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2020年11月04日19:22

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2009年11月4日

福岡への転勤が決まってからは早かった。
いろいろ混み入った段取り上の都合により引越しは後回しにしてまず出張扱いで現地へ。先月下旬からあっちでホテル住まいしながら業務引継ぎと転居先選び&その契約手続きなどなど一通り済ませて戻ってきたのが昨日。
今日は本社出勤最後の日。
わずかな残務さっさと済ませて帰宅。

海老名から福岡への自宅引越しに与えられた時間的猶予は出張前を含めて約三週間。
前回の引越しから今回までの約八年間に溜まっていた自宅の不用品は出張前に処分を済ませてあり福岡へ持っていく家財類もほとんど梱包済みで引越業者を待つばかりの状態となってはいたが、やはり億劫さはぬぐえない。
僕の性格からいって「あ。忘れてた」的な土壇場のドジもありそうだし。
まあ何とかなるだろう。

……と、あれこれ適当に考えつつ帰りのバスに揺られて窓の外を眺めて暇をつぶしていたら厭な気配が。
斜め向かいの何列か前あたりの席に座っている「何か」が、後方にいるこっちをわざわざ振り返って必死に気付いてもらおうとしている様子が白目越しに見て取れた。
白目越しでも見間違わない僕の敵。

付き合い始めた最初の頃は甘言につられてついついその気になって、今にしてみれば随分間抜けなことを色々とさせられた。
いわゆる平成バブル景気の時代をひたすら身勝手に謳歌し続けていたのであろうこの愚かで哀れな穀潰しが「あの頃に戻りたい」と熱く語る姿を目の当たりにしたのがきっかけで洗脳をほどくことができたのは不幸中の幸いだった。
単にたかる相手と機会に恵まれていただけに過ぎないかつての経験はこのいかれた寄生虫の脳内においては成功体験へとすり替えられていたようで、時を経てそのズレが老化に比例して誇張し盛り続けた結果とうとう栄光の軌跡にまで変質してしまった様子がその口調と内容から伺えた。
端から見れば無残この上ないのだがその有様に気付かぬまま自慢話を続ける眼はとても正気とは思えないおぞましい輝きを湛えすぎていた。
判断力を養う機会を放棄して自身の見栄ばかりを追い求め、その無駄に発達した虚勢と現実世界における実像との落差に見て見ぬふりを繰り返しながら自らを虚飾で塗り固める道を選んだ自動脱糞装置。
自分自身から逃げ出した人生の敗北者。
それがかつて恋した相手の正体だった。

化けの皮をこちらから剥がされる前に自らかなぐり捨てて銭ゲバの本性を現わした乞食女はほどなく坂を転げ落ちるかのように次々と醜態を晒しはじめた。
たかることでしか自らを維持できない本性を隠そうともせずにやたら高価なものを次から次へと強請り、それが叶わぬと癇癪を起こしてわめき散らし、ある日に僕の財布から何かを盗み取ろうとする現場を押さえられ、またある日には幾股の現場をも押さえられ、万事休すを悟ったのであろうある春の日に荷物もろとも僕の部屋から消え去っていた。
汚らしい狂乱景気にあてられて増長し狂い果てたメス犬を相手に迂闊を晒したおのれの失敗は悔やんでも悔やみきれないが、しかし食い潰されることを免れられただけでもましだと自分に言い聞かせて適度に諦めた。

そういう残念な体験から三年くらい経った頃合いでこのバスの中。
別れて以来どこかで出くわすたび必死に知らん顔を決め込んでいた不心得者がいまや死にもの狂いの様相丸出しで僕の注意を惹こうとしている。
きもちわるい。寒気がしてきた。
僕があからさまに無視し続けているにもかかわらず依然としてこちらをガン見することを止めようとしない黴臭いアラフォーの気色悪さに心底ドン引きしつつもあえて考察を試みた。このクソ虫が今更わざわざ僕にかまわれたがるのは何故だろう? と。
答えはすぐに出た。

「金づるを欲しがっている」

やはり考えるまでもなかったな、と自分を嗤った。
正体がばれて逃げ出したはずのクズが今更になってこうまで執拗に僕と接触を図ろうと必死になっている姿は見苦しいの一言に尽きた。
よしんば再び向き合って話し合いを試みたところでまたぞろ「私はこんなに反省しているのに理解してくれないあなたが悪い」とラリ口上を繰り広げるのは目に見えている。
この腐りかけの人間もどきが「反省」という言葉の意味を知っていてかつふさわしい行動を取れると期待するのは今さら天動説を支持するようなものだ。
尚更に自分を嗤った。僕はこんな蛆虫に惚れていたのか。
誰かに対してこれほど激しく嫌悪の念を抱いたことは今まで一度もなかった。
僕にとっては初めての、そして二度とは味わいたくない気分だった。

そういえば最近「婚活のふりして男から金むしりとったあと自殺に見せかけて殺しまくった女」の事件が世間を騒がせていたな、と思い出した途端に嫌悪の念が有頂天。
あっちで相変わらず僕をガン見している変質者もあの人殺しと同類だ。
と、ここでふと「もし仮にここであの汚物が何らかの勘違いをして凶器片手に僕へ飛びかかってきたならばそれは正々堂々と引導を渡せる千載一遇のチャンスなのかも?」と考えた。
だが新しい場所で新しい生活を始めようとしている矢先に自分の手を汚物で穢して人生ぶち壊しにするのはいかがなものか という懸念のほうがやはり勝った。
つくづくばかげている。
凶器うんぬんはともかくとしてあれほどの気違いならわめき散らすくらいのことはやらかしかねないなと警戒しながらなおも白目越しのまま様子を見ていたが、幸いなことに大事には至らずそのままどこかのバス停で降りて行った。
諦めてくれたようには見えたが、ふと「諦めたのは他にあてがあるからだろうか」と考えて思わず背筋が冷えた。
かつての僕のように搾り取られている誰かがいるのだとしたら大変気の毒に思わなくもないけれど、でもそれ以上考えるのはやめた。
二度と僕の邪魔にさえならなければそれで充分。

明日は荷物の運び出し。
ヘタ打たないよう今夜のうちに最終チェックしておこう。

--
♪Another Day In Paradise / Phil Collins
al. "...But Seriously"
https://www.youtube.com/watch?v=Qt2mbGP6vFI

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