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2021年03月09日13:25

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助詞味

[あらすじ] 春の芽は苦い。そして、旨い。

五味と言う。
五行説のじゃなくて、料理の上での五味である。
甘味、塩味、酸味、苦味、旨味
と書いてあったり、
甘み、塩み、酸み、苦み、旨み
と書いてあったりする。

あまみ、しおみ、さんみ、にがみ、うまみ
と読んでいるのを聞くことも有る。

「しおみ」なんつう言葉は無かろう?



念のため、『日本国語大辞典』通称’ニッコク’を引いてみる。
と、有った。
が、用例は1965年の小説だ。
その頃すでに「しおみ」というみょうちきりんな言い方が使われていた、
というくらいの捉え方で良いのではないかと思う。



「サンミ」という言葉は有る。
有るけれど、他の言葉とつくりが違う。
「酸味」という漢語であり、
「み」は「味」の音読みの「ミ」だ。



「甘味」は漢語として音読みする語も有る。
その時は「カンミ」という音になる。
ただ、意味がちょっと変わってくる。
甘いお菓子、特に和のもの、という意味で使われる。

「甘味処」というと和菓子屋の意味になるわけだが、
これは「あまみどころ」と読む。



ニッコクで「み」を引く。
「形容詞または形容動詞の語幹に付いて名詞をつくる」とかなんとか書いてある。

語幹とは、活用しない部分のことだ。
形容詞「甘い」は「い」の所が活用するから、
「甘・い」の「甘」が語幹だ。
語幹の「甘」に「み」が付いて、名詞になる。
「甘いという性質」といった意味になる。

「苦・い」「旨・い」も同様だ。

そういう働きの「み」という助詞なので、書くならひらがなで書く。
それがたまたま「あじ」の意味の「味」の字の音読みと同じなので、
混同が起きてしまったのだろう。

「み」を「味」と書いて正しいのは「酸味」だけのはずだ。
けれど、テーマが「味」なので、他の「み」にも「味」の字が
違和感なく当てられるようになってきてしまっているわけだ。

酸味は「酸っぱい」のだから、「酸っぱみ」、
塩味は「しょっぱい」だから、「しょっぱみ」、
こう表現すれば、
「甘み」「苦み」「旨み」と並ぶ。



他にも、「うまみ」を変換しようとすると「うま味」という候補さえ出てくる。
うまあじとしか読めんわい。と私なぞは思う。



「塩味」と書くなら
「しおあじ」と読むのが適当だろう。
と思っていたが、「塩味」と書いて「エンミ」と読んでいたりもする。

本来は形容詞+助詞「み」であるはずの「甘み」や「苦み」や「旨み」を
「甘味」「苦味」「旨味」などと「味」の漢字を当てはめて書く、
ということに合わせて
「しおあじ」を漢字で書いた「塩味」を
「甘み」や「苦み」や「旨み」に合わせて「み」で終わるように読んだら
「エンミ」という耳慣れない言葉が生み出されたのだろう。

と思っていたが、
ニッコクを引いてみると、「塩味」と書いて「エンミ」と読む用例は
18世紀から有る。



色々な語を引いて用例を見てみると、
どうやら、助詞「み」のところに「味」の字を当てて読むというのは
江戸時代に広まったようだ。
17世紀から19世紀、ざっくり言って江戸時代。

町人の文化が栄えた時代なので、
言葉も様々な形が出たことだろう。



さて。
助詞「み」にこだわって、日本語で言うならば
あまみ、しょっぱみ、すっぱみ、にがみ、うまみ。
漢語で言うならば
甘味カンミ、塩味エンミ、酸味サンミ、苦味クミ、旨味

ああっ、
「旨」って音読みするとなんなんだ?
まあ「シ」だろうか。

まとめに入ったつもりが、また疑問点が。

大体、「旨」という字は
漢字としても「うまみ」の意味を持っているのだろうか。

『大漢和辞典』を引いた。
「旨」は「シ」だった。ホッ
『正字通』や『説文』にも載っている。
「旨味シミ」という語も存在する。

ただ、「うまい」と書いてあるのは「美味」の意味であって、
「うまみ」とは違うのではないか。
調べ…
いや、もうおなかいっぱい。
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