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2022年10月13日22:08

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ノートの写し371

〇しかし、私がシンクロニシティと言う現象と冷静に接することに慣れているからというわけではない。反対に、自分の思索にすっかりのめりこんでいた私には、この出来事が全くの意味も与えなかったからである。私はほとんど無意識に甲虫を喚起用の小窓から外へ逃がしてやったので、甲虫は出口を探さなくて済んだ。
 そして、しばらくしてから、「ああ、私は何という愚か者だったのだろう。と思い、全身に旋律が走ったのだった。
 何度魂の意図が私にその到来を告げてくれたことか。そして、驚きのあまり、いったい何度私が目を見開いたことか。サインを示そうとして全力で私を揺さぶっているときに、私は覚醒状態で深い眠りを貪っていたのだから、私が迷信深い人間だったら、それを天からの兆しとして考えただろうに、こんな風にいつも人々は目を開けたまま眠っており、魂の意図がはっきりと表れていることには気づかないものなのである。
 似たような例は枚挙にいとまがない。事象選択の観点からは、この場合の状況は十分理解可能である。それぞれの事例で視覚化が魂の意図の突風を引き起こすという事である。
 だが、ユングは、いったい何が偶然の一致の原因となったのかについて、最終的な結論を急いで出そうとはしていない。思考そのものが出来事を形作るのか、それとも出来事を無意識に予感した結果として思考が生じるのか、どちらなのだろうか。 
 ユングは一方では「思考は一連の偶然の出来事の基を創り出した」と言い、他方では、「一連の定められた出来事が迫りくる予感が生じる、との印象から逃れることは時として難しい」とも言っている。
 「強磁性・非因果的連関の原理」という題名の論文の中で、ユングはシンクロニシティを「何らかの心的状態と、その時点での主観的状況を伴う本質的ににパラレルな外部世界の一つあるいはいくつかの出来事の同時到来」と定義づけている。
 ユングは長い間この論文の発表をする決心がつかなかった。なぜならシンクロニシティという現象は、従来の科学的思考の枠に収まるものではなかったからである。
 ユングは不明瞭ではあるが、伝統的な科学の尺度からすれば大変に勇敢な結論を下した。「強磁性と言う現象は、互いに因果関係のない種類の違うプロセス同士が同時期に意味上の等価地を持っていれる可能性を証明している。言い換えると、観察者によって知覚された内容は同時に何らかの外部の出来事として認識されるが、因果関係は何もない、という事を証明している。このことから、プシケ(霊魂の意味)は空間の外にあるか、あるいは空間が生まれながらにプシケと結びついている、という事が導かれる」
 ここでは因果律への抵触が何もない事は明らかである。原因は常に存在するものの、ただ思考と取り巻く世界との相互作用のメカニズムが不明瞭で、目下のところは理解できない形で表れているだけなのである。
 同時期に起こった偶然の一致における原因とはいったい何だろうか。出来事は思考によって形作られるのか、あるいは、出来事への予感として思考が引き起こされるのか。
 事象選択の観点からいえば、どちらも生じる。魂は情報フィールドにあるデータへアクセスし、その後、そのデータを理性が解釈することが可能となる。理性の方はというと、思考を形成し、魂と理性が一致した際に、その思考は物質的に現実化され得る。このような考え方は事象選択モデルの基本となってもいる。
 しかし、もう一度強調しておく事にしよう。事象モデルは世界の正確な説明を主張するものではなく、法則を理解するための出発点か土台にすぎないのである。私たちはこの世界についてまだほんの少ししか知らない。しかし、だからと言って、そのことが事象選択の法則を利用する際の妨げにはならない。とにかく、事象選択の法則が働いていることについては、あなた自身で確かめることができるのである。 
 思考エネルギーが周囲の世界の影響に関係するすべての現象は、量子物理学分野の研究で有名なジョン・ベルの定理によって裏付けることができる。この定理は次のようなものである。
 「孤立したシステムは存在しない。宇宙の各粒子はあらゆるそのほかの粒子と「瞬間的な」情報交換を行っている。全システムは、たとえもしその一部が途方もない距離で離れていても、一つのシステムとして機能する」
 この定理は理論的に証明されており、すでに検証もなされている。実をいうと、「瞬間的な情報交換」は、エネルギーが光よりも早く伝わることはないと主張する特殊相対性理論と矛盾することになる。それにも関わらす、この定理は存在する意味を失わない=これは物理学では有名な話で、量子論は相対性理論と矛盾するとしてアインシュタインが疑問を投げかけたが、のちに量子論は正しいとされたもの、非常に遠くに離れたにこの電子が絡み合って現象しているモデルで、一方の電子が右回りと観察された途端にもう一方の電子は左になるが、それは瞬時に一方の電子からもう一方の電子に情報が伝達されたことになり、高速を超える伝達はあり得ないとする相対性理論と矛盾するとアインシュタインは考えた。しかし、後になってこのような現象は実際にあることが検証された。
 魂の意図は相対性理論には支配されない事になりそうである。そもそも量子物理学は証明不能な公理に立脚している。このことは、量子物理学も一定のモデルであることを意味する。しかも、そこには理解できない矛盾は一つではなく、数多くあるのである。このことは、モデルに大きな意味を与えてはならないことを再確認するものである。
 また、ユングの考え方は、近代物理学の創始者であるウォルフガング・パウリやアルベルト・アインシュタインによって指示されたことを、ここで指摘しておなければならない。とはいえ、情報伝達プロセスはエネルギーと全く関係がないことは、おそらくその通りであろう。だからこそ瞬間的な情報伝達が可能となる。

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