mixiユーザー(id:14480841)

2023年01月03日14:30

348 view

アラン・ジョンソンのOne of Our Ministers is Missingを読んだ

アラン・ジョンソンのOne of Our Ministers is Missingを読んだ。
2021年The Late Train to Gypsy Hillでデビューしたアランの2作目です。
非常に面白く好評でした。
今回は前作で登場したルィーズ・マンガンMT(メトロポリタン警察)副総監が主役で登場しました。
デビュー作はヒチコック映画のような小説でしたが、今回は英国のミステリーらしい展開をします。文書は上手く、楽しく読めます。
アランは政治家であると同時に文筆家としても定評がありますから、お勧めです。

アイリッシュのブレィディは毎朝、カフエ「マーニー」へ現れます。そして店主とセルティックの話から、いつもの通りたわいない話で時間を過ごします。二人はお互いに私的なことには触れないが、何か秘密を持つ人間であると知っていたのです。ブレィディは元締めからヒットマンの仕事で依頼人に会う予定がありました。そんな時、マーニーの店が爆破される事件が発生します。
その頃ロンドンMT総監からルイーズはトルコの反体制側の作家が近くロンドンに来ることから、テロを警戒するよう命令を受けていたのでカフエに出動します。
爆破事件はトルコの不良組織が用心棒代を要求して起こしたものと分かりますが、テロと関係も疑われます。トルコ系のグループだから注目します。ブレィディが現場に居合わせたことも気になります。

そこへ英国政権の現閣僚の一人がギリシャで行方不明になったのです。
エドワード・ベリンガム大臣がクレタ島の別荘からホワイトマウンテンに一人でトレッキングに出かけ行方不明になったのです。
彼はこれまでから、何度も趣味のトレッキングを単独でよく出かけていたのです。その日は夜になっても下山せず、妻の待つ車に戻らなかった。

英国の大臣が行方不明になったのですから、国際的な外交問題になり、英国内ではトルコの作家がロンドン訪問と相まって表裏両方の世界で危機感が生まれます。

直ちにルイーズは大臣を救出する捜査にクレタ島に派遣されます。ギリシャ警察はクレタ島の地元警察が150人の警官、60人のボランティア、2頭の犬で大捜索が開始しました。

しかしどこにも大臣の姿はどこにもなかったのです。
地元の警察の警部ペトロス・ディアマンテポーロは大臣夫人が何か知っているとルイーズに告げたのです。大臣のスマホを山中で発見の報告をしたら、警察が言わないのに夫人が発見地域を知っていた。

その頃ロンドンでも大臣の失踪は大きなニュースになりました。クリスという新聞記者は、大臣の失踪は、事実ではなく若い未成年の女性との関係が原因で世間から行方不明になったと思わせる芝居だと記事にしたのです。当然、大きなスキャンダルになるでしょう。少し前にも閣僚がマイアミの海岸で行方不明のふりをして南米へ逃げた例があったのです。

地元警察はトルコ人グループのアジトを発見し踏み込みます。そこは密入国斡旋業者、麻薬密売人の隠れ家だったのです。
警察より早くその場所には正体不明のスナイパーがトルコ系の不良達を襲っていたことも分かります。

大臣夫婦の不在時に子守の女性が麻薬密売人の恋人を別荘に呼び入れていたことも警察は子守りの女性から聞き出します。その恋人はトルコ人の犯罪者だったのです。

大臣は不慮の事故で遭難したのか、無事に救出されるのか、何者かがこの時期に誘拐したのかとギリシャでも大騒ぎになります。

大臣と未成年少女との交際をかぎつけた記者は大臣に直接会いにクレタに出かけ、行方不明になります。そして密輸業者の隠れ家で拷問の上殺されてしまったのです。
新聞記者は大臣の顧問弁護士と会い、事件を公表しないように話し合ったことも分かります。
その上夫人にも愛人がいて、密会していることも明らかになります。大臣に劣らず、スキャンダルがあるのです。
ヒットマンは誰に雇われたのか誰を狙っているのかも分かりません。トルコの反体制派が事件のカギを握るのか、いろんなことがかみ合ってきます。
ここからは読んでお楽しみください。

大臣の行方不明をいろんな角度から取り上げています。
その展開は意外なもので、どこにその真実があるのか楽しみながら読みました。
ギリシャ警察内ではアテネの捜査主任とクレタ警察のトップとの捜査権の争いもあります。英国とギリシャの関係も面白く書いています。
ルイーズは地元の警察官の真面目なやり方に同調し、アテネ警察のトップと交渉してペトロスをパートナーに解決に臨みます。
やはりアランは政治家ですから、物語の広げ方をよく知っています。
小説の終わり方には驚きました。上手い。
いろんな事柄が最後にきれいに一つに纏まり予想をしない結末を楽しめました。

余談:なぜ、この最後の結末を予想しなかったのだろう。やはり政治家でした。



1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年01月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031