mixiユーザー(id:3045000)

2022年03月12日02:18

187 view

「日本のロック、フォークの名盤10選」第4回  中山ラビ「ラビひらひら」

日本のロック、フォークをいろいろ聴いてきて
いつも思うのは、
日本の音楽業界や、評論家から
「いい音楽を残したい、後世に伝えたい」という
思いがまったく感じられないことである。
「日本のロック 〇〇選」などを見ても
いわゆる、流行りものばかり。
そういうものは、時間の経過というふるいにかけて
「〇〇選」から外すべきだと思うのだが。

中山ラビのことはまったく知らなかった。
5年ほど前に、ビートルズやストーンズの
コレクターとして有名な、
中野D児氏のブログを見て興味を持ったのだ。
で、デビューアルバムの「私ってこんな」を聴いて
そのすばらしい才能に心底驚いた。
ボブ・ディラン直系の正統派フォークロックの
「きっとそうなるわ」。
岡林信康「私たちの望むものは」へのアンサーソング
「私が望むのは」。
ロックンロールの「エントツとけむり」。
どの曲もすばらしく、まさに
「行くとして可ならざるは無し」という感じなのだ。
これがデビューアルバムなのか?
そして何より、こんな名盤がなぜ
忘れられてしまったのか?

中山ラビ「ラビひらひら」(1974年、ポリドール)

中山ラビのセカンドアルバム。

デビュー盤より、ぐっと成熟度を増し、
芸術的な味わいさえ感じさせる、まちがいなく
中山ラビの最高傑作だろう。

1曲目の「川にそって」。
寂しさを漂わせつつ、
優しさ、暖かさを感じさせる歌声。
シンプルなアレンジもいい。

そして、極めつけの名曲
「人は少しずつ変わる」「わかれ」の
心の内面を見つめるような美しさ。
孤独、諦念、そして慰め。

ロックは「たいへんだぁ」「夢のドライブ」の2曲。
「たいへんだぁ」は、和楽器のリズムに、
ファンキーなエレキギターが絡む
「和楽器ファンクロック」というべきユニークなナンバー。

「夢のドライブ」は、ロックバンドの演奏をバックに
詩の朗読をするような趣き。
2曲とも、したたかなアイディアが見事だ。

最後の曲「祈り」まで、全11曲。
孤独の中の優しさ、暖かさに満ちたすばらしい作品だ。

西成区あいりん地区に「難波屋」という
立ち飲み屋があった。
いかにもあいりん地区らしい、古汚い立ち飲み屋だが、
その奥に、ちゃんとしたライヴスペースがあるという、
実に奇妙な店だった。
その難波屋で、2018年に、彼女のライヴがあったのだ。
そのことを後で知って、非常に落胆した。
あいりん地区の酒場でのライヴなんて、
ネットに出ることもないし、知る由もなかった。
その3年後に中山ラビは亡くなった。
彼女のライヴを見る機会は永遠に失われたのだ。

3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する