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2022年03月21日23:38

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心の崩壊、そして殺人へ

写真は順に
*オフィスコットーネプロデュース 大竹野正典没後10年記念公演 第5弾 『サヨナフ -ピストル連続射殺魔ノリオの青春 』チラシ
*焼き牡蠣

下北沢シアター711にて観劇。
作・大竹野正典 / 演出・松本祐子(文学座)

本編の後に特別編2本(母・姉、各10分の一人芝居)バージョンの欲張りコースを予約したせいか、劇場は超満員の盛況ぶり。
円熟の役者陣による厚い肉付けをされたキャラクターたちの大人の芝居に唸る充実の時間だった。

タイトルの「サヨナフ」はカタカナしか書けなかった永山の母親が書いた文字、
「サヨナラ」と書きたかったが、「ラ」の字の横棒がない。

1969年連続ピストル射殺事件で死刑宣告を受けた永山則夫の死刑執行前夜を描いた作品。
事件当時、19歳。
未成年だったが罪状(殺人罪・強盗殺人罪および同未遂罪・窃盗罪・銃刀法違反・火薬類取締法違反)から少年保護法は適用されず裁かれる。
極貧、育児放棄、DVにまみれた生い立ちが、彼を殺人者に仕立ててしまった。
死刑前夜、妄想で永山を次々に訪れる人間たちによって永山の人生が詳らかになるのだが、私は感情に駆られる事なく当時の時代背景や心の歪みを生んだ事情を考えさせられてしまった。
諸悪の発端は戦争から復員した永山の父親の変貌ぶりにある…そこで思いはウクライナにも飛ぶ。
永山が端から悪事を目論んだのではなく、転職を繰り返したのは、その都度まじめに生きようとした証だろう。
けれど未成年であることが彼の出所を暴き、その度に決意を挫いたことも確かだ。

今、頭は永山のことでいっぱいだ。
永山が獄中で書いた小説「木橋(きはし)」は1983年に第19回新日本文学賞を受賞、秋山駿・加賀乙彦の2人が推薦人となり、日本文藝家協会への入会申請を提出したが却下されたことで、入会拒否に反発した中上健次・筒井康隆・柄谷行人・井口時男が相次いで日本文藝家協会からの退会届を提出し脱会した(以上ネット調べ)。

驚いた。
前出の文藝家協会の面々はほとんど、かつて私がバイトしていた西新宿のバーの常連さんだった。
退会事件のずっと後だが、私は何も知らずにバイトしていたのか。
(中上健次氏のみ、バイト当時、既に病没されていた)

演出の松本祐子さんから2冊の書籍をご紹介いただいた。
堀川恵子著『永山則夫ー封印された鑑定記録』『死刑の基準ー永山裁判が遺したもの』
明日、紀伊國屋書店の本店近くに行くので探してみようかと思う。
講談社から文庫化されているようだ。

焼き牡蠣、季節的にそろそろ最後かなぁ。
オリーブオイルでニンニク、ベーコンと共にゆっくり炒めて、味付けは味醂と醤油。
トッピングに刻み海苔。
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