2022年のロス誕作品です。『聖闘士星矢』の二次創作で聖戦後復活設定、ロスサガ前提。
アイオロスとサガがいちゃいちゃしてるだけの話です。勤務時間中に何をしてるんでしょう、このバカップルは。締める上司(シオンとか女神)がいないのでやりたい放題です。
去年の作品はこちら。『教皇様だって苦労してるんです その2』
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16515746
『誕生日のご褒美』
11月30日は教皇である射手座のアイオロスの誕生日である。
聖域にとっては、この日は聖域全体を上げて教皇の誕生日を祝う祝祭日となっていた。
アイオロス本人としては「祝いの儀式とかいいから!ゆっくり休ませてくれ!そして恋人であるサガと二人きりでいちゃいちゃさせてくれ!」というのが本音なのだが、それを言うわけにもいかず、アイオロスは教皇の義務としてしぶしぶと様々な行事に臨むのであった。
そして今年も朝から、女神アテナへの感謝の祈りの儀式、聖域の住民たちの代表による祝辞、それに対するアイオロスの答礼のスピーチ、周辺住民や聖域の住民たちの代表との昼食会を兼ねた歓談、聖域の人々に酒や料理をふるまう立食パーティーでの挨拶と顔見せ、その合間に通常の教皇としての執務をこなす…と、アイオロスは忙しい一日を過ごした。
こうして昼食会と午後の執務を終えた教皇アイオロス様は、執務室に置かれた長椅子に寝そべって、仮眠を取っていた。
「アイオロス…?」
教皇の首席補佐官を務める双子座のサガが、アイオロスの様子を見に執務室に入って来た。そして長椅子で仮眠してる彼を見出したサガは、足音を忍ばせてそっとアイオロスのもとに近寄った。
「寝ているのか…。仕方ないな。今日は朝から忙しかった」
サガは静かに寝ているアイオロスの顔をのぞき込んだ。無防備に寝ている恋人の寝顔を見ていると、ふといたずら心がサガの心に浮かんだ。
『キス…してみようかな?』
これだけ熟睡していれば、サガがこっそりキスをしてもアイオロスは気付かないのでは?
そう思いついてしまい、サガはどぎまぎしながらアイオロスの寝顔を見つめた。
『そう…、こっそり…。ちょっとだけ、ちょっとだけなら…』
サガは静かにそーっと、アイオロスの唇に自分の唇を寄せた。
その時。
アイオロスの目がぱっちりと開いた。
「………」
「………」
アイオロスと、彼の顔に自分の顔を寄せていたサガの視線がばっちりと合う。
「あ、いや、これは…その…」
たちまち頬に血を上らせて真っ赤になったサガが言い訳を始める。
「その…お前が良く寝ていたから…。風邪でも引かないかなと思って…」
「サガ」
わたわたと大慌てで弁明しているサガに対し、アイオロスは相手の首筋に腕を回すと、そのまま横たわる自分の上に引き寄せた。
「うわっ」
勢いよく、サガがアイオロスの上に乗りあげる形になる。
「ア、アイオロス、その…」
「サガ」
アイオロスはにんまりと笑いながら、自分の上で慌てるサガに話しかけた。
「サガ、今、おれにキスをしてくれようとしたでしょ?」
「ち、違う!」
からかうように尋ねたアイオロスに、赤面したまま大慌てでサガが否定する。
「嘘。絶対に、キスしようとしたよね?」
「してない!」
「した!」
「してない!」
「した!」
アイオロスとサガの間で押し問答がしばらく続いた。あくまで否定するサガに「むうっ」と不機嫌そうに眉根を寄せたアイオロスだったが、やがて目を閉じると唇をにゅ〜んとサガに突き出してみせた。
「サガ、キスして」
「え?」
「キス。サガはおれにキスもしてくれないの?」
「キ、キスって、急に言われても…」
「ほら〜、早く〜」
目を閉じて唇を突き出したまま、アイオロスが接吻をねだる。
「ア、アイオロス」
「ん〜」
唇を突き出して口づけを要求するアイオロスにとうとう根負けし、サガは素早く、「ちゅっ」とアイオロスの唇に軽い口づけした。
「え〜。これだけ〜?もっとしてよ」
「つけ上がるな」
不服そうなアイオロスの鼻をサガが指で軽くはじいて戒める。
「ふふふ…」
笑ったアイオロスが腕に力を込め、サガの体を抱き寄せた。そして今度は自分からサガに対し、軽いキスをくり返した。
「アイオロス、そろそろ…」
「ねぇ、サガ、おれ、今日は頑張ったよね」
「あ、ああ。そうだな」
「そうだよ。おれは今日は頑張った。だからご褒美、ちょーだい」
「ご褒美って…」
アイオロスの要求にサガが戸惑う。
「いいでしょ?ご褒美。もっとキスしてよ」
「アイオロス…」
子供のようにわがままを言い続けるアイオロスにサガは折れた。苦笑して、自分からもアイオロスにキスを返していく。
「…サガ、この後の予定は何だったっけ?」
アイオロスが今日の予定をサガに尋ねる。教皇の首席補佐官を務めるサガは、アイオロス本人より彼の予定をよく把握していた。というか、アイオロスは仕事に興味が無さすぎて、自分の予定を把握する気が全然ないのだった。困った上司である。
「後は黄金聖闘士との晩餐会だけだ」
サガがそう教えると、アイオロスは瞳をキラキラと輝かせ始めた。
「よーし!じゃあ、それまでは時間があるよね」
ばっとアイオロスが上半身を起こす。
「よし!サガ、寝室に行こう!」
「し、寝室って…」
「ご褒美、ご褒美。ちょーだい、ちょーだい」
尻尾を振る犬のような調子でアイオロスがサガにねだる。
「まだ勤務時間中だぞ…」
「ね、ちょっとだけ。ちょっとだけだから」
呆れるサガに対し、フリフリと見えない尻尾を振ってアイオロス犬のおねだりは続いた。
「仕方ないな…」
結局、アイオロスの圧にサガは負けた。サガの承諾を得たアイオロスは、「よっしゃー!」と勢いよく立ち上がってサガを横抱きにした。
「少しだけだぞ」
「うん、少しだけね」
念を押すサガににこにこと返し、アイオロスは執務室から一続きになっている教皇の寝室にと愛しい人を連れ込んだのだった。
そして黄金聖闘士たちとの晩餐会の席。妙にてかてかつやつやとしてご機嫌なアイオロスと、少しやつれて見えるようなサガの様子に、何があったかを黄金聖闘士たちはだいたい察したのであった。
<FIN>
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