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2022年06月02日19:40

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【求め合う二人】映画『流浪の月』

 
5月18日(水)、大和郡山で鑑賞。観客30人以上。まあまあの人気。


公式 https://gaga.ne.jp/rurounotsuki/


予告動画の概要欄からコピペ

本屋大賞受賞の傑作ベストセラー小説 待望の映画化!
ダブル主演:広瀬すず・松坂桃李×監督:李相日

<ストーリー>
雨の夕方の公園で、びしょ濡れの10歳の家内更紗に傘をさしかけてくれたのは19歳の大学生・佐伯文。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2か月を過ごすことになる。が、ほどなく文は更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。それから15年後。“傷物にされた被害女児”とその“加害者”という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。しかし、更紗のそばには婚約者の亮がいた。一方、文のかたわらにもひとりの女性・谷が寄り添っていて…




以前、『情熱大陸』が2週連続で広瀬すずに密着した時、この作品を撮っていた。
広瀬が湖に沈むシーンで、本人が納得いかず、監督に撮り直しを申し出ていた。
取調室のシーンでも、今までに見たことのない「内に抱え込んだ」彼女がいた。
原作未読で話は分からなかったが、メイキングはとても面白かった。


本編150分は、最近観た映画(3時間超が多かった)の中で決して長い方ではない。
青味を帯びた映像がとても詩的で美しく、雰囲気をじっくり味わうことを楽しんだ。

予告編の情報から「被虐待児?を2ヶ月匿った青年が女児誘拐事件の犯人とされた」
「その15年後の物語」と分かっていたので落ち着いて観たが、ちょっと整理が悪い。

それは文(ふみ、演・松坂桃李)の秘密をラストまで隠すためだと見当はついたが、
もったいぶって引っ張りすぎじゃないの?とは感じた。


ぶっちゃけると文はDSD(性分化疾患、インターセックス)だった。
彼ら2人を理解せず追い込む世間から必死で逃れてたどり着いた珈琲店の窓際に立ち
「更紗にだけは本当の僕を知って欲しい」というなり、月明かりの中で全裸になって
折れそうに細い体の中心に、まったく赤子のそれが付いているのを遠目に見せる。

それを見た瞬間、男子2人を育てた経験のある私は、思わずツッコンでしまった。

「いや、これはないわ! 医学的にありえんわ! 何もかもが台無しやん!」

どれほど頑張って痩せても、松坂は明らかに男の骨格だ。十分な男性ホルモンの証左。
なのに「赤子のそれ」って…。
せっかくシリアスかつ丁寧に積み上げてきた芝居が、とんだお笑いになってしまう。


突っ込みどころが多すぎる物語ではあったが、ここまで忍耐強く着いてきたのに…。

それはひとえに、若い役者たちの全身全霊をかけた頑張りに、ほだされたから。


広瀬すずも松坂桃李も、「秘密を隠し」「肝心な時に肝心なことを言えない」という
難役を一生懸命に演じ、浮世離れしたキャラに命を吹き込むことに成功していた。

横浜流星も、好感度俳優の座をかなぐり捨て、狂気に満ちた粘着DV男を演じ切った。

冒頭のセックスシーンを見ただけで、男の身勝手さ・強引さ・一方的な愛着と、
(指をべろりと舐める演出には思わず息を呑んだ。ここまでやらせるか!と)
一見従順な女の醒めっぷり(まるで離人症のよう)の対比に息を飲んだ。
二人とも、よくここまで頑張ったなと感心した。監督への信頼が厚いのだろう。


子役も良かった。白鳥玉季は『極主夫道』でもクールな娘役を好演していた。

手足の長い白鳥や松坂が「膝を抱えて座る」姿は、内面を人に見せない繊細な人物を
端的に表しているなと感じた。



以下、身も蓋もないツッコミを入れておく。

そもそも10歳の更紗が警察に保護された時、
「中二の従兄弟から性的虐待を受けていたので家出した。文は何もしていない」と
はっきり証言すれば、ややこしい禍根を残さなかったのだ。

どっちみち、更紗は「継続的に性的虐待を受けた女児」と世間に思われている。

ならば、その加害者は、親切にしてくれた文ではなく、真犯人であるべき。
そのせいで、おばさんの家が揉めようが知ったこっちゃない。
真実を明らかにしなければ家に戻され、また従兄弟から虐待を受ける羽目になる。

10歳にもなれば、これくらいの考量はできそうなものだ。
「文は何も悪いことをしていない」と言えない、というのが理解できない。


警察も警察だ。 見込み捜査と犯人捏造にも程がある。
未成年である被疑者の親には、必ず事情聴取するはずなのに。
文の母親が「あの子はDSDなので、性的虐待は不能です」と言えば解決。

「少年院に入った」設定も疑問。入院時に、それは厳しい身体検査があるのに。
(以前に『ねほりんぱほりん』で、女子刑務所経験者たちが、
 丸裸にされて性器の中までチェックされると語っていた。)
文のDSDが当局にバレないはずがない。

文にしても、
「DSDだとバレるくらいなら、チャイルド・マレスターと思われる方がマシ」って
いったいどういう価値判断だ??



ともあれ、物語の結末は「ハッピーエンド」と私は思った。

2人の人間が心から信頼しあって一緒にいる関係に、セックスは必ずしも要らない。



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原作未読、劇場で何度も予告編を見て興味を持ち、鑑賞。
広瀬すずと横浜流星は本作でひとまわり大きな役者に成長した。

単に寡黙で内向的、というのとは違う。
「肝心な時に肝心なことを言えない」という未熟な性質をもった2人の物語。
この厄介な性質のために、話がどんどん拗れ、2人は追い詰められていく。

と同時に、同じ性質を持つ者同士は磁石のように惹かれ合い、世間と隔絶した小さなコクーンを作って、密やかに穏やかな結末に至る。自然な成行だ。

幸せは、人それぞれ。




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