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2021年09月08日11:12

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ピーター・ラブゼイDiamond and The Eyeを読んだ

MWAグランドマスターのピーター・ラブゼイDiamond and The Eyeを読んだ。
シリーズ20作目、ピーター・ダイアモンド警視の登場です。
いや、本当に面白い、笑えます、懐かしい名探偵の名前が次々登場して嬉しくなります。
しかもいつものWho-Done-itだけではありませんから面白い。私立探偵もの好きなら絶対のお薦めです。
出てくる私立探偵の多さには驚くばかりです。思わず笑ってしまいます。

1991年「Last Detective」からこのシリーズは生まれました。
40代後半、110キロの巨漢で、元ラガー、ボクシングの経験もあるピーター・ダイアモンド警視。元スコットランドヤード主任警部からエイボン・サマセット署の警視に。
思ったことをずけずけ言い上司や、部下から煙たがられ、古いタイプの最後の刑事と言われていた。それでいて最後に事件を解決するジョークと皮肉と時代離れした行動が面白いのです。
スマホは苦手、パソコンも単なる機械装置に過ぎない警視の言葉、行動は抱腹絶倒間違いなしです。

金曜日の夜ジョッキを傾けていたピーターは「よお、バディ」となれなれしく声をかけられた。ボーギー気取りでグラスを指にはさんだアメリカ訛りの私立探偵だった。美容室の二階に事務所を構えているというから気に食わなかった。
部下からはSirではなく「オヤジさん」としか呼ばせないのに初対面からバディとは。
ここからフィリップ・マーロウ気取りの私立探偵とバース警察のエース・ピーター警視の対決というか協力が始まるのです。
典型的なアメリカの私立探偵と頑固な古風な刑事がどう戦うのかお楽しみください。

骨董品屋の父親が行方不明になったと娘ルビーから依頼された私立探偵ジョニー・ゲッツがピーターに協力を求めてきたのだ。同じ探偵同士だからと言われてしまうのだ。

「ゲッツというとスタン・ゲッツの親戚かい」「だったらラッキーなんだが」「サックスでもふけるのか」Johnny Getz, Gets resultsか。

骨董品屋には少し前に泥棒が入り警察が店を封鎖していたが、ルビーの父親も行方不明になったと言うので、私立探偵と骨董品屋に行った。

店には高級家具やアンティックがあったが店が泥棒に荒らされた感じはなかったが、エジプトのミイラ棺の中から男の遺体が見つかったのだ。ミイラではなく殺されたばかりで札付きの泥棒だった。骨董品屋から何も取られたものはなかった。誰が泥棒を殺したのか、殺人犯も何者かも全くわからなかった。
しかも骨董屋の姿もなかった。
ピーターの捜査課は全員そろって骨董屋の迎えに事務所を借り捜査を開始した。
そこへ警察道徳委員会の会長ベデと副署長ジョルジアがピーター達の仕事ぶりを観察に来たのだ。どうしてこんな時に捜査課に来るのだ。(いつものピーターと副署長とのやり取りは笑えます)

「仕事がいっぱいあって、ここにいるわけにいかないの」「それは残念です、マーム」
ジョルジアといたら碌な事ない。

「私はダフネ・ピネワ」「私の事はピーターで結構です」She minded.「Mr. ダイアモンド、どうぞ」俺とは親しく付き合う気はないのか。

「誰か探偵ものに詳しい奴はいるのか」とピーター。皆が好き勝手に声を出すと「一斉にしゃべるな。ダシール・ハメットはどうだ」
「マルタの鷹です」「それは最高だな。読んだのか」「映画です」「ハメットに詳しいな。俺にハメットを聞いてきた探偵がいた。俺は知らなかったのだが。どこかに行った父親(wandering father job)を探す仕事してるそうだ」
「それならwandering daughter jobはコーエン・ブラザースのセリフにあります。ジェフ・ブリッジスの映画です。見ましたか」とインゲ。

そこへルビーが何者かに撃たれ瀕死の状態の情報が入った。
彼女は友人のオリンピアと食事をする約束だった。
オリンピアは富裕層相手の高級品、雑貨などを扱う雑誌の記者だった。
そのオリンピアも狙撃されそうになり姿を隠すようゲッツが指示する。
連続襲撃事件が発生したのだ。
ルビーがすべてに絡んでいることだけは確かだった。金庫から何が盗まれたのか。
父親は行方不明のままだった。誰もが関心を持つのは何かものすごい値打ちのブツがあるからだ。
それは宝石、絵画彫刻なのか。持ち出しできるものなら大きさが限られるはずだ。
そこへまた殺された泥棒の家が荒らされたという情報が入った。

ここから、話が複雑になるのだ。私立探偵ジョニー・ゲッツは何者なのかわからない。彼はピーターを出し抜こうと先回りするのだ。何故、急ぐ必要がある。
骨董屋から盗まれたものは宝石か、金なのか。美術家によくある隠れた絵画がお宝だったのだ。
とんでもない大発見だった。なんと普通の絵画の下にバース出身の画家ゲインズボローの絵画が隠れていたのだ。ダビンチ並の高額の可能性がある傑作なのだ。
だから警察道徳委員会の女性会長が視察名目で来たのだ。彼女は4回離婚し、離婚太りで金持ちになったとうわさがある。彼女も絵画を狙っているのだろうか。
オリンピアは金持ち相手の情報誌の記者だったが、眉唾の感じがした。

また、ロンドンの教会で美術の修復者が天井から落下して死亡する事件まで起きたのだ。教会の落下事件は事故なのかも疑問だった。彼女が骨董屋と接触していたことも分かってきたのだ。
ピーターたちは私立探偵より早く事件の核心にたどり着くのか。私立探偵に負けるのか、笑いながらも、楽しく読めます。
単なる骨董屋の泥棒事件から、殺人事件が連続し、連続して拳銃による襲撃事件も発生したのだ。 これはお勧めです。笑って、沢山の私立探偵の名前、ヒチコック、ミック・ジャガーなどまあ、監督、俳優、歌手まで何人出てくるか数えてみてください。
インゲをはじめ、お馴染みのメンバー総出演、真面目そうでふざけた会話は健在です。

余談:

死体を検分していたピーター警視に「おい、そこのミシュランマン!前に会ったことがあるかな」と検死官。
「俺に決まってるだろう」とピーター。
「骨董品屋の殺しに時代遅れの刑事を送り込んできたのか」

マイク・ハマーがピンクストライプのグレイのシャツ、スパッツ姿なんてわけがないだろう。

キンジー・ホーンならもっとうまく箇条書きにリポートを書くだろうな。

リュー・アーチャーの時代には電子機器はCIAだけだから、頭と足で勝負か。

ホームズから、マッド・スカダ―まで相棒がいたのだ。マーロゥにはランダルが。
デーブ・ロビシューにはパーセルという釣り仲間が。
ジェームス・クラムリーには酒場が。
エーモス・ウオーカーはデトロイトの元刑事でベトナム帰りだった強面だし、バース温泉は似合わないか。

「何か飲むかい」彼はチャンドラー好きだった。Big Sleepのビクターのバーみたいに
ギムレットとくるか。

ジョン・D・マクドナルドのトラビス・マッギーは21作で「一度も女性の誘いを断らなかったなあ」
ゲッツは「ワイルド・ビル・ヒコックより早撃ちだと豪語したり。
もちろん。パレツキーの女性探偵も出てきます。

しかも、ラブゼイはいつも作品の中で日本語や日本人には好意的です。
*「この中で英語の分からない方は手を挙げてください」とバース温泉遺跡ガイドが言った。
日本人のカップルがいたが、英語が分からないから手を挙げるはずがないだろう。ピーターは愚か者なガイドめと思った。なんて感じです。

ピーター・ラブゼイは作家生活51年、流石です、最近初版のダイアモンド警視ものSC(PB)が£1,000以上、サイン物入りはまだ売りに出ません。これから値上がりします、きっと。

この30年サインはいつも同じサインで、字体の大きさも同じです。
それに読めば、抱腹絶倒、クスクス笑いの連続です。英国流ジョークを超えてます。

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