今日のワシントンポスト紙COVID-19 UPDATEより

１）多くの専門家たちの研究の結果、スーパー・スプレッダーの存在が明らかになってきた。彼らは自分が感染してるとは知らず、数時間のうちに周辺の数十人の人たちに新型コロナウイルスを感染させ、クラスターの発生の原因となっている。
先月ミシガン州の大学のバーで、たった一人のスーパー・スプレンダーが２００人の人たちを感染させた例が指摘されている。この事実は多くの人たちが一堂に集まることをやめることが、クラスター発生を防ぐ有効な手段であることを物語っている。

２）アメリカの感染状況は週末にかけて悪化の一途を辿っており、アラバマ、アリゾナ、フロリダ、サウスカロライナ、テキサスの諸州で死亡率が記録を更新しつつあり、少なくとも１８の州で一週間の感染者記録を破っている現状だ。

３）アメリカは世界の先進国の中でも、今や唯一のコロナウイルスの感染を抑えるのに失敗している国となってしまった。
ヨーロッパ諸国、カナダや日本では、感染者数を抑える事に成功しており、これら諸国では、悪化の一途を辿っているアメリカの現状に驚愕している。
これらの国がウイルス感染を阻止しているのは、単なる幸運などではない。政権上層部の誤った考えの偏向と脆弱なリーダーシップ、政策運営の失敗に加えて、公衆衛生のためのインフラの老朽化、一向に改善されない社会の不平等などが重なってアメリカの失敗を招いているのだ。もし、このパンデミックの沈静化対策に失敗があったとすれば、それはアメリカ自身の失敗に他ならない。

４）明らかな誤りを一つ選ぶとしたら、トランプ大統領が未だにマスク着用を全国民に強制するのを拒絶していることだろう。他の諸国でマスク着用を義務化したところではウイルスの拡散を抑えることに成功しているのは事実だ。

５）トランプ政権は、PCR検査拡大や感染ルート追跡のための数十億ドルの予算の議会での成立を阻止しようとしているが、これらは他国では感染率を抑える重要な施策となっている。当紙の政治部の調査によれば、ホワイトハウス高官の一部では、これら検査などの費用として数十憶ドルの予算を既に承認している筈なのに、未だに使われていないだけなのだと信じているようだ。

６）１時間を超えるFOXニュースとの日曜日の会見では、アメリカのウイルス感染拡大に関する質問をされると、トランプ大統領は明らかに不機嫌に異議を唱え、時には食って掛かる始末であった。トランプは感染拡大は起こっていないと否定する有様で、殆どの感染者は一日で治る軽症だとデタラメな主張に終始した上で、ウイルスを国外に漏らして、世界中にまき散らした元凶だと中国を非難する有様であった。
更にトランプは、ウイルスは或る時点で減少に移ればやがて消えてゆくと信じており、結局自分が正しいかったという結末になるだろう。何故ならわたしはいつも誰よりも正しい判断を下してきたのだからだと語っていた。

７）英国の研究グループはコロナウイルス・ワクチンの初期テストで希望の持てる良い結果がでていると発表した。これはウイルスを攻撃する免疫抗体を作る幾つかのワクチン候補の中の最後のものである。
また、アメリカの二社の製薬会社も同様の発表をしていた。だが、専門家の間では、これらの発表は、比較的少数の症例に終わっており、治験の期間も短すぎるので、喜ぶのは時期尚早ではないかと警告している。また、ワクチンを量産するまでには、より広範で長期に亘る実験で安全性と有効性を証明されねばならないと語っている。