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2020年11月29日11:06

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『教皇様のデート大作戦』

 2020年のロス誕作品です。
 『聖闘士星矢』の二次創作で聖戦後復活設定、ロスサガ前提。
 アイオロスとサガが、アイオリアとシュラを自分たちの影武者にして、「教皇様の誕生祝賀行事」をぶっちしてデートに行く話。
 新型コロナウイルスの流行で大変なのに、外出を自粛しないわ、ソーシャルディスタンスは保たないわで、困ったちゃんな教皇アイオロス様です。読者の皆様はウイルス対策をきちんとしてくださいませ。
 ちなみに今年11月下旬のギリシャ情勢は、新型コロナウイルスの感染者が一日二千人とか出るわ(ギリシャの人口は日本の十分の一)、博物館は閉館してるわ、学校は休校だわ、夜九時から朝五時まで外出禁止だわで、12月7日までロックダウンするそうです。ウイルスの流行が早く治まればいいのにな…。
 昨年の作品はこちら。『燈火』https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12014612

『教皇様のデート大作戦』

 11月30日は、射手座のアイオロスの誕生日である。
 そのアイオロスは、現在、聖域の教皇の座に就いていた。ということで、その日は聖域では「教皇の誕生日」として毎年、盛大に祝うことになっていた。
 だが今年は新型コロナウイルスの流行があり、教皇誕生日の祝典は縮小を余儀なくされた。それでも、アテナへの感謝の祈りの儀式とか、聖域や付近の住民の代表者たちの祝辞とか、教皇アイオロスの御礼の談話の発表とか、聖域の住民に祝いの菓子と酒を配るとか、それなりに祝賀行事はあって、聖域の皆は準備に忙しくしていた。
 そんなこんなで聖域全体がバタバタしていた祝典開催日の数日前、獅子座のアイオリアと山羊座のシュラは、アイオロスの執務室に二人そろって呼ばれた。
「よく来てくれた、二人とも」
 二人を迎えた教皇アイオロスは、なにやら深刻そうな顔をしていた。いったい何の用で呼ばれたのかと、アイオリアとシュラは緊張で背筋を伸ばした。アイオロスの隣には、首席補佐官である双子座のサガがこれまた渋い顔をして立っている。
「二人には秘密の任務を申し付ける」
 アイオロスの言葉に、やはりこれは容易ならざる事態らしいと、アイオリアとシュラが覚悟を決める。
「おれの誕生日に聖域で祝賀行事が開催されるだろう?そこでアイオリアにはおれの影武者を、シュラにはサガの影武者を務めてもらいたい」
「………」
「…は?」
 アイオリアは命令の意味が分からず一瞬呆然とし、シュラは思わず口から間抜けな音を発した。
 アイオロスは、どん!と拳で机をたたいた。
「誕生日が朝から晩まで祝賀行事で潰れて忙しいとか、おれはそういうのはもう真っ平なんだ!誕生日はのんびりと、楽しく、静かに過ごしたい!皆に盛大に祝ってもらうより、大切な人に個人的に祝ってほしい!具体的には、サガと二人きりでイチャイチャしたいの!」
「……」
「……」
 教皇としての責務、それも例年よりも縮小された祝賀行事すらまるっと放り投げて、恋人との時間を優先したいというアイオロスの要求に、アイオリアとシュラは反応に困った。
「というわけで、当日はお前たちがおれたちの影武者を務めてくれ!おれとサガは二人で聖域外にデートに行く!お前たち二人は、急な任務で聖域の外に出て不在ということにしておくから!」
 びしっと指を突き付けられて命令された内容に、二人は
「「えええええ〜!」」
 と声を合わせて戸惑いの大合唱をした。
「い、いや、無理だって!いくらおれと兄さんの容貌が似てるからって…絶対ばれる!他の黄金聖闘士たちだって何人か列席するんだぞ!?あいつらなら小宇宙ですぐに気付くって!」
「大丈夫!あの連中なら、お前とシュラがおれとサガに入れ替わってるのに気付いたら、おのずと事情を察して見て見ぬふりをしてくれる!問題ない!」
 アイオリアの指摘に、親指を立てたアイオロスが変なところで仲間たちへの信頼を示して断言する。ちなみに、「見て見ぬふりをしてくれる」根拠は何もない。
「無理無理無理ー!無理ですって!」
 シュラもまた、アイオリアにならって拒絶を示した。
「あなたとアイオリアはともかく…おれとサガが入れ替わるのは無理がありすぎます!身長や体形も違うんですよ!?」
「数センチの身長差なんか誤差の範囲だ!それに法衣姿だから、体形はごまかせる!」
