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2021年07月25日21:31

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モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第4番 オスカー・シュムスキー

この曲は、幼年時代の思い出の曲である。

6才の頃、LPレコードでこの曲を聴き、感動したのがきっかけで
ヴァイオリンを習うことになったのだ。
そのとき聴いたのは、クリスチャン・フェラスのLPだった。

特に第1楽章がすばらしく、第1主題、第2主題、展開部と
魅力的な旋律に溢れている。
特に第2主題の
「ラ#ソラ シラソラ ソファミレ ドミソ」
のところは、そのあとの半音階も含めて
本当に魅了された。
カデンツァの技術的な面白さも比類がない。

それほど好きな曲なので、いままでに
数え切れないほど、この曲の演奏を聴いてきたが
フェラスの演奏を超えるものはなかった。
LP時代はグリュミオーのステレオ録音が
評価が高かったのだが、
徹底して元気が良く、健康的な演奏で、
フェラスに比べると、かなり一本調子な演奏に
聴こえてしまう。

それが、最近、オスカー・シュムスキーの演奏(1983年録音、)を聴いて、
これはフェラスに匹敵するか、さらに上回る演奏だと思った。

オスカー・シュムスキーは、1990年頃、バッハの
無伴奏ソナタ集が話題になったことがあったが
その頃は聞く機会がなかった。
しかし、このモーツァルトは抜群の演奏で
ちょっと聴いただけで、名演とわかるくらいだ。

シュムスキー晩年の録音で、音色はかなり渋いが、
テクニックはまったく衰えていない。
古典的なフォルムを重視しながら、実によく歌い
表情豊かで、単調なところがまったくない。
ストラディヴァリウスを弾いているようだが、
演奏者の意図に楽器がパーフェクトに応えている
感じがする。
カデンツァなど、あまりの見事さに圧倒されてしまった。

よく「モーツァルトは心の試金石である」と言われるが
この曲など特にそうなのかもしれない。
演奏会でも、ディスクでも、名演に出会うことは
滅多にない。
シュムスキーのCDは、大きな感動をもたらしてくれたが
いちど、生演奏でこんな名演を体験したいものである。


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