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2020年10月28日20:30

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『たまにはペアルックを』

 2020年のラダ誕作品です。
 『聖闘士星矢』の二次創作で、聖戦後復活設定。ラダカノ前提。
 誕生日にミーノスからセクシー系男性用下着を贈られたラダマンティスとカノンのわちゃわちゃ話です。ラダマンティスが寝台にダイブするところは、ルパン3世が「ふっじこちゃ〜ん!」ってダイブする様子で想像してくださいw
 去年の作品はこちら。『MA・YU・GE』https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11851576

『たまにはペアルックを』

 10月30日、冥界三巨頭の一人にして天猛星ワイバーンの冥闘士であるラダマンティスの今生での肉体が、人間としての生を受けた日付けである。
 その当日、ラダマンティスの居城である第八獄コキュートスの第一圏カイーナに、同僚である天貴星グリフォンのミーノスが訪ねてきた。彼の来訪に、ラダマンティスは渋い顔になった。ミーノスが訪ねてきた目的を察したからである。
 そしてラダマンティスの予想通り、カイーナの客室に通されたミーノスは、ラダマンティスに誕生日の祝いを述べ、贈り物の袋を差し出した。
 ミーノスが差し出したその赤い袋に、ラダマンティスの渋い顔はさらに渋くなり、繋がった両の眉毛を寄せて、ふさふさの眉毛で隠された眉間にしわを作った。
 なぜラダマンティスがこんな顔をしたかというと、こうしてミーノスはしばしばラダマンティスに贈り物をくれるのだが、その贈り物はよく厄介なトラブルの原因にもなっているからである。別にミーノスも嫌がらせでやっているわけではない(と思いたい)のだが、なぜか面倒な事件が起きてしまうのだった。
 ラダマンティスは受け取った赤い袋を睨んだ。開けてよいものかどうか悩み、迷い、手の中の赤い袋を睨みつけた。袋はとても軽く、中身が宝飾品や酒の類ではないことだけは分かった。
 ミーノスは同僚の表情に軽やかに笑った。
「嫌ですねぇ、そんな顔をしないでくださいよ。まずは開けてください」
「…では」
 ミーノスに促されて、ラダマンティスは赤い袋を開けることにした。ラッピングした蛍光ピンク色のリボンを取り、封を開き、中に手を入れた。指先に何かが引っかかる。それを引き上げると、レースの付いた黒いひもがラダマンティスの指先にぶら下がった。
「…なんだ、これは?ひも?」
「男性用下着ですよ」
「…ぶっ!」
 ラダマンティスが噴き出した。ラダマンティスが慌てて全体を引き出し、形を整える。確かに、黒いひもが三角錐状の形になっており、男性用下着として履けそうな形だった。男性器を収納するためと思われる袋状の布も、ひもにくっついている。
 理解すると同時に、ラダマンティスは怒りでふるふると震えだした。
「…お前はおれにこれを履けと言うのか…?」
 ラダマンティスの反応に、ミーノスはいかにも馬鹿にしたような大きなため息を吐き、呆れたように両肩をすくめてみせた。
「誰があなたのそんな姿を見たいものですか。カノンですよ、カノン。どうせカノンが今夜、ここに来るのでしょう?カノンにそれを履かせて楽しんだら、と勧めているのです」
「…ぶっ!」
 再びラダマンティスが噴き出した。と、同時に彼の脳内で空想が繰り広げられた。

 彼の恋人である海将軍筆頭・海龍にして双子座の黄金聖闘士カノンが、裸体をラダマンティスの寝台でしどけなく披露している。最高級の象牙のような滑らかな肌を、ミーノスが贈った黒いレースのついたひもだけが覆っている。すらりとした白く長い足がシーツの上に伸ばされ、艶やかに笑みを浮かべたカノンが、水色の瞳を熱っぽくうるませてラダマンティスを誘う。
「…来いよ、ダーリン」

 ぶほっ!