「無理です!そもそも、サガの影武者ならカノンに頼んでくださいよ!」
 シュラがそう言って突っぱねる。
 カノンはサガの双子の弟であり、二人の容姿は見分けがつかないほどそっくりだ。確かにサガの影武者にするにはうってつけである。かつてはサガ本人も「このサガに何かあった時は、カノン、お前が双子座の聖闘士として闘うのだぞ!」と、(カノン自身の意志を無視して)しつこく弟に言い聞かせていたくらいである。
「ああ、カノンな…」
 だがアイオロスは肩を落としてため息をついた。
「頼んだけど、『死ね』って言われた。まあ、あいつも海界の統治で忙しいからなぁ」
「……」
 シュラが無言になった。
 海皇ポセイドンの代理人であり、海将軍筆頭・海龍として海界を治めるカノンが忙しいのは事実だが、仮に暇だったにしても、「サガとイチャイチャしたいから、お前がサガの影武者して」などというアイオロスの依頼をカノンが聞くはずもなかった。なにしろ、カノンは兄サガへのブラコン度合いが無限大の記号で表現できそうな男である。アイオロスのことは「自分から兄を奪った憎い男」としてしか認識しておらず、いまだに二人が一緒に仲良さげにしていると何かと子供じみた嫌がらせをしてくる有り様だ。
「だからお前に頼むんだ、シュラ。ギリシャはロックダウン中だが、おれとサガの外出許可証はすでに取得した!それにほら、お前がサガに化けるためのカツラも用意したから!」
 机の引き出しから、サガと同じ長い銀髪のカツラを取り出してアイオロスが言う。
「なんでそういうことだけ手回しがいいんですか!?その能力を普段の執務にも発揮してくださいよ!」
 思わず失礼なツッコミをシュラが入れた。教皇としての執務は「首席補佐官であるサガの助言に従って」という形でサガに判断を丸投げし、自分はめくら判ならぬ、めくらサインに徹している普段のアイオロスの仕事ぶりを知っているシュラとしては、ツッコまずにはいられなかった。
「それに、今年は新型コロナウイルスの流行でマスクをするから!顔はマスクでほとんど隠れるだろ?これなら、皆もおれたちの入れ替わりに気付かないって!絶対、大丈夫!」
 念押しするアイオロスの言葉に、だが隣のサガの顔が蒼白に変わった。
「…そう。教皇のマスクで顔が隠れたおかげで、私とシオン様が入れ替わっていることに十三年間、誰も気付かなったくらいだからな…」
 ふふふ…と蒼い顔をしたサガが渇いた笑いを漏らして、闇落ちしそうになった。
「サガーっ!そこで自虐のスイッチを入れないでーっ!おれはもう過去のことは気にしてないから!な、な!?」
 慌ててアイオロスがサガを励ましにかかる。地雷の多い恋人を持つと何かと苦労する。
「…いや、でもやはり無茶ですよ。アイオリアはあなたに似ているから何とかなっても、おれとサガでは…。侍従や神官たちに近寄られたら、絶対、ばれますって!」
 シュラはなおも食い下がったが、アイオロスはあきらめなかった。
「なら、二人でイチャついてればいい!二人でくっついてたら、気を利かせて誰も近寄らないから!遠目なら十分、ごまかせる!」
 アイオロスが提供した誰得な情報に、「いや、この二人でイチャつくとかいやすぎる…」と、アイオリアとシュラは互いを横目で見て思った。
「しかしですね、今は特に新型コロナウイルスの流行で大変な時期ですよ!?何もこんな時に街に出かけなくても…」
「そう言われて、今年の夏ごろからずーっと聖域に引き籠らされてるんだぞ!もう飽き飽きだーっ!やだやだやだ!おれはサガとデートがしたいんだーっ!」
 だんだんと机を拳で叩きながらアイオロスが主張する。完全に駄々をこねる子供と同じである。「自粛疲れ」が我慢ならないという兄の活動的な性格に、アイオリアが頭を抱えた。
「…サガ、お前からも兄さんに何か言ってくれよ…」
 アイオリアは困ったようにアイオロスの隣に立つサガを見たが、サガはため息をついて軽くかぶりを振るばかりだった。思うに、サガ自身もアイオロスに色々と諫言をして、それでもアイオロスが自分の意志を変えずにわがままを貫き通したに違いない。
 「教皇誕生日の祝賀行事でアイオロスとサガの影武者を務める」という頼みをなかなか聞いてくれない弟とシュラに対し、アイオロスはとうとう最後の切り札を切った。
「アイオリア、シュラ、これは教皇命令だ。拒否したら、不服従で逆賊扱いな」
「……………」
「…兄さん…」
 呆れ果てた二人はそろってため息をついた。
 こうして暴君ぶりをいかんなく発揮した教皇アイオロス様の勅命により、アイオリアとシュラは、教皇誕生日の祝賀行事で彼とサガの影武者を務めることになったのだった。

