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2022年08月06日09:27

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実はアダムズのためのコンサートだった、と言ってもいいかも・・・センチュリー定期

それくらい、アダムズが突出した聴きもの。

大阪 ザ・シンフォニーホール
センチュリー第266回定期演奏会
飯森 範親指揮 日本センチュリー交響楽団
(コンサートマスター 荒井英治)
サクソフォン:上野 耕平
ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
アダムズ:サクソフォン協奏曲
ヒンデミット:交響曲「画家マティス」

とんでもない重量級のプログラム。大体、シンフォニック・メタモルフォーゼンとマティスを同じ日のプログラムに載せるなんて、今まで見たことがない。しかも、中間におかれたアダムズがとんでもない難曲であることを考えれば、センチュリーにかかる負荷のものすごさに思わず同情したくもなります。

そのせいかどうなのかわからないけれど、シンフォニック・メタモルフォーゼンは、やや乾いたがさがさした肌触り。演奏自体、若干ささくれ立った印象を受けました。ただ、それが幸いしたか、二楽章など一種狂気じみた乱痴気騒ぎまで突き抜けていて、まあそれはそれで唖然としましたが。

それよりもなによりも、アダムズが出色。このめちゃくちゃむつかしい曲、メタモルフォーゼンよりも3倍くらいかっちり仕上げてきてました。この曲、あらかじめSpotifyで予習すると、全然おもしろくないもので、全然期待していなかったのだが、あにはからんや。サキソフォンの倍音が朗々と空間に響き渡るさま、そしてライブでなければ感じられないグルーブ感があってこその曲、ということを思い知る。やっぱり、「ジャズ」のエレメントをその中心に据えた曲は、それが厳密な意味での「ジャズ」や「即興」ではなかったとしても、特有の「ノリ」や「グルーブ感」が音楽の生命なのだなあ、と感じ入りました。補助マイクが乱立していて、おそらくレコーディングしていましたね。ライブ録音だとしてもCDになると、この魅力が伝わるかどうかは、うーん、ですが。

「マティス」はメタモルフォーゼンとは対照的に、端正にまとめた演奏。これまで、この曲は3回ライブで聴いていて、

2008/4/14  小泉和裕 センチュリー
2011/3/25   広上淳一 京響
2014/6/27  下野竜也 大阪フィル

前のセンチュリーの演奏は大阪府補助打ち切り決定直後、京響は震災直後、ということで、いわば異様な雰囲気のなかでのコンサート。なので、僕の中でかなりバイアスがかかった記憶になっていることは否めない。ただその両者とも、なんとも強直・マッチョ、かつ広上さんに至ってはメタリックとも言っていい輝きだったことに比べれば、びっくりするぐらいに「中世的な」「美しい響き」。なるほど、ヒンデミットという人が実に和声や対位法に長けた作曲巧者であったことに改めて感じ入る。指揮者次第で、この曲も様々な表情をみせるんですねえ。

でも、満員になってほしかったなあ、と思うのは僕だけだろうか?前回が満員御礼であったことが、やっぱりソリスト目当てだったことがわかってしまいます(それでも、昨年度の定期より良い入りではありましたが)。大阪の聴衆のみなさん、こういう機会、大事にしてほしいと思うけどなあ。


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