世界最小の恐竜の卵を発掘したチームが、ギネス認定を受ける 白亜紀のほ乳類三錐歯目について

　
9/1(火）日本列島から恐竜に関する一大ニュースがあります。兵庫県立人と自然の博物館と筑波大学の共同研究チームが、世界最小の恐竜の卵を発見したとして、ギネス記録に認定されました。

　見本の写真＝ジュラ紀半ばから白亜紀にかけて生息したレペノマムスのイラスト　
掲載元　amanaimages https://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=20064000813

　事の発端を振り返ると、2019年1月から3月にかけて行われた地層調査に始ります。兵庫県丹波市に日本では数少ない1億1000万年前の地質年代白亜紀前期の地層が残っています。調査した末、卵殻を約1300点を採取し、2015年に掘り出した卵殻4点も合わせて、分類作業に入りました。卵の殻から種類を判別するうちに、未発見のものも含まれていました。現生鳥類のウズラ並みとなる長さ約4,5ｃｍ、幅約2ｃｍ、重さ推定10グラムの恐竜の卵を見つけたのです。8月5日に、初めて世界最小とされる恐竜の卵の存在を公表しました。

9月1日、世界最小の恐竜の卵を発見した功績が評価され、共同研究チームのメンバーは、2021年のギネスブックに登録されました。新種となる恐竜は「ヒメウーリサス・ムラカミイ」と名づけられました。ウーリサスはギリシャ語で卵の石を意味します。一方ムラカミイは、地元で見つかった国内最大級の恐竜「丹波竜」の発見者の村上茂氏に由来します。

　卵殻の微細な特徴から、大型肉食恐竜のティラノサウルスと同じ獣脚類と判明しました。同時代の小型の獣脚類は、鳥に極めて近い種類になります。全身羽毛に覆われ、翼を生やしていた姿が想像できます。卵の大きさから、親の体重は推定2キロ弱程度。卵や大量の卵殻が、同時代の地層からまとまって発見された点から、巣の化石と断定できました。

　参考リンク　世界最小の恐竜卵の化石　丹波で発見！https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/07/20200702_01.html

写真＝上記のサイトから掲載　発掘されたヒメウーリサス・ムラカミイ。右は卵の輪郭を白線で、卵殻を黒で描き込んだもの（筑波大学、兵庫県立人と自然の博物館提供）


　アメリカやカナダ、中国、南米大陸と異なり、島国の日本から恐竜の一大発見は、大変珍しいことです。

　白亜紀前期は、被子植物の誕生に伴い、密を運ぶ昆虫が産まれた時代です。我々ほ乳類の祖先も花の蜜から栄養をたっぷりとりました。食べ物が多くなるにつれて、それぞれの種ごとに歯の形が変わります。古生物学者は、恐竜や太古のほ乳類において、化石に残りやすい歯の形を注視します。歯が平らであれば草食、逆に尖っていれば肉食です。


　中世代白亜紀に生息した哺乳綱三錐歯目のゴビコノドン科のゴビコノドンや同じ目のレペノマムス科のレペノマムスは、夜から昼の世界へ進出しました。発掘されたレペノマムスの化石の胃袋に当たる部分から小型プシッタコサウルスの骨が混じっていました。当時弱かったはずの哺乳類が、一部大型化し、小さな恐竜を食べていたことが明らかになったのです。

写真＝神奈川県小田原市入生田にある生命の星・地球博物館で展示されたゴビコノドンの化石
　

　中世代ジュラ紀までほ乳類は小さなネズミのような存在でした。三錐歯目に限り、一部の種類が大型化しています。中世代白亜紀（1億4500万年前から6500万年前）中期になると少しずつ多様化していたのです。

　6500万年前、現在のメキシコユカタン半島沖合いチクシュルーブに、直系10ｋｍの隕石が落下しました。環境変動により、恐竜は死滅しました。三錐歯目を含めほ乳類は95%の種が消えたものの、残り5%の種が生存しました。恐竜絶滅によるニッチ（生態系の空白期間）を埋めたのは、ほ乳類の祖先です。

　　恐竜が生きていれば、我々人は産まれてこなかったと考える科学者もいます。優れた文明を持つ人類は、いかに偶然産まれた存在なのか、古生物学を含め、地球が辿った歴史を学ぶことで明らかになります。




■恐竜卵の化石、推定10グラム　世界最小ギネス記録に
(朝日新聞デジタル - 09月01日 11:26)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6215387