 そして11月30日早朝、アイオロスとサガは、人目につかぬようにこっそりと教皇の間にやってきたアイオリアとシュラと入れ替わり、密かに聖域を出てアテネ市街に出かけた。もちろん、新型コロナウイルス対策で二人ともマスクをしている。おかげで姿をごまかしやすい。
 市街に出たアイオロスとサガは、まずショッピングをすることにした。サガが「アイオロスへの誕生日の祝いの品を買いたい」と望んだからだ。
 とはいえ、現在は新型コロナウイルスの流行で都市封鎖が行われており、開いている店は限られている。そんな中、サガが選んだのは、それぞれ香りの違う複数のシャワージェルだった。
「これなら二人で使えるだろう?」
 というサガの言葉に、アイオロスは教皇の間の大浴場でサガに体を洗ってもらう自分の姿を想像して、鼻の下を思いっきり伸ばした。
 その後、古代ローマ時代のアゴラ(広場)の遺跡をながめながら散歩した二人は、昼には屋台で食べ物と飲み物を買い、屋外にある椅子に座って食事にした。新型コロナウイルス対策で主要な博物館も閉館しているため、市内観光を十分に楽しむとはいかなかったが、冬で観光のシーズンオフ、さらに新型コロナウイルスの流行が重なって海外からの観光客も少なくなっているため、「サガと二人で人目をはばからずイチャついて過ごしたい」というアイオロスの要望には、かえってうってつけだった。
「あ〜、やっぱり出かけてよかったよ」
 久々の外出で、しかも自分たちの正体を気にせずサガとプライベートな時間が過ごせるというひと時に、アイオロスはのびのびと羽を伸ばしていた。
「そうだな。アイオリアとシュラには、損な役回りをさせてしまったが…」
 チーズとハムとトマトのピタパン(ロールサンド)を食べながら、サガが言う。
「お前の気分転換にもなったようで、良かった。最近、イライラしていたようだったからな」
「うん。気持ちがすっきりしたよ。誕生日をサガと二人きりで過ごせるのも、最高!」
 そして同じくテイクアウトしたスブラキ(焼肉)と豆とレタスのピタパンを食べていたアイオロスは、横に座るサガに甘えたような視線を向けた。
「サガ、そっちのピタパンもおいしそうだな。ちょっと食べさせて」
「ああ」
 サガは自分の食べさしをアイオロスの口元に差し出した。
「はい、あ〜ん」
「う〜ん、おいしい」
 サガに食べさせてもらったピタパンを咀嚼しながら、アイオロスが満面の笑みを浮かべる。
「サガもおれの分を食べてみる?あ〜ん」
 今度はアイオロスが自分のピタパンをサガに差し出した。サガがぱくりと食いつく。
「うん、これもおいしい」
「ふふふ…幸せだなぁ」
 こうして人目をはばからず、思いっきりイチャイチャするアイオロスとサガであった。
 