 その途端、ラダマンティスの鼻から血が噴き出した。
「…ちょ…っ!ラダマンティス、あなた、なに、鼻血を出してるんですか!?」
 全く予想外だったラダマンティスの反応に、さすがにミーノスも慌てた。
「す、すまん、ミーノス…」
「まったく…。思春期の中学生男子ですか、あなたは」
 ラダマンティスは自分の懐からハンカチを取り出すと、血が流れ出る鼻を押さえた。
「まあ、そういうわけです。受け取ってくれますね」
「…うむ」
 結局、「セクシー系男性用下着を身に着けたカノンの姿が見たい!」という己のスケベ心に負け、ミーノスからの贈り物を受け取ったラダマンティスであった。
「あ、そうそう。たまにはペアルックもいいんじゃないかと思って、あなたの分も用意しておきました。どうぞ」
 と言って、ミーノスは赤い袋をもう一つ、差し出した。中身は、先ほど彼がくれた赤い袋と同じ、黒いレースとひもで出来た男性用下着だった。
 再びラダマンティスの表情が剣呑なものにと変わった。
「…お前、やっぱり死ね」
「では、ラダマンティス、楽しい夜を過ごしてくださいね〜」
 こうして氷地獄コキュートスの気温のように冷たいラダマンティスの視線に見送られて、ミーノスは笑いながら手を振ってカイーナを去っていったのだった。

 カノンは、黒いレースのついたひも状の男性用下着を手の先で広げて、怒りで震えていた。
「…というわけでな、今夜はお前にこれを身に着けてもらいたいと…」
 カノンは黙って両手を頭の上で交差させた。
「ま、待て!カノン!ギャラは止めろ、ギャラは!」
 カノンの必殺技ギャラクシアン・エクスプロージョンが放たれる気配に、ラダマンティスが慌てて制止した。彼自身は無事に済んだとしても、居城のカイーナが全壊しかねない。
「やかましいわ!お前もなにを考えてこんなもの受け取ってんだ!?」
 技を放つことは止めたカノンだが、下着を投げ捨てると、今度はラダマンティスの居室の出口に向けて歩き出した。
「どこへ行く、カノン?」
「いや、これ、ミーノスからの贈り物なんだろ?ちょっとこれからトロメアに行って、ミーノスの奴をぶっ殺してくるわ」
「いやいやいや、待て待て!落ち着け、カノンーッ!」
 ミーノスの居城トロメアに殴り込みに行こうとするカノンを、ラダマンティスは大急ぎで背後から羽交い絞めにした。まるで聖戦の時の二人の最後の対決を逆さにしたような構図であった。だがカノンはこの構図に懐かしさを感じる余裕もなく、ラダマンティスを引きずりつつ扉への前進を続けた。
「落ち着けるかーっ!お前もお前だ!おれにこんなものを着せようとするな!」
「…いや、だって、それを履いたお前の姿を見たいなー、と…、ちらっと思ってしまってな…」
「んなこと、思うなーっ!」
「いいではないか!」
 必死になってラダマンティスはカノンを説得にかかった。
「今夜はおれの誕生日なのだ!これくらいのわがまま、許してくれてもいいではないか!?カノン、お前はおれの頼みを聞いてくれないのか!?」
「…うっ…」
 ラダマンティスの必死の嘆願にカノンが怯んだ。
「おれの誕生日なのだぞ!年に一度なのだ!それくらいのサービス、してくれてもよかろう!?というか、してくれえぇぇーっ!」
「……」
 なりふり構わず懇願する恋人に、カノンの手足からがっくりと力が抜けた。ラダマンティスの必死さに負けたのであった。うなだれたカノンがラダマンティスの願いを了承する。
「…分かった…」
「おお!やってくれるか、カノン!」
「だが…!」
 喜色を浮かべたラダマンティスに、カノンが声を荒げて一つの条件を出した。
 居室のテーブルの上にあった、もう一つの赤い袋をカノンはつかんだ。そしてそれをラダマンティスの眼前に突きつける。
「ペアルックと言ったな!?お前もこれを履け!おれだけこんな格好をするのは納得いかん!」
 目の前の赤い袋にラダマンティスは一瞬だけ黙り込み、それから叫んだ。
「…えええええーっ!?」
 こうして喜劇の幕が開けた。

