、オランは亡くなった弟ポールの妻、子供の為に仕事を始めたらしいと言った。ガーフィは配下のオランを裏で経営していたポッターズ・バーから追い出していたのですが、もう彼にはもう遺恨はないと伝えてくれと言われます。
そしてジョンは当時のネットの記事を調べます。オランの妻に会い彼が帰った噂を確認しますが、彼女は知らないと言います。すでに彼女は失踪宣告を申請していたのです。
バーの従業員にも聞きますがオランは見たことがないと言います。
ジャックが本当に帰ったのかはリーバスにも分からないのです。ビッグ・ガーは街中に目と耳を持っていると豪語しながら、ジョンに依頼します。

そしてオランの仕事を引き継いでいたマッケンジーを訪ねます。そこでもオランの事は分かりません。見かけたことはないと断言します。マッケンジーは麻薬や、アパートの経営をしているのです。オランが戻ったのが事実なら、息子や妻にも連絡するはずだからです。
しかもオランを見かけた人物はあまりあてにならないものでした。もちろんリーバスは彼らしく丹念に調査を続けます。
その頃、ハガートという警察官が行方不明になります。家が荒らされ、何か盗まれたと思われます。それとも何かのメッセージなのか分かりません。 
ハガートはタインカッスル警察内で悪徳警官と疑われていた要注意人物だったのです。
ハガートは家庭内暴力で妻を殴り問題を抱えていたので調べられますが、彼はPTSDの影響だと言います。
それをジョンの元部下だったシボーンがハガートの尋問に当たります。彼は警察内部監察から疑いの目を向けられていたので、タイニーカッスル警察の悪徳警官グループの噂と合わせて両方を捜査指揮することになります。

そして行方不明だったハガートが、借りていた部屋で何者かに襲われ死亡しているのが発見されます。
ハガートはギャングのマッケンジーから部屋を借りていたことがわかります。そこで麻薬をうち、時々楽しんでいたのです。

シボーンや、スコッツ警察のマルコムは内部監察ではありませんが、調査に現れます。

マッケンジーは警察関係者と深くかかわっており、カフエやレストランで一緒にいる姿を目撃され、彼の妻も彼らと普通でない関係にあることも分かります。悪徳警官たちもオランの昔経営していたバーに何度も来ていたのです。マッケンジーの娘もハガートを知っており、オランの息子も彼らを知っているようなのです。
オランの息子トムもマッケンジーの下で電気工事の仕事をしていたのです。

リーバスはそれらを細かく関係を緻密に調べ上げます。これはリーバスを巻きこみ腐敗した警察官を狙い、マフイアの世界を変えようとする企みが存在していることに気が付きます。オランの失踪についてもリーバスは突きとめます。そこで全体像を把握したのです。
当然リーバスの正義感はそれを許さないのです。
そこでリーバスはその黒幕を許せないと考え、行動します。

シボーンやマルコスにはハガート殺しを追いながら、一方で警察内部の不正を探る困難のほか、ジョンの行動にも危うさも感じ、気がかりだったのです。
これ以上は書きませんが、楽しく読めます。
その結果リーバスは犯人を突きとめます。
エディンバラの警察、ギャングとの癒着や、オランの家族、マッケンジーの絡む闇が明らかになります。
それから最後にジョン・リーバスが警察に逮捕され、被告人になる場面に戻ります。
リーバスが誰を殺害したのか、本人は殺害した事実はないし、証拠もないと言います。
しかし突然ある男が証人として現れリーバスが殺人犯の証拠を持っていると言ったのです。

今回はここで終わります。次作がリーバスの最後の舞台になるものと思います。
リーバスが誰を殺したのかは読んでみてください。リーバスに濡れ衣を着せようとする人物は次作に持ち越されて終わるのです。
エディンバラの二つの世界を生きた彼を闇の世界か警察が彼を葬るのか続編を待ちたいと思います。
小説としても面白いですから、お読みください。ただ、長年のフアンとしてはジョン・リーバスが法廷の被告席に座るときがついに来たのかと思い、主役の座を降りる日が近いと感じました。

余談:
読んでいてリーバスが被告席に座る姿は想像していなくて、途中読むスピードが止まりました。次作で最終作になるでしょう。70歳を超えたリーバスはやはり難しいかも。
(読み始めたコナリーのDesert Starのハリー・ボッシュも73歳。数年前、mixieに英米でともに年齢を重ねる二人が何時消えるか話題になったと書いたなあ)

*エリザベス・テイラーそっくりの女性が出てきます。マッケンジーの妻エリザベスです。
ジョン・グリシャムのJudge‘sList(2021)(22.1・29の日記)にも全く同じような描写があったのを思い出した。イアンとジョンは同じ世代だった。

*クリフ・リチャードのCongratulationが出てきた(109頁)。

*HCのジャケットを外した表紙にリーバスの後ろ姿が刷り込まれていた。HC表紙に
リーバスの姿は初めてです。記憶にない。昨年のジャック・リーチャーNo Plan Bも初めて後ろ姿が表紙に刷り込まれていた。出版社は異なるのに主人公の後ろ姿が初めて刷り込まれたのは驚いた。?両者ともサイン入り初版は持っていますが。
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