 一方、聖域のアイオリアとシュラは。
 アイオロスとサガの影武者として祝賀行事に臨み、一通り行事を終えた二人は、教皇の私室で机に向かって沈没していた。
「つ、疲れた…。戦うより、疲れた…」
 机に突っ伏したアイオリアが言う。
「い、いたたまれん…。他の黄金たち…絶対に気付いてるぞ…」
 シュラも椅子の上で脱力して体を長く伸ばして言う。
 アイオロスとサガに扮して祝賀行事に臨んだアイオリアとシュラだったが、ちょうど聖域に滞在中で列席した黄金聖闘士たちには小宇宙でばればれだったらしい。アルデバランは苦笑しているし、デスマスクは肩を震わせているし、シャカは眉をひそめているし、ミロは呆れた顔をしているし、アフロディーテは憐れみを瞳に浮かべているしで、底の見抜かれた芝居ほど間抜けなものはない。それでもアイオロスが根拠なく断言したように、五人五様の反応ながら、皆はおのずと事情を察して二人の正体を黙っていてくれた。実に頼りになる仲間たちである。
「コロナウイルスのおかげで、黄金聖闘士たちとの晩餐会が今年は中止になって良かった。これであの連中と飯を食うとか…茶番にもほどがある。耐えられん…」
「あ〜、しかし行事ってのが、こんなに気疲れするものとは思わなかった。兄さんが逃げ出すわけだ」
 ごきごきと凝り固まった肩を回してほぐしながらアイオリアがぼやく。
 その時、私室の扉がノックされた。
「教皇様、サガ様、午後のコーヒーをお持ちしました」
「あ、ああ!」
「入れ!」
 扉の外からの侍従の言葉に、二人は慌ててマスクをして顔を隠し、そして二人で並んでがっちりと肩を組んだ。
「愛してるぞー、サガ(棒読み)」
「私もだー、アイオロス(棒読み)」
 教皇の私室に入った侍従が見たのは、仲良さそうに寄り添う教皇とその首席補佐官の姿だった。その姿に遠慮して、侍従は手早くコーヒーと菓子のバクラヴァを机の上にセットして、そそくさと部屋を後にした。
 侍従が部屋を出た途端、アイオリアとシュラはさっと体を離して大きな息を吐いた。
「く、苦しい…。無理がありすぎる…」
「うう…兄さん、早く帰ってきてくれ〜」
 そして半泣き状態でもさもさと用意された菓子を食べるアイオリアとシュラだった。

 アイオリアとシュラの苦労そっちのけでデートを続けるアイオロスとサガは、サガによる異次元移動でスニオン岬にやってきた。
「どうして、ここに来たのだ?」
 スニオン岬にあまり良い思い出のないサガがアイオロスに尋ねる。この地は、サガと双子の弟がたもとを分かった地でもあった。あれを契機に弟が海皇ポセイドンの封印を解き、そのせいで地上が大水害に見舞われて多数の死者を出したのかと思うと、サガは胃のあたりがキリキリと痛くなるのだった。最終的にカノンが改心したからといって、償いきれるものではない。
「いや〜、ちょっとカノンに言いたいことがあってさ。かといって海界に行くわけにもいかないし、だったら海界に一番近いのはここかなって…」
 そう言ったアイオロスは、自分のマスクを外した。そして口元に両手を添えて、海に向かって大声で叫んだ。
「おーい、カノン!サガは今、おれとデート中だぞ!どうだ!うらやましいか!?うらやましいだろう!わははははーっ!」
 海の下にいるカノンを大人げなく挑発して岬の先で高笑いしたアイオロスの姿に、サガが呆れたようにため息をつく。
「アイオロス…お前は…」
「あっははは!いいじゃないか、サガ。あいつには色々と嫌がらせをされてるからな。この程度の仕返し、いいだろう?」
 明るく笑ったアイオロスが言う。
「サガ」
 そしてアイオロスはサガのマスクを外した。
「キスしよう、サガ」
「ここで?」
「そう、ここで。…いや?」
「いや…」
 二人はそっと唇を寄せた。やがてそれは熱いキスと抱擁に変わり、二人は改めて互いの愛を岬で誓い合ったのだった。