 二人はそれぞれ、バスルームでミーノスから贈られた下着を履いた。そしてバスタオルを腰に巻いて下着を隠し、互いの前に姿を現す。
「用意はいいか、ラダマンティス?」
「うむ」
 まるでこれから真剣勝負でもするかのような気迫で、二人はお互いに向き合った。その気迫だけは、冥闘士と聖闘士でそれぞれ最強クラスと呼ばれる男たちのものにふさわしかった。これからやろうとしていることは、「セクシー系男性用下着を身に着けたお互いの姿を見せる」という、トホホなことであったが。
「では…」
 カノンががばっと腰に巻いたバスタオルを脱ぎ捨てる。腰に両手を当て、足をやや開き、仁王像のように堂々と立ってみせた。
「おおおお…」
 そこに広がった光景に、ラダマンティスは感歎の息をついた。と、同時に、鼻の下を伸ばした。
 大理石の彫像のように美しいカノンの全身の姿があらわになる。均整の取れた筋肉をしみひとつない滑らかな白い肌が包んでいる。そして腰の周りを、ひも状の黒いレースが華やかに飾っている。男性器は黒い袋状の布に包まれ、中心で下に垂れて存在を主張していた。
「いいぞ!カノン!実にいい!」
 ふん!と鼻息を荒くして、拳を握りしめたラダマンティスが力説する。
「…いや、どう見ても変だろ、これ…」
 ラダマンティスの反応にカノン自身は小首をかしげた。セクシー系男性用下着を着用してはいるが、仁王像のように立つカノンの姿は威風堂々とし過ぎていて、セクシーな色気からはほど遠かった。
「そんなことはない!すごくいいぞ!」
「そうかぁ…?」
 興奮するラダマンティスの反応に首をかしげるばかりのカノンだったが、次の瞬間、びしっとラダマンティスを指差した。
「よし!次はお前の番だ!ラダマンティス!お前も男らしく、見せてみろ!」
「うむ…」
 そうして、今度はラダマンティスが腰回りのバスタオルを脱ぎ捨てた。そして同じひも状の下着を身に着けたラダマンティスの姿を見た途端、カノンは笑いで噴き出した。
「…ぶっ…!うひゃひゃひゃひゃ!なんだ、その格好ーっ!」
「……」
 憮然とするラダマンティスを前に、カノンは失礼にも相手を指差したまま笑い続けた。
「ひーっひひひひひ!ホモビデオに出るAV男優みてぇ…!おかしい!やべえ、腹筋よじれる…!笑い過ぎて、腹痛ぇ…!」
 笑い転げるカノンはラダマンティスの寝台に倒れ込み、腹を抱えてシーツの上で足をばたつかせた。
「そんなに笑わなくてもいいではないか…」
 憮然とした表情のまま、ラダマンティスは脱いだバスタオルを自分の腰に巻きなおし、下着を隠した。
「い、いや…でもその格好…!いかん…笑い死ぬ…!」
 その後もカノンは、自分もひも状の下着を身につけた姿のままで寝台の上で笑い転げていたが、やがて笑いを収めると、手足をだらりを長く伸ばして休息した。
「…あー…。笑い過ぎて、一周回って冷静になってきた…。二人してこんな格好をして、なにしてるんだろうな、おれたち…」
「そこで自分一人で冷静になるな!おれが余計に恥ずかしくなるだろ!」
 しみじみと言うカノンに、バスタオルを腰に巻いたラダマンティスが叫ぶ。
「まあ、でも…」
 カノンはごそごそと体勢を直し、横臥位になった。上側にある足をシーツの上に長く伸ばす。そして黒いひも状のレースが巻き付いた白い太腿に手を置き、ラダマンティスに蠱惑的な視線を向けてみせた。
「…来いよ、ダーリン」
 ラダマンティスの空想が具現化した。頭の中で事前に想像して備えが出来ていたためだろうか。今度はラダマンティスは鼻血を噴かなかった。
「カノーンッ!」
 ラダマンティスはバスタオルを勢いよく脱ぎ捨て、ついでに下着も脱ぎ捨て、全裸でカノンの待つ寝台に飛び込んだ。

 ミーノスが用意した小道具のおかげかどうかはさておき、二人が熱い一夜を過ごしたことだけは、言っておく。

<FIN>

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