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2021年11月06日15:47

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『DUNE / 砂の惑星』6 撮影

監督、ドゥニ・ヴィルヌーヴにとって、SF小説『DUNE / 砂の惑星』を映画化するために、まず必要だったスタッフは、撮影とプロダクション・デザイナーだった。

ドゥニは監督を引き受けるにあたって、2つの条件をプロデューサーに出した。1つは「2部構成にすること」。これは長大で、複雑な物語を、2時間や3時間でまとめることはできないという意思表示であり、かつてD・リンチが5時間分の撮影素材を1本にまとめられなくて失敗したことから得た教訓でもある。

2つ目は、砂漠でのロケを行うこと。砂漠でのロケは、作品を決定づける重要な要素。撮影は自然光を生かしたものとなる。それに長じていること。そうした撮影監督と組まなくてはならない。

ドゥニが最初にオファーしたのが、ロジャー・ディーキンスだった。ディーキンスは、ドゥニ組で『プリズナーズ』(2013年) 『ボーダーライン』(2015年)を担当。ドゥニ最新作の『ブレードランナー 2049』も撮影はディーキンスだった。だが彼は『1917 命をかけた伝令 1917』に入っていたため、依頼できなかった。次に監督が連絡を取ったのがグリーグ・フレイザー。

フレイザーはディーキンスに比べると25歳も若く、ドゥニとは一度も仕事をしたことがない。主要作品数も50本近いディーキンスに対して、フレイザーは17本と半分以下。
しかし『ゼロ・ダーク・サーティ』のフレイザーの撮影は高く評価され、『ローグワン/スターウォーズ・ストーリー』でもカメラをまわし、2022年公開予定の『THE BATMAN』にも起用されている。

『ゼロ・ダーク・サーティ』では、中東を想定したロケ撮影を行い、『ローグワン』ではスケール大きなSFの画面を作り出している。冒頭部分では、緑と水の曇天の美しい自然描写が生きている。これらの要素は、『DUNE』で全面的に生かされることになる。

『スターウォーズ』ということで言えば、フレイザーが撮っていても『ローグワン』には物語の深さや広がりがなく、陳腐で表面的。『スカイウォーカーの夜明け』は、ほぼ同じデザート(砂漠地帯)をロケ地にしていたとしても、そちらは「単に荒涼とした土地が映っているだけ」で、そこにそれ以上の特別な意味、見え方はない。それに対して『DUNE』では、砂漠には生き物のような有機的な豊かさと、詩情が与えられている。

さらに今回『DUNE』には幸運も待っていた。これまで撮影に使われていなかった、処女地と言っていいデザートが撮影場所になった。それは“ミリタリー・デューンズ(軍隊の砂丘)”として知られるヨルダンとイスラエルの国境地帯。ここではつねに軍事演習がおこなわれていて、一般人の立ち入りは禁止されていた。それが『DUNE』で初めて撮影許可が出た。

*「砂漠」についての監督インタビュー

ドゥニ:「25マイル(約40キロメートル)ごとに、まったく異なる景色が現れる。それに感動した。こちらが”こんな風景がいい”と思うと、そのとおりの光景が見られるほど、砂漠の表情は変化に富んで多彩だった。
初めてこの地を訪れたときに、”本作のような映画をつくるとしたら、ここで撮ろう”と思った。それを思い出した。ここの光、この地の魂には、何か特別に惹きつけられるものがある。そして私たちはそれらをカメラに収められた。こんな気持ちになるのは、この地だけ。ここの景色には、本作にぴったりのドラマチックな雰囲気が漂っている」

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