 さて、聖域の教皇の私室では、アイオリアとシュラがすでに日の沈んだ空を眺めて、アイオロスとサガの帰りを待ちわびていた。
「兄さん…いつ帰ってくるのかな…?」
「まさか外泊する気ではあるまいな…?」
 シュラが眉を寄せて深刻な顔になる。
「いや、でも街には夜間外出禁止令が出てるし…」
 とは言ったものの、アイオリアも確信が持てず首をひねる。
「でもそうなったら、おれたちもここに泊まることになるのかな…?まあ、寝台は広いし、ソファもあるし、寝る場所には困らないけど…」
 アイオリアは頭を掻きながら呑気に呟いた。
「だが一つ問題がある」
 深刻な顔のまま、シュラが言った。
「なんだ、シュラ?」
「いや、おれたちがこの部屋に泊まった場合、アイオロスとサガが泊まったことになるだろう?それで翌朝、寝台のシーツが綺麗なままだったら…周りに何があったかと逆に勘繰られるぞ?」
「…あ…」
 意味を理解して純情なアイオリアは頬を赤らめ、それからさーっと蒼くなった。
「に、兄さーん!早く帰ってきてくれーっ!」
 窓に向かってアイオリアが叫ぶ。
「どうする?どうする、おれ!?考えろ!考えるんだ…!」
 シュラも蒼くなり、頭を抱えて悩み始める。
 二人は焦り、打開策を求めてあたふたした。
 無情に時間が過ぎ、アイオリアとシュラの顔から血の気が完全に引いたころ、教皇の私室の窓ガラスが外からノックされた。
「お〜い、アイオリア、シュラ、開けてくれ」
 窓の外にはアイオロスとサガの姿があった。人目を忍んで、通常の入り口を避けて窓から部屋に入ろうとしているのだ。
「に、兄さーん!良かったー!」
 歓喜してアイオリアが窓を開ける。アイオロスとサガは窓枠を乗り越え、部屋の中に入ってきた。
「帰ってきてくれて良かったよー!兄さーん!うわーん!」
 半泣きになりながらアイオリアが兄との再会を喜ぶ。
「おいおい、大げさだな、アイオリア?おれが事故にでもあったと心配したか?」
 自分の無事を弟が喜んでいると誤解したアイオロスは、呑気にアイオリアの頭を撫でた。どうも弟がまだ小さかった頃の癖が抜けないアイオロスである。
「シュラ、苦労を掛けたな」
「まったくだ!サガ、二度とこんな任務は受けないからな!」
 労をねぎらうサガに、シュラも怒りをあらわにして詰め寄った。
 こうして聖域に帰還したアイオロスとサガは、再びアイオリアとシュラと入れ替わった。影武者としての任務を終えた二人は、教皇の間の侍従や衛兵たちに見つからないように注意しながら、そそくさと私室を退去していった。
 
 教皇の間に戻ってきたアイオロスとサガは、新型コロナウイルス対策の意味もあり、さっそく二人で入浴して汚れを落とすことにした。サガがアイオロスへの誕生祝いへと購入したシャワージェルはすぐに使用され、希望通りにサガに体を洗ってもらえたアイオロスはご満悦だった。
 もちろん、教皇の寝台のシーツが翌朝汚れていたことは、言うまでもない。

<FIN>

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