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2022年02月19日01:10

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「日本のロック、フォークの名盤10選」第1回  岡林信康「わたしを断罪せよ」

日本のポピュラー音楽の中で、よくわからないのが
70年代半ばの、フォークソングの凋落である。
単にニューミュージックや、フォークロックに取って代わられた
だけでなく、急速に忘れられていったような感じさえするのだ。
ファンも業界もこのジャンルを見捨てたということなのだろうか?
あまりにも冷淡過ぎる。

自分が洋楽ロックに夢中になっていた80年代の中頃、
日本のフォーク歌手やグループ、例えば、
高田渡、五つの赤い風船、中山ラビといったところは
全く知らなかった。
五つの赤い風船のような、1970頃の関西フォークなど
ブームがあったことすら知らなかった。

したがって、自分が邦楽を聴くようになった2000年頃、
これらの音楽を見つけるのは容易ではなかった。

しかし、この時代の日本のフォークを聴いて、
「邦楽の中で、やっと良い音楽を見つけた」と
思った。
この国の音楽ファンや業界は、流行ばかり追い求め
マイナーなミュージシャンには本当に冷淡だ。
だが、本当に良い音楽は、マイナーレーベルや
インディーズシーンでしか生まれないのではないか。
金儲け至上主義の日本で、いままでどんな音楽が流行したか
それはいうまでもないだろう。

「日本のロック、フォークの名盤10選」,記念すべき第1弾。

岡林信康 「わたしを断罪せよ」 (1969年、URCレコード)

URCの正式名称は「アングラレコードクラブ」。
日本のインディーズレーベルの第1弾と言われている。

岡林信康は、「フォークの神様」と言われた人だ。
なぜ「フォークの神様」といわれたか、それは
このアルバムを聴けばわかるのではないだろうか。

全10曲。ギター弾き語り、ギター&ベース、アカペラ、
そしてバンド編成。

無骨だが、優しさに満ちた歌声は
孤独な音楽青年そのものといった感じだ。

「くよくよするのは もうやめさ
 今日はきのうを越えている

 なんとでも 言うがいいさ
 良い子でいたい お利口さん

 あんたにゃわかるまい 今日を乗り越えて
 明日に生きることなんか」

(「今日をこえて」)

歌声もメロディも歌詞も、心がこもっていて
本当にいい歌だ。

「それで自由になったのかい」は、
社会批判のフォーク・ロック。
1969年の日本のロックとしては
最良のものではないだろうか。

他にも、日雇い労働者の歌「山谷ブルース」、
部落差別によって引き裂かれた恋を歌った
「手紙」など、いい歌ばかりだ。

ラヴソングは1曲だけ。それも目立たない
控えめなもの。

最後の曲「友よ」の前に、岡林自身のよる
短いスピーチが録音されている。

「僕の歌、暗い歌が多いんですけど、今、僕は
健康的な明るい歌ってのは
歌えないような心理状態にありまして・・・」

本当に優れた音楽というのは、こういう人から
生まれるのではないだろうか。
いまのミュージシャンは、異様に愛想が良すぎて
営業マンか芸人みたいだ。
ミュージシャンのイメージが大きく変わってしまった。
それに違和感を覚えるのは自分だけだろうか?

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