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2021年06月26日17:06

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アガサクリスティ「杉の棺」

よく似た話が出てくる。

ヒロインは親を早くに亡くしたが、父の姉にあたる「伯母様」が大金持ちで、
小さいころから娘のように面倒を見てくれた。
伯母様の妹も早くに亡くなり、その男の子(いとこ)も面倒を見ていた。
ふたりは恋仲で婚約中。
伯母様は脳梗塞で亡くなり、いとこは伯母様のお気に入りの使用人メアリに一目ぼれ。
ヒロインは巨額な遺産を相続するが、恋人を失う。
メアリはその後毒を盛られて死ぬが、ヒロインとサンドイッチを食べたあとだった。
ヒロインは殺人犯疑いとして裁判にかけられる。
ひそかにヒロインにあこがれていた伯母様の主治医がポアロに捜査を頼む。
ポアロであるからもちろん、ヒロインの無実を証明し、真犯人をあばく。
それは伯母様を通いで世話してた看護師で、メアリの養母の姉(これも伯母)。
メアリは実は伯母様の隠し子、妹が死ぬ前に書いた手紙で事情を知った看護師は
遺産相続をねらったわけ。(ヒロインの伯母様も実は看護師が殺した。)
無罪を宣告され、ふらふらと裁判所から出てきたヒロインを
主治医が迎えて「静かなサナトリウムでしばらく静養が必要です」と言う。
「なるべくたびたび会いに来てくださいね」というヒロインを送ったあと、
ポアロが主治医に言う。
「あなたの深い愛が今のあの人にとても重要なのです」。
主治医は言う。
「でもあの人はいとこを今でも愛しています。ボクにはわかる」。
ポアロは言う。
「そのとおり、彼女はまだいとこを愛している」
「でもそれが何ですか?今の彼女が一番信頼し、会いたいのは、あなたなんですよ」。

…いい話だな、と思った。

そりゃ生きているってことはいろいろな事情があるわけで、
一番好きな人といっしょになれないこともあろう。
そのまま操を守って(古い…)一生心の恋人と暮らすのもいいけど、
普通は別な人を好きになって、その人と結婚したりするのではなかろうか。
今の相手も好き、でも一番好きだった人はやっぱりあの人、ということもあるのでは?
そういうとき、もし「一番好きだった人」が相手と別れたとか聞いたら
少しココロが動くこともあるかもしれないが、
今の相手と今日まで築いた生活を捨てるほど、一番好きだった人は今も「一番」か?
…そうかもしれないけどそうでないかもしれない。

「今の相手」の立場から言えば、
自分が「一番好きな人」でなかったと知ったらショックだと思うけど、
逆に、その「一番好きな人」を大事に思ってきたその人だからこそ、選んだのでは?
「一番好きな人」を大事に思った経験が、その人を魅力的に見せたのでは?
「一番好きな人」と出会っていなかったら、今のその人は今と同じではないのでは?
「一番好きな人」がいたからこそ、自分とその人は今いっしょにいるのでは?

人生で最初に好きになった人と一生過ごせるならこんなことは起きないが、
「最初に好きになった人と一生暮らせる」人間は多くないと思う。
誰にでも「昔好きだった人」がいて、その人との思い出があったから今がある。
だったら別に、そんなに怒らなくてもいいじゃないか。



■<旦那の致命的な失言>「2番目に好きな女と結婚した」すべてを捨てて離婚をしてもいい?【前編】
(ママスタジアム - 06月26日 10:31)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=176&from=diary&id=6569251
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