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2022年03月06日01:54

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「日本のロック、フォークの名盤10選」第3回 浅川マキ「Maki Live」

日本のロックや歌謡曲がつまらない理由のひとつに
「売れないとやっていけない」という現実がある。
URCのように、売れなくてもいいから
自分のやりたい音楽をやるというミュージシャンが
集まるレーベルはインディーズにはあるが、
メジャーレーベルではそうはいかない。
皆、セールスで苦しみ、行き詰まるのだ。

ところが、メジャーレーベルのアーティストなのに
セールスに過度にとらわれず、自分のやりたい音楽を
やりながら
10年、20年と長く活動を続ける人がいる。
浅川マキは、まさにそんなアーティストだ。
初期のブルース、中期のジャズ、そして
後期の、語りをメインにした独特のスタイル。
そして、一貫したモノクロのジャケット。

浅川マキは、生前、自身のLPのCD化を拒んでいた。
デジタル録音の音質に馴染めなかったようで
1994年のアルバム「闇のなかに置き去りにして」を最後に
「音質が自身の作品に合わない」との理由から
アルバム制作すらやめてしまった。
セールスを無視したこだわりがすごい人だ。

浅川マキの死後、彼女のアルバムがまとめてCD化された。
そのなかの1枚。

浅川マキ「MAKI LIVE」(1972年 東芝音工)

紀伊国屋ホールでのライヴ。

アコースティックギター2本による美しい
「別れ」で始まり、「赤い橋」「にぎわい」と続く。
「にぎわい」は浅川マキとかまやつひろしの共作だが
ライヴ盤でしか聴けないレア曲だ。

「朝日樓」(朝日のあたる家)は
救いのないブルースだが、
浅川のヴォーカルには慰めを感じる。
ここでもアコギ2本が巧い。

「オールドレインコート」と「ガソリンアレイ」は
ロッド・スチュワートのカバーだが、
原曲とまったく違った味わいを創出していて見事。
これこそカバーの醍醐味というべきだろう。
特に「オールドレインコート」は楽しい音楽に仕上がっていて
ライヴの観客が羨ましくなるほどだ。

アコースティックギターをはじめ、バンド演奏は
驚くほど巧いが、それが観客と一体となった
親密な音楽になっているところが
このアルバムの素晴らしいところだと思う。
浅川マキ入門の1枚としてもおすすめである。
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