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2022年03月19日03:19

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「日本のロック、フォークの名盤10選」第5回 あがた森魚「噫無情」

あがた森魚 「噫無情(レ・ミゼラブル)」
(1974年、ベルウッド)

これは、ちょっと変わったアルバムだ。

戦前、戦中の日本をテーマにした作品。
「蒲田行進曲」(1929年)や「上海リル」(1934年)といった
戦前の流行歌のカバ−を軸として、
あがた森魚のオリジナルも、昔の流行歌風と
昭和レトロ趣味を貫いているのだ。

あがた森魚や、緑魔子(少女の声)の語りも
独特の雰囲気を醸し出す。

最后のダンスステップ(昭和柔侠伝)の歌詞は

「あなたなんだかおセンチね
もうすぐ外地へ出征しね・・・
踊ろうか 踊りましょう
せめて今宵限りでも」

というものだ。

そして、次の「テレビヂョン」の間奏に
昔のラジオ放送のニュースの断片や
「君が代」の部分が挿入されるのだ。

この効果は絶大だ。

日本人なら、大きな感慨なしに、この部分を
聴くことはできないだろう。

あがた森魚は、ファッションのように、
音楽のスタイルを変えるので有名な人だ。
昭和歌謡、テクノポップ、そしてタンゴ。
ヴァージンVSを結成して、「うる星やつら」の主題歌を
やったときは、あまりの奇抜な格好に、
あがた森魚と気づかなかった人が多かったそうだ。

ロックの世界で、ファッションのように
音楽のスタイルを変える人といえば、
なんといってもデヴィッド・ボウイである。
ロックンロールの「ジギー・スターダスト」、
ソウル、R&Bの「ヤング・アメリカン」
プログレッシヴな「ロウ」、ニューウェイヴの
「スケアリーモンスターズ」。

それで、あがた森魚とデヴィッド・ボウイの生年月日を
調べてみると
なんと、たった1歳しか違わないのだ。

あがた森魚 1948年生まれ
デヴィッド・ボウイ 1947年生まれ

戦後すぐに生まれ、それからの
激変する音楽シーンを反映しているということだろうか。
それができる器用さが、この二人に
あるということだろう。

デヴィッド・ボウイは2016年に亡くなったが
あがた森魚はいまでも現役で
2021年12月には新作をリリースした。
今年はデビュー50周年だそうだ。

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