クルマ0283 水しか出ない(燃料電池車)

燃料電池車(水素自動車)が実用化されてしばらく経ちました。電気自動車(EV)ですが、その電気は充電スタンドにも家庭のコンセントにも頼らず、クルマが自ら作り出します。でもハイブリッド(車載エンジンでジェネレーターを回して発電)ではありません。水素で作るのです。
「クルマが水素で電気を作る｣なんて、その技術は興味津々です。大きくてカッコが現代的(当たり前ですね)でココロに訴えかけないクルマそのものには微塵も惹かれませんけどね。
トヨタのMIRAIは全長 4975・全幅 1885・全高1470mm、車重1920kgもあって、価格は710万円だそうです。ふーん()

メルセデス・ベンツの大型路線バスCITARO(シターロ)のラインナップにも燃料電池バス (O530BZH)があります。全長11950mmの70人乗ですと。あっそー(-.-)

「燃料電池｣と言うと何やら電気を貯めておくバッテリーのように思えますが、実際はタンクに充填された水素を空気中の酸素と化学反応させて水を作り出す装置のことです。その過程で電気が生じるのです。電気分解の真逆(2H2＋O2＝2H2O＋電気)ですね。だから出るのは水だけ。この上なくクリーンです。

あ、水素エンジン車と混同しないでくださいね。コレはガソリンの替わりに水素を燃料にするエンジン(内燃機関)を搭載したフツーのクルマです。LPガス車(本稿0209)みたいな。
水素を燃やすので排気ガスは出ないそうです。

燃料電池車にせよ水素エンジン車にせよ、なんだか良いじゃないですか。排気ガスが出ないんですよ、車検も楽ではないかと。なんてったって今まで散々苦労してきましたからねぇ。
ケチなボクは￥1000〜2000の手数料だけでユーザー車検をしてきたんです。業者に頼むと数万〜数十万円とられる(もちろん整備を含んでの価格です)かも、それが￥1000ソコソコなんです(小型車か普通車か、また検査の種類によって少し異なります)。
日本に輸入して一発目の新規車検も。実はこれ継続車検と同じなんです。追加でサイズ測定と車台番号の打刻があるだけ。
古いクルマばかり、1920年代のランチアをはじめ数十台の実績がありますが、唯一通らなかったのが1996年式(車検を行ったクルマの中で最も新しい)MGFです。ヘッドランプの光量不足で引っ掛かったのですが、異形ですのでどうにもできず。汎用の丸い7インチのランプなら…。
排気ガスは裏技(ナイショ)を駆使して合格率100％！でもすごく苦労するんですよ。

さて、本題の燃料電池車に話を戻します。
普及のネックとなっているのが肝心の水素です。水素ステーションで充填するのですが、そのステーションが無い。全国各地に設置中だそうですが、ガソリンスタンドのように「何処にでも｣となるのはいつのことでしょうか？

また、1937年5月6日のドイツの飛行船ヒンデンブルグ号の爆発事故(於アメリカ・ニュージャージー州、36名死亡)の例を見るまでもなく、水素は爆発する危険があって怖いです。だから風船には爆発の危険が無いヘリウムが充填されています。子供用の小さい風船もアドバルーン(近年は見ませんねぇ)も。

他には、水素はランニングコストがメチャクチャかかる！なんてことも耳にしますけど、ボクはそれほどでもないと…最新のトヨタMIRAIの場合、水素タンクは満タンで5.6kg、その価格は￥6000強、航続距離は500kmですから。ガソリン(リッター￥150として)に直した燃費は12.5km/lといったところでしょうか。

水素は宇宙で最もありふれた元素だそうです。宇宙に存在する原子の総数の90％以上(ただし軽いので総質量では75％)は水素だそうですが、地球上では貴重品です。
石油や石炭、天然ガスから生産するそうで、クルマから排気ガスは出ないものの結局は化石燃料を使って(ガソリンと同じ)温暖化を助長しているのです。
そこで研究されているのが「人工光合成｣です。この目的は、温暖化を助長する二酸化炭素を減少させるのではなく、植物による自然界の光合成のようにエネルギーを作り出すことです。
ただ植物とは異なり、半導体光触媒(葉緑体ではなく)か太陽光などの光エネルギーを使って空気中の水分のみ(二酸化炭素は使わす)から水素(ブドウ糖ではなく)を合成するものです。
この研究はほぼ完成しているそうですが、今はとてつもなく金がかかるので全く非現実的です。
しかし、コストが下がって実用化されればクルマが人工光合成をして水素を作り出し、それで電気を生じさせるようになるでしょう。そうなれば、水素ステーションでの水素の充填など不要になります。つまり燃費は無限大で、かつ化石燃料は使わないのです。